【連載】「母のお下がりのゴルチエが私のファッションの原点」 シニアカテゴリースペシャリスト 横山 日菜子|メンズ館で出会った〇〇マニア
伊勢丹新宿店 メンズ館ではマニアックな知識をもつファッショニスタから、ハイセンスなウェルドレッサーまで、さまざまなスタイリストがお客さまをお迎えします。しかし誰もがはじめはお洒落の初心者。若い頃、初めて買ったアイテムには並々ならぬこだわりもあるはずです。
今回はシニアカテゴリースペシャリストの横山 日菜子。フロアを限定せず、お客さまのお買い物にとことん付き合う、男性のみならず女性のお客さまからも広く支持されている人気スタイリストです。自身もメンズ服を着こなし、次のトレンドの情報収集も積極的。そんな彼女の素顔に迫りました。
元バンギャで理系。お洒落のお手本は母親
「母親がモードな人で、<ジャン・ポール ゴルチエ>とか着る人だったんです。入学式でもまわりがジャケットにスカートみたいな人ばかりなのに、ひとりだけレザーのセットアップ姿。でもそれが本当にカッコよくて、お下がりで貰ったりして。ファッションの影響は、母から受けていると思います。」
シニアカテゴリースペシャリストの横山 日菜子は、そう振り返りながら自身のファッション観を話してくれました。
「私、中学・高校時代はバンギャ*だったので、ちょっとパンクっぽい格好してました。中性的な服が好きで、ピアスも両耳に10個ぐらい開いていて、成人式も髪型はアップじゃなくて刈り上げ(笑)。女子っぽい服をあまり着てこなかったのと、兄が2人いるので、家族で買い物に行くとメンズの服に触れる機会も多く、この仕事に就くときもレディスよりメンズ服というイメージは出来上がっていたと思います。」
バンギャでパンクでピアスで刈り上げの女性スタイリストというのは、伊勢丹の販売員ではあまり見ないタイプかもしれません。幼い頃から百貨店に憧れながら、美容系の職に就こうと専門学校進学も考えた学生時代は、男子7割の化学技術科で実験に明け暮れていたという理系女子。やがて「就職活動するなら業界トップを目指したいと思っていた。」と、伊勢丹一社だけに書類提出したのだというから肝は座っています。希望通りメンズ館に配属されると、肌着・靴下・ナイティを皮切りにメンズコンテンポラリー、メンズクリエーターズと王道のカジュアル路線のスタッフとして歩んできました。
「わかりません」と言わないスタイリストへ
ほぼ2年毎にフロアを異動してきましたが、2019年にカテゴリースペシャリスト職が設定されたとき、「あ、次の自分はここだ」と予想できたといいます。それまでもフロアを飛び越え本館へ足を伸ばして、お客さまのお買周りをアテンドすることも多く、お客さまからの要望には絶対に応えたい! と調べに調べまくるのが信条。さすがは理系、研究を怠りません。
「お客さまからお買い回りの相談を持ちかけられたら、それが自分の担当フロアじゃなくても『少々お待ち下さい!』ってすぐ裏にいってめちゃくちゃ調べます。わからなければ、誰か知ってる人を探して、なんとしてでも解決したい。お客さまに『わかりません』とは絶対に言いたくないので。」
そんな頼もしい一面は、体育会系の顔かと思い尋ねると、やはり長くソフトボール部で活躍していたそう。しかもポジションはキャッチャー。チームをまとめる手腕に長けるわけです。さらに聞けば以前、社内で女子ラグビー部を立ち上げ活動していたというから体育会系気質は本物。バンギャで理系で体育会系。横山はなんとも要素の多いスタイリストなのです。
所属するフロアに影響されるアイテム&スタイル
「配属先の服に囲まれていると、自分のスタイルがそのフロアの系統になっちゃうんです。6階ではきれいめカジュアルでしたが、2階にいたときはメンズクリエーターズに傾倒してたし、そのとき自分が担当している服ばかり着ていました。」
前述したとおり若い頃はバンギャ、そしてスタイリストの道を歩み始めてからもメンズ服を着る機会は多かった様子。愛用する服を持ってきてもらったのですが、ウェストを絞れるドロップショルダーのシャツは<フミト ガンリュウ>の初期頃のモデル。<ニードルス>の伊勢丹新宿店限定トラックジャケット*もたっぷりとしたシルエットが印象的です。色が黒なのはもちろん、母のお下がりで着ていたゴルチエの頃からの名残なのでしょう。
「私、結構目移りしちゃうので、感覚で服を選んでるところはあると思います。男性のように、必要性や機能性とか、ブランドの背景とかで選ぶことはあまりないので、そういうところは女性目線なんだよなぁって思います。」
いまはカテゴリースペシャリストとして、正装はジャケットを羽織るのが横山の定番スタイル。今日のジャケットは、先日旅行に行った韓国で買ってきたものだと嬉しそうに話してくれました。足元は<アディダス オリジナルス>「ヒューマンレース サンバ」。
「とにかく館内を歩き回るので、スニーカーだけは譲れません。いろいろ履きましたけど、私の足には<アディダス>が合うんです。」
<モンブラン>のマイシュターシュテュックと<コム デ ギャルソン>の名刺入れは、いかにもメンズ館スタイリストらしいセレクト。ペンには名前を入れて、愛用しているそう。
嬉しそうに「これ見てもらえますか?」とデニムの裾をまくると、ソックスに「焼酎」の文字。スニーカーを脱ぐと、左右の甲に「芋」「麦」と書かれている<ロスターソックス>の酒シリーズは、共通の趣味である「お酒」好きなお客様へご紹介するうちに、本気で欲しくなってしまった一足です。実用性を重視しながらも、遊び心の利いたアイテム選びができるあたり、男性のお客さまに喜ばれそうですねと伝えると、「はい、この靴下、めちゃくちゃオススメしています!」と笑みがこぼれました。
「星形が好き。ハートやクロスより、星がついてると気になってしまう」というジュエリーは<コディ サンダーソン>他、星形モチーフを複数愛用。
日本化粧品検定2級も持っている横山のこだわりのフレグランスは<リキッドイマジネール>と<オブヴィアス>をTPOで使い分けます。コスメも扱うメンズ館で、お客さまに役立つはずと取得した日本化粧品検定2級のほかにも、パーソナルカラーアナリストやジュニア・骨格スタイルアドバイザーなど、さまざまな資格を持っているのは、やはり研究熱心で勉強熱心な人柄によるものなのでしょう。
カテゴリースペシャリストを突き詰めたい横山 日菜子の未来
「2024年秋冬におすすめしたいスタイルは昨年頃からトレンドとされているクワイエットラグジュアリー。シンプルで高品質なものに注目していて、ジャパンブランドで注目のブランドもいくつかピックアップしています。ワイドシルエットのトレンドは大分、収まってきているようにも思います。でも一方でストリートなカテゴリーも継続的に伸びているので、まだまだカジュアル化の波は続きそうです。」
トレンド研究にも余念のない横山。フロア時代と違い、各フロアのバイヤーから商品説明を受ける機会がないぶん、自分から積極的に情報収集しているのだそう。だからこそ、どんなお客さまにも対応できるのでしょう。では、自身はこの秋、どんな服を着たいのでしょうか?
「大人っぽくドレスアップしていきたいなと思っていて、いま<ラ スカーラ>でスーツをオーダーしようと思っているところなんです。メンズっぽいジャケットに、太めのパンツで、スーツ屋さんの女性スタッフとは違う方向で着たいと思っています。」
マニッシュなスーツスタイルがとてもよく似合いそうですね、と同意してから将来の自身のキャリアについて話しを振ってみました。すると「私、カテゴリースペシャリストという仕事を突き詰めたいんです。」と真面目な視線を返してくれます。
「若い頃はセールスマネージャーになりたいな、とか、外商に行きたいなと思ったこともあるのですが、今はメンズ館に骨を埋めたいと思っています。役職に上がると、現場を離れる先輩は少なくないのですが、私はずっとお客さまの接客をしていたいです。この先、異動するかもしれないけれどメンズ館のことをずっと念頭に仕事をしていきたい。販売って生涯続けられる仕事だからこそ、どこまで突き詰められるのか、挑戦してみたい気持ちは以前よりも強くなっているって言い切れます。」
シニアカテゴリースペシャリストとして、日々研鑽を続けている横山の接客、きっとひとりで巡るいつものショッピングとはひと味違う体験ができるはずです。
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【連載】「#メンズ館で出会った○○マニア」
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Photograph:Tatsuya Ozawa
Text:Yasuyuki Ikeda
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