2025.01.29 update

【連載】工場勤務からアパレル転職を果たしたスーツのプロフェッショナル。メンズアテンダント 山形 典亜|イセタンメンズ スタッフプロフ

 

伊勢丹新宿店メンズ館に所属する、個性豊かなスタイリストにクローズアップしてご紹介する連載企画「イセタンメンズ スタッフプロフ」。

第一回となる今回は、得意とするメンズクロージングを中心に、メンズアテンダントとして活躍するスタイリスト、山形 典亜にフィーチャーします。36歳にして異業種からアパレル業界に転職を果たした山形は、真夏でもネクタイを外さないミスター・クラシック。そんな彼が今のスタイルに辿りつくまでのファッション遍歴は意外なものでした。

 

山形 典亜
伊勢丹新宿店メンズ館 メンズアテンダント
⼯業⾼校卒業後、36歳まで半導体業界にてキャリアを過ごす。 会社の事業終了に伴い以前から興味があったファッション業界に転職。 2014年、洋服お直しの会社に転職し知識と技術の習得に励む。2018年より、(株)三越伊勢丹に⼊社。 主にオーダーメード業務に従事し、2024年度より紳⼠販売担当に異動し現職。

 

  1. 甘くはなかった30代での転職活動
  2. 自ら携わったオーダーパンツブランド<ドラマーズ>
  3. 伊勢丹メンズ館を”スナック”のように楽しんで
  4. メンズアテンダントのご予約はこちら|イセタンメンズ ミート イズム

 

甘くはなかった30代での転職活動

山形 典亜 20代の頃、美容師の友人の家で見た「ミスター・ハイファッション」の衝撃は、今でも覚えています。それまでファッションには、それほど興味もなかった私のファーストインパクト。そこから30代前半までデザイナーズのハイブランドに傾倒していました。<ラフ・シモンズ>、<トム・ブラウン>、<クリス・ヴァン・アッシュ>など、いまでも大好きなブランドです。

 

高校が工業高校だったので、35歳まで17年間は技術系の仕事をしていました。じつは特定科学物質作業主任者や、有機溶剤作業主任者などの資格も持っているんです(笑)。



 

当時勤務していた工場は東日本大震災で壊滅的なダメージを受けてしまいました。事業復旧できず、転職を考えなくてはならなかったとき、ふとファッションの仕事をしてみたいと思って一念発起。同業他社からも声は掛かっていたのですが、転職活動を始めました。

 

30代半ばで未経験のアパレル業界への転職活動の中、ご縁をいただけたのがリフォーム事業を展開する<SARTO/サルト>でした。全く未経験でしたが、店頭での接客から紳士服の基本的な技術面まで、あらゆることを学びました。それまでデザイナーズ派だった私が、クラシック服の魅力にすっかり魅了されたのは、<サルト>での5年間があるからです。

 

その後、伊勢丹に出店していた<サルト>を担当。その時期を経て伊勢丹新宿店メンズ館に勤めることになりました。じつは入社してまだ7年目なんです。

 

昨年からはメンズアテンダントのチームに所属。オーダーメイドだけでなく、メンズ館全フロアをお客さまにご案内ができるようになりました。もともとデザイナーズが好きだったこともあって、いま最新のファッションに触れることはとても楽しいです。

 

自ら携わったオーダーパンツブランド<ドラマーズ

 <ドラマーズ>スラックス「FOX BROTHES(Classic Flannel)」
205,700円

 

入社以来、オーダーメイド担当として、ブランドの立ち上げにも関わらせていただきました。それがパンツブランドの<Drummers/ドラマーズ>。イギリスのサヴィルロウでパンツ職人を表す言葉なんです。非常に思い入れの強いブランドでシルエットの型紙から携わらせていただくなど、希少な体験をさせていただきました。

 

オーダーパンツなので、いろいろなデザインができるのですが、なかでもこだわったのはウェスト帯幅。細身から太めのものまでご用意しており、お好みで選んでいただくことができます。プリーツの種類もアウトプリーツ、インプリーツ、ボックスプリーツ等の仕様を選ぶことができます。話すと長くなりますが、どのようなこだわりが詰め込まれているのか、ぜひ話を聞きにご来店いただきたいですね。「自分に合うパンツがなかなか見つからない」というパンツ難民を救う一本をお仕立ていただけます。

 

伊勢丹メンズ館をスナックのように楽しんで

このような拘りの強い話をしていますが、自身の性格は飽きっぽくて長続きしないタイプ、そしてひねくれ者だと思っています。若い頃は特にそうで仕事も何度か転職しています。みんながストリートブランドだって言ってたときにはモードが好きでしたし、今だってネクタイを外さないので”変わり者”だと思われているのかもしれません。

 

ずっと続けていることといえばスポーツでしょうか。高校時代はバレー部で、社会人になってからは9人制に参加。ゴルフも社会人になって覚えました。休日は、30歳の頃から始めたテニスを週に一度しています。年に数回、市民大会に出場するぐらいのレベルではあります。あとは家族で山登りも好きで、わりとアウトドア派のインドア接客業なんです。

 

左:栃木県日光市の女峰山を登頂した際の風景
右:テニスの練習風景

*共に山形私物写真

 

信条は「接客はエンターテインメント」。私自身も若い頃、モード一辺倒でしたが、休日は地元の茨城から都内のショップを回って買い物を楽しんでいました。そんなお買い物のお手伝いをさせていただくのがスタイリストの仕事だと信じています。

 

もちろん、なにも買われなくても構いません。店内を見てまわっていただいて、楽しんでもらえればと思いますし、どんな服を買おうか考えをまとめるのにご利用いただいたっていいと思っています。まるでスナックに行って、飲んで騒いで「あー楽しかった!」と思っていただける。メンズ館はそんな場所であってもいいのではないかとさえ思っているんです。

 

お客さまに楽しんでもらうためには、スタイリスト自身も努力しないといけません。新ブランドやコレクションの知識はもちろんですが、もうひとつ心がけていることがあります。それは私自身を演出すること。ドレスクロージングを得意とするスタイリストとして、一年中、ネクタイは外しません。真夏でも朝からネクタイを締めて出勤しますし、飲みに行っても帰宅するまでは外しません。もしどこかでお客さまとすれ違ったときに、ノーネクタイでは説得力に欠けるような気がして。20代は作業着だったのに、40代はネクタイばかり。息子もお父さんは「ネクタイをしている人」だと認識していると思います。

 

デザイナーズを着ていた頃から、エディ・スリマンの<ディオール・オム>、ルカ・オッセンドライバーの<ランバン>などジャケットスタイル、タイドアップスタイルが好きでした。クラシックはそういったスタイルのルーツだと知って興味も湧いたし、知れば知るほどデザイナーズモードがわかるようにもなっていきました。当時はイタリアンクラシコは苦手だと思ってたのですが、スーツって面白いなと思うようになり、ハマっていくほどにドロ沼(笑)。今は、このまま浸かり切ってやろうと思っています。

 

 

今ではネクタイ姿のホワイトカラーが映える山形ですが、じつは元はブルーカラーで工場勤務の側、デザイナーズに傾倒していたというファッショニスタ。すっかりクラシック専門スタイリストの重鎮のようですが、その実、ミレニアム期のモードにも詳しかったりと、意外な面がありました。

「飽きっぽい」なんてとんでもない。毎日ネクタイを欠かさないのも、むしろ好きなことをずっと続けていける芯の強い勉強家でスポーツマン。メンズ館スタッフからの信頼も厚いのが頷けます。クラシック服の知識はメンズ館でも随一。スーツをオーダーするためだけでなく、「ちょっと春物が見たいな」とか「今って、どんな服が流行ってるの?」など、気軽なウインドーショッピングにもお供します。伊勢丹新宿店メンズ館に立ち寄られた際は、ぜひお気軽に山形へ接客を依頼してみてはいかがでしょうか。

 

メンズアテンダントのご予約はこちら|イセタンメンズ ミート イズム

パーソナルカラー診断・骨格スタイル分析®などの専門資格を持つ、伊勢丹新宿店メンズ館専任のスタイリストが診断結果をもとにあなたの魅力が引きたつ「似合うスタイリング」をご提案します。「ミート イズム」には、Ism(主義)とIdeal style&mind(理想のスタイルとマインド)に出会うという意味が込められています。なりたいイメージを叶えるため、ご希望に寄り添ってスタイリングのお手伝いをします。

 

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Photograph:Tatsuya Ozawa
Text:Yasuyuki Ikeda

 

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