2020.01.14 update

Vol.14 “THE ART LABEL SAKE プロジェクト” supported by sawanotsuru | 2020年は、日本酒とアートで日常に贅沢なひと時を

伊勢丹新宿店メンズ館2階=メンズクリエーターズ内「ART UP(アートアップ)」と「伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座・和酒」において、日本を代表する日本酒の蔵元「沢の鶴」による展示「“THE ART LABEL SAKEプロジェクト”supported by sawanotsuru」を1月15日(水)から開催。

日本酒のラベルをキャンバスに見立て、総勢13名の国内外のアーティストの作品を披露&展示販売するというもの。今回は沢の鶴(株)代表取締役社長 西村隆さんと、アーティストとして参加するヒロ杉山さんを迎え、日本酒とアートの関係性からプロジェクトの見どころに至るまで幅広く聞いた。


左:沢の鶴株式会社
代表取締役社長 西村 隆氏
右:Enlightenment
ヒロ杉山氏
イベント情報
 “THE ART LABEL SAKE プロジェクト” supported by sawanotsuru
  • メンズ館2階=メンズクリエーターズ/アートアップ
  • *アートラベルボトルは、メンズ館では展示のみ、本館地下1階=粋の座・和酒のみでの販売となります。
    *やむを得ない理由により展示内容が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

これからも伝統の味を守りつつ、日本酒の新たな魅力を探求し広めたい(西村)


ーー今回のイベントが開催するまでの経緯を教えてください。

西村隆社長(以下、西村):普段、あまり日本酒を飲まない人に手にとってほしいという思いと、日本酒って敷居が高い印象がありますが、そんなことはないんだよということを伝えたいというところから始まりました。特に、今年はオリンピックイヤーということもあり、伊勢丹さんから世界に向けて、新たな時代を迎えるにふさわしいことをやりたいという強い気持ちがありました。

ーーヒロさんは普段どのような活動をされていますか? また今回の企画のオファーが来たときの率直な感想をお聞かせください。

ヒロ杉山(以下、ヒロ):僕はアートディレクターとアーティストという2つの肩書きがありまして、アートディレクターとしては広告やCDジャケット、ポスターデザインなどを制作しています。またアーティストとしては現代美術のギャラリーに所属しているので、そこで展覧会をしたり、海外のアートフェアに作品を出したりしています。今回のお話をいただいたときは、日本酒とアートというのは面白いマッチングだなって思いました。今までありそうで無かった切り口なので、すごく興味が湧きましたね。



ーー西村さん、「沢の鶴」の歴史やお酒造りに対するこだわりを教えてください。

西村:弊社は創業が江戸時代中期の1717年、今年で303年目を迎える会社です。米屋をルーツとしておりまして、弊社のシンボルマークが「※(こめ)」です。これは「米」の漢字から来ているのですが、米屋の副業で酒造りを始めたということに由来しています。つまり、「お米にこだわる」ことこそが沢の鶴にとって大切なことなのです。米と水で造る無添加の日本酒を純米酒と言いますが、特に純米酒にかける想いは、特別と言えるかもしれません。

ーー今回の企画が立ち上がった中で、具体的に意識したことはありますか?

西村:正直、私はアートに関しては素人ですので、逆に日本酒の業界人として変な固定概念を植えつけないようにしたいということですね。自分たちは良い日本酒を造ることに専念する、そしてプロジェクトに関しては、作家のみなさんに思う存分アートの世界を表現していただきたいなっていう。そういった自由な作品作りがあってこそ、新しいモノが生まれると思っておりましたので。そういう意味では、何が生まれるんだろうというワクワク感が強かったですね。その辺は一人のお客様やファンと同じ目線です。




ーーヒロさん、300年という歴史をデザインに落とし込むっていうのは面白みもありつつなかなか難しいことだとは思いますが、その辺はいかがでしたか?

ヒロ:正直、300年という歴史をイメージすることはできませんでした(笑)。ただ、日本酒というものに対して、アートがどこまで上手に表現できるかという部分はすごく面白いなって思いました。結果的に上がってきた作品を見ると、それぞれの作家の個性が出ていて、個人的に今回の企画はすごく上手くいったのではないかと思っています。

ーー西村さん、ブランドイノベーションについてはどうお考えですか? 

西村:沢の鶴は日本酒という伝統産業の一つで、良くも悪くも300年という歴史があり、継承し続けていかなければならないものがあります。その一方で当然、現代と300年前では環境もお客様も変化しておりますので、そういった変化にどう対応していくか、お客様にどういう新しい価値を伝えていくかということについては変わらなければいけないこともあるのです。

ただ、まだまだ歴史があるからこそのしがらみもありまして、そういったものを打ち破りたいという思いから生まれたのが今回の企画だと思っています。これだけ情報がたくさん溢れて価値観も多様化している中で、良いお酒を造ればみんなが飲んでくれるなんてことはあり得ないと、私も強く感じています。では、どうしたら日本酒が、お客様のライフスタイルに溶け込んでいけるか。そういう意味で、アートに関心のある方々というのは非常にアンテナが高いと言いますか、我々が普段向き合っているお客様とはまた違うところにアンテナを立てておられる方も多くいらっしゃると思うので、今回の企画を通して、そういう方々のライフスタイルに、少しでも日本酒が受け入れられていくきっかけになれば嬉しいです。


日本酒ボトルを見るだけでなく集める楽しみも味わってほしい(ヒロ杉山)



ーーヒロさん、アートと日本酒が掛け合わさることで生まれるものへの期待はありますか?

ヒロ:そうですね。アートっていうと少し敷居の高いイメージをお持ちの方もいらっしゃると思うのですが、個人的には、日本酒というものは普段家庭やお店で飲んだりとかして楽しむものですよね。その傍らにアートがすっと入っていくような存在であってほしいというか。(目の前に並んだボトルを手にとって)例えばこうしてボトルがあって、ラベルを見ながらお酒を楽しむとか。このデザインにはどんな意味があるんだろうとかって、一人で思ったり、またみんなで語り合いながら飲んだりとか、そういうちょっとアートが生活に降りてくるというか。日常の中で楽しみながら、日本酒とアートが楽しめるようになったら素晴らしいなって思います。

ーー西村さん、御社の場合ですと、例えばヤンマーとのコラボレーションで酒米作りから徹底して見える化を追求した酒造りや、市立札幌大通高校の生徒が授業の一環として、校舎で採蜜した「生はちみつ」を使った甘酒作りなど、同業者やお酒好きの人からしたらすごいなって思う部分はあると思うんですけど、今回のようにビジュアル面でも重きを置くことってあるんですか?

西村:当然それなりに趣向を凝らしたものもありますし、これまでもやってはいます。ただ、あくまで日本酒業界の土俵の上であったり、その範疇の中でのことですので、今回のようなプロフェッショナルの方の感性を我々の商品にデザインしていただけるというのは、初めてのことです。しかもヒロ杉山さんを筆頭に、著名なアーティストの方々にご参加いただけたことは大変光栄に思っています。みなさん作品のテイストといいますか、作風に幅があって本当に面白いですね。どれもインパクトがあって素晴らしいです。全種類のボトルを並べてみたときは壮観でしたね。




ーー伊勢丹新宿店メンズ館には世界中からたくさんのお客さまが訪れますが、期待することは?

西村:国内外から老若男女、色んな人が訪れる、日本の代表的な百貨店ですよね。とりわけ日本酒というのは日本の文化の一つですので、海外の方にもぜひ知っていただきたいです。また、今回のアートラベル企画を通して、日本の伝統産業はこんな新しい試みもしているんだっていうことをお見せしたいです。



ーーヒロさんは今回制作をするにあたって、伊勢丹新宿店メンズ館を意識したのですか?

ヒロ:作品に直接的に表れているというわけではないです。ただ伊勢丹さんは海外のお客様がすごく多くて、そういう人たちが日本酒に抱いているイメージってそれぞれあると思うんですが、その印象のチャンネルが変わるような見せ方ができたら面白いなと思いながら作りました。



ーーお二人にうかがいたいのですが、今回の展示を通じて伝えたいこととは?

西村:極端に言うと、人生にお酒はなくても生きていくことはできると思うんです。でもお酒があることで人生が豊かになるといいますか。特に今はこういう時代なので、皆さんの心や生活が豊かになるために、少しでもお手伝いができればと思っています。それってアートも同じで、そういう部分でお酒とアートは非常に親和性が高いと思っています。アートに触れている間は日常を忘れさせてくれて、心が豊かになる時間を提供してくれると思うんです。会場でお気に入りの作品を購入していただいて、お酒を飲みつつ、ラベルを見て幸せな時間を過ごしてほしいです。

ヒロ:アートは「見る」楽しみと、もう一つ「所有する」楽しみがあると思うんです。今回もボトル自体が作品なので、日本酒を飲み終わったらこれを所有していただけたら嬉しいです。数量限定なので、アート作品として成立していますし。できることなら全種類買ってインテリアとして飾って欲しいですね。今回はボトルのラベルでしたが、次は箱にもこだわってみたいです。それができたら、もらった時の嬉しさがもっと出るかなって。

西村:その時はぜひまたお願いします(笑)。

イベント情報
<"THE ART LABEL SAKE プロジェクト" supported by sawanotsuru>
  • メンズ館2階=メンズクリエーターズ内アートアップ
  • *アートラベルボトルは、メンズ館では展示のみ、本館地下1階=粋の座・和酒のみでの販売となります。
    *アート作品は、別途箱代を頂戴いたします。
    *NO COFFEEはアートラベルボトルのみ参加となります。
    *アート作品は、受注生産のため2020年3月中旬頃のお渡しとなります。
    *やむを得ない理由により展示内容が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
  • 【参加作家】
  • 伊藤桂司、宇野亞喜良、永井博、根本敬、ヒロ杉山、溝渕珠能、三原康裕、師岡とおる
  • Brandon Breaux、Danté Carver、RUMINZ、Toyameg、NO COFFEE
  • Text:Kei Osawa
  • Photo:TAGAWA YUTARO(CEKAI)
  • *アート作品は受注生産のため、2020年3月中旬頃のお渡しとなります。
  • *価格はすべて、税込です。
  • *20 歳未満の方、お車・オートバイ等を運転される方の飲酒は法律で禁止されています。