【特集】オンオフ使えるからコスパも◎!着回し力で選ぶゴルフコーディネートをファッション・ディレクター森岡弘さんが伝授
そんなゴルフ上級者と、これから上級者を目指す人のために、「ゴルフスタイルを洗練させる行き帰りの着こなし」を、ご自身もゴルフを愛するファッション・ディレクターの森岡弘さんに伺った。名門ゴルフ場はもちろん、パブリックにも相応しい服装とは、どんなものか。また一緒にラウンドするパーティが、友人なのかそれとも上司や接待相手なのかによって、服装をどのように変えるべきか。コーディネート例を交えて解説頂こう。
ゴルフ場へ向かう服装からすでにラウンドは始まっている。
まずは前提としてゴルフ場へ向かうスタイルはどうあるべきだろう。休日の朝、街道沿いではゴルフウェアに身を包んだ男性が、迎えのクルマを待つ姿をよく見かけるが、たしかに現地で靴だけ履き替えるのは効率的にも見える。だが森岡さんは「服装はゴルフ場の格式に配慮すべき」と言う。
上司や取引先と行くゴルフなら、会社のメンツを潰すことのない良識ある服装が必要だ。名門ゴルフ場の正会員ならば相応の品格を求められるし、ビジターも正会員への礼節を表さねばならない。「ゴルフ場はオフのスタイルだからこそ、ビジネスのドレスコードとはまた違ったカジュアルのドレスコードが必要」という森岡さんが、具体的なコーディネートを示してくれた。
ネイビーブレザーが一着あれば、ゴルフにも仕事にも着回せる。
シルバーのメタルボタンが目印のネイビーブレザー、略して“紺ブレ”は、仕事着にはもちろん紳士の社交場にも相応しい上着。たとえばゴルフの行き帰りには、チェック柄のシャツにチノパンや今流行のドローコードパンツといったカジュアルパンツをセットする。
このようなプレッピー風味の装いは、ジャケットカジュアルの代名詞であり、誰にでも似合うスタイリングだ。衿元にはシャツと同系色のスカーフを差し、ポケットチーフもあえて柄物を使うなど、いつもと違った小物を愉しむのも一興。こんな着方なら休日ゴルフのお洒落を楽しめる。
「日常と違うファッションを楽しむのもゴルフをする喜びの一つ。普段、仕事でジャケットを着るけれど、休日カジュアルとしてジャケットを着ない人にこそ、こういう印象の良いカジュアルスタイルを楽しんでほしいですね。チェックのシャツはカジュアル感を演出しやすいですしブレザーとの相性も抜群。スカーフを足して首元を隠すと、若々しく見えるというメリットも期待できます。アスコットタイほど堅くないので、洒落っ気を醸すのにも便利です」
紺ブレを購入したものの、月に1回程度のゴルフ専用では寂しいうえにコスパも落ちる。そこで平日はご覧のようにタイドアップして仕事着にも着回したい。一見スーツのように見えるが、ここではパンツも同色ネイビーを選んでいる。このように色目に気をつけてコーディネートすれば、ブレザーもスーツのような雰囲気に着ることができるのだ。服選びが難しいと思われるなら、お気軽にイセタンメンズのスタイリストにご相談を。
「ネイビーブレザーにネイビーパンツを組み合わせて遠目にはスーツっぽく見える。ブレザースーツという着方は、スポーツ選手などで好んで着られる方もいます。このブレザーは、大人の男性が安心して着ることができるフィッティングとなっているのも特徴です。ブランドによって、シルエットやサイズ感は様々ですので、大人には年齢を超えた安心感のあるブランド選びが肝心なのです」
スタイリッシュゴルファーはダブルのジャケットを羽織って。
ダブルのジャケットなら、よりファッショナブルなスタイリングができる。たとえばタートルネックのセーターに、柄パンツという組み合わせならクラブハウスでもスタイリッシュ。ノーネクタイだからこそ、ポケットチーフをさり気なく使うのもいいだろう。ブレザー感覚で着るダブルのジャケットは、柔らかく軽い着心地の、アンコン仕立てのものを選ぶこともお忘れなく。
「カシミヤ混ジャケットは、これだけでも十分に品のある洗練された感じがしますが、コーディネートに洒落っ気を演出したいので、グレーを生かしたモノトーンにまとめてみました。パンツはチェック柄が目立ちますが、ジャケットと同じトーンのグレーがベースなので、浮いた感じに見えるなんていう心配はありません。タートルネックはフェミニンな印象もあるので、大人の男性をとても温厚そうに見せてくれます。もし余裕があるなら、同じニットの同色カーディガンも購入しておけば、ニットアンサンブルとしても着られますね」
もちろんダブルのジャケットは普段使いもできる。ダブルのスーツには少々抵抗のある世代でも、こんなふうにグレーのパンツとセットして、あまり色数を使わないコーディネートに仕上げれば、スタイリッシュな都会のビジネスマンの雰囲気が漂うだろう。シャツはグレーのストライプ、ネクタイもグレンチェックという具合いに、色数を白、黒、グレーに絞ることで、ダブルの貫禄がストイックでモダンな気分に変換されるというわけだ。
「モノトーンと聞くと、黒がベースと思いがちですが、冠婚葬祭ならともかく、普段着るのにはちょっと重すぎますよね。そこでグレーと白をメインに、黒で引き締めるという着方にするとオフィスでのドレスコードも気になりません。ここでは靴やベルトなど小物を黒にして締めるのがポイント。それにグレー、白、黒は無彩色ですので、お好きな色を1点、自由に差す楽しみ方もあります。ネクタイにだけ色を使ったり、ポケットチーフだけ柄ものにしたり、あるいはカラフルなバッグを持つのもいいでしょう」
ゴルフウェアから脱却すれば、ゴルフはもっと楽しめます。
今、多くのファッションブランドが機能性と備えたユーティリティなウェアをリリースしている。そこにはゴルフ場へ向かうだけでなく、プレーにも着られる服が揃っているのだ。森岡さんご自身もゴルフをする際、ファッションブランドからゴルフに着られる服を選ぶこともあるという。
「ストレッチ素材を混紡したパンツなら、スウィングの邪魔にならないし、ポロシャツやニットもファッションブランドのものでも、十分機能的なものがあリます。ゴルフバッグもまた然り。ロッカールームではスポーツバッグより、有名メゾンのトラベルバッグを持ち込む人もいますよね。ぼくの周りの友人でも、そういう人が増えてきています」
ところで、森岡さんのゴルフの腕前は、と尋ねると「ただいま炎上中(笑)」と頭を掻いた。冒頭で「ゴルフの上手な人ほど、ゴルフウェアを楽しでいる」と書いたが、腕前はともかく、ゴルフを楽しむことに上手い、下手は問わない。ゴルフの楽しみ方のひとつとして、道具を選ぶように、服を選んでみてはいかがだろう。
Photo:Natsuko okada
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