米の放冷作業を行う薄井さん。作業中の目は鋭い。


麹造りを行う麹室。右奥が弟であり杜氏の薄井真人さん。

古いから新しい酒造り


伝統的な酒造りを見直す取り組みは、木桶だけに留まりません。たとえば、原料には「亀の尾」という古代米を使っています。「亀の尾」は、様々な酒造好適米や食用コシヒカリなどの先祖にあたるお米。ですが、その多くの子孫のように栽培しやすいよう品種改良されていないのが特徴です。扱いが難しいにもかかわらず、人の手を加えない米本来の生命力が宿る「亀の尾」にこだわるなど、薄井さんのナチュールへの姿勢は一貫しています。

「人間が、楽になるように変えてきた部分が、実は一番大切なところだったのかもしれない」という薄井さんの言葉の通り、現代において他の蔵元が行わないようなクラシックな酒造りを改めて見つめ直すことで、結果として新しい味わいが生み出されている。この「古くて新しい」というものづくりこそが、〈せんきん〉という酒蔵を表しています。

「何もかも古かったら、だめじゃないですか。メイクやファッションのように、酒の味も何十年も前と同じじゃ受け入れられません。味わいは新しく。だけど、そのプロセスがトラディショナルだから、そこに蔵の個性が入ってくるんです」。今年はさらに4つの木桶が増えると力強く語る薄井さん。その言葉には、木桶での酒造りへの確かな確信と期待がうかがえます。

*20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。
*価格はすべて、税込です。

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