リンゴのような果実香やユリのような弾ける華やかさなど、厚みのある甘味が特徴。酒米「亀の尾」のポテンシャルを凝縮した1本です。

<せんきん>
仙禽 鶴亀(720ml) 5,400円

それぞれの木桶に宿る蔵付酵母の違いが、多彩な味わいをもたらす「ナチュール」。自然派の生酛仕込みです。

<せんきん>
仙禽 ナチュール(720ml) 2,160円

ともに■粋の座/和酒
 

木桶が蔵の個性を映し出す


「日本酒を機械工業品ではなくて、伝統工芸品にしなくてはと思いました」。そこで、本質的な酒造りを目指木桶が蔵の個性を映し出すした薄井さん。そのためには、機械化する前の時代に針を戻す必要がありました。そして行き着いたのが、「生酛造り」、「手作業」といった、先祖たちが行っていた頃のような酒造りへの回帰。「木桶仕込み」というのも、その答えのひとつです。

「木桶は、使えば使うほど、これが本流だったんだということが分かります。要するに木桶は、菌と戦うんじゃなくて、菌と共存していくための道具なんです。目標とする味わいから逆算して造るような効率の良いやり方だと、菌をなくすことが重要。だけど、木桶仕込みはうちに棲みついている微生物が酒を造っているわけだから、人間が完全に仕上がりをコントロールできない。それが酒蔵の個性になるんです」。

ナチュールを掲げる〈せんきん〉は、人工的に乳酸菌も酵母菌も入れません。蒸し米と水、麹だけを使って蔵付酵母とともに造るから、その時々によって味が異なる。それが面白いのだと薄井さんは語ります。木桶の魅力は、環境や状態の変化とともに味わいが移りゆく、まさに蔵の個性をきちんと描写してくれるところなのかもしれません。