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島地勝彦は編集者でありバーマンであり、そして作家と多彩な顔を持つ男である。

この日、島地は大手町・アマン東京のシガーラウンジ「フュモワ」にいた。正面にスカイツリー、眼下にはビジネスビルの夜景が広がる。1月17日（火）、サロン・ド・シマジが伊勢丹新宿店メンズ館を飛び出し、ここで一夜だけのアネックスを開催するのだという。凛と冴える冬の夜、島地が極上のシングルモルトとシガーで客人を饗す、おとなの社交場。島地はソファに深く腰掛けると、カットした極太葉巻をシダー片でゆっくりと炙った。

編集者であり作家、そして＜サロン ド シマジ＞のバーマンと多彩な顔を持つ島地勝彦

島地は云う。

「葉巻はダビドフ、酒はシングルモルト。最高の夜、至福の時間だ。

ダビドフは品質管理に優れていてな。なにしろドローがいい。最高級のキューバンシガーに比肩する。シングルモルトはタリスカー。
葉巻は大人の男の最高の趣味だと若い頃、柴田錬三郎先生に教わった。シングルモルトは開高健先生に。

私が憧れた、人生を謳歌する、カッコいい大人たちさ。バーでは、そんなカッコいい大人たちを教えているつもりだよ。


スパイシーハイボールで飲るのがいい。ピートで燻蒸した、特別な胡椒を使っているのだ。シェイクするのもいい。スコットランドでは定番の飲り方さ。

ストレートとオンザロックは禁止だ。開高先生は、いつもストレートだったがね。水割りだった私は軟弱者！と叱られたが、先生は五十と七つでこの世を去った。やはりウイスキーはストレートで飲んじゃいけない。ストレートがカッコいいのは西部劇の中だけさ。

カウンターでジョン・ウェインが飲るだろう。クレイジーだと醸造所のオーナーが笑っていたよ。


ロンドンではジェントルマンズクラブで遊ぶとき、葉巻の匂いがつかないように着替えるものだ。預けていたスモーキングジャケットを羽織りキャップをかぶってね。そうしてまたスーツに着替えて家に帰るのは、女房の前に英雄なしだからな。

サロン ド シマジでは、銀座壱番館のビスポークができる。預かりサービスを利用している客人のために、ここへも持参しておこう。


葉巻を喫うようになってシガレットはやめたよ。あれは煙草葉を紙で巻いた工業製品だから。編集者で作家で本を売っている私が、紙を焼くわけにはいかないだろう。

身体によくない？ 冗談を言っちゃいけない。順天堂大学の奥村教授によれば、ニコチンは認知症予防に効果があるというじゃないか。だから私はボケる心配はないのだ。健康な肉体に、健康な精神が宿るなんていうけどな。不健全な精神を宿すためにも、肉体は健全でなければならないのだ。不良いことをやるために健康でいるのだ。

葉巻一本吸えるぐらいの元気があればなんでもできる。


昔はさんざん遊んだよ。銀座のクラブで、ホテルのバーで。一年一億は使ったかな。バーの壁にかかってる『遊戯三昧（ゆげざんまい）』という言葉の意味がわかるかね？遊びのなかに真実があるという仏教用語だ。この意味がわかりようになったら、まぁまぁの男になったということ。いくらかわかるようになったが、まだ、全部はわからないがな」


話の合間で呼吸するように煙を味わいながら。もう半分ほど灰になっていた。葉巻は「ウィンストン チャーチル」。政治家であり軍人であり、そして作家と多彩な顔を持つ男の名であった。

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「Aman Tokyo × ISETAN MEN'S ──＜サロン ド シマジ ANNEX＞島地勝彦とシガー＆モルトを語り合う一夜」
□日時：1月17日（火）20時から
□場所：アマン東京 33階 シガーラウンジ「フュモワ」（〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-6 大手町タワー アマン東京）

■定員：15名さま
■参加費：21,600円
■予約方法：店頭またはお電話にて承ります。下記担当までお問い合わせください。*定員になり次第、ご予約の受付を締め切らせていただきます。予めご了承ください。

お問い合わせ
メンズ館8階＝イセタンメンズ レジデンス 担当：森・楡井（にれい）
03-3352-1111（大代表）

*20歳未満の方の喫煙は法律で禁止されています。
*20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。
*お車（二輪車・自転車を含む）を運転されるお客さまと未成年の方の飲酒・試飲はご遠慮ください。
*価格はすべて、税込みです。

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Text：Ikeda Yasuyuki
Photo：Ozawa Tatsuya

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03-3352-1111（大代表）