2024.08.03 update

スイスの腕時計ブランド<チャペック>CEOザビエル・デ・ロックモーレル氏スペシャルインタビュー

伊勢丹新宿店で行われる年に一度の時計の祭典「WATCH COLLECTOR‘S WEEK/ウォッチコレクターズ ウィーク」が、7月3日(水)~7月16日(火)の期間開催された。
会期中には日本の伝統工芸をテーマにスイスの気鋭ブランドが作りあげた、伊勢丹新宿店ウォッチが登場。
 

日本とスイスの伝統が融合した、伊勢丹新宿店のスペシャルモデル


スイスの腕時計ブランド<チャペック>からは、山形県庄内地域の伝統民芸で、日本三大刺し子に数えられる「庄内刺し子」からインスパイアされた、伊勢丹新宿店の特別なモデル「アンタークティック SASHIKO」のインディゴブルー・エディションが発表された。
伊勢丹新宿店ではこの発売を記念して、7月12日(金)にエクスクルーシブな顧客イベントを開催。このイベントのために、<チャペック> CEO のザビエル・デ・ロックモーレル氏がスイスから来日。

【イベント登壇者】 左から、通訳士 兼 鶴岡市観光ガイド 岡部 浩美氏、庄内刺し子アーティスト さとう 恵美氏 <チャペック>CEO ザビエル・デ・ロックモーレル氏、司会進行 兼 伝統工芸産地情報発信サイト「CRAFT LETTER」編集 岡本 幸樹氏
【イベント登壇者】
左から、全国通訳案内士 兼 鶴岡市観光ガイド 岡部 浩美氏
庄内刺し子アーティスト さとう 恵美氏
<チャペック>CEO ザビエル・デ・ロックモーレル氏
司会進行 兼 ピハナコンサルティング代表・工芸産地情報発信サイト「CRAFT LETTER」編集長 岡本 幸樹氏

19世紀にナポレオン3世の御用職人として活躍した、天才時計技師フランソワ・チャペックをルーツに持つ<チャペック>は、時計愛好家を中心としたクラウドファンディングで資金を調達し、2015年にブランド復興を果たしたスイスの時計ブランドだ。伊勢丹新宿店にロックモーレル氏を招いたイベントでは、時計作りや日本民芸について学ぶトークショー、スイスのワインと山形庄内砂丘メロンや蔵王チーズの粕漬とのペアリング、庄内刺し子のタペストリーや織物の展示といった、五感で愉しめる体験が用意された。

<CZAPEK/チャペック> アンタークティック SASHIKO 4,950,000円 SSケース:直径40.5mm/約60時間パワーリザーブ/12気圧防水/自動巻/伊勢丹新宿店限定45本

CZAPEK/チャペック
アンタークティック SASHIKO 4,950,000円
SSケース:直径40.5mm/約60時間パワーリザーブ/12気圧防水/自動巻/伊勢丹新宿店限定45本

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伊勢丹新宿店モデルのSASHIKO(刺し子)ダイヤルは、日本の伝統民芸の幾何学的な線と立体性へのリスペクトから生まれた。この蓮の花をモチーフにした<チャペック>のオリジナルデザインは6つのファセットで構成されており、ダイヤルに光が当たることで多彩な表情の変化が生まれる。アンタークティックにはもともと40.5mmと38.5mmという2種類のケースサイズが存在しており、40.5mmのケースサイズで作製されるSASHIKOモデルは、この伊勢丹新宿店モデルが世界初。さらにディープブルーダイヤルでの製作も、世界初の試みとなる。

限定モデル誕生の裏側に迫る、エクスクルーシブなトークショー

<チャペック>CEO ザビエル・デ・ロックモーレル氏
イベントの席でチャペックCEOのロックモーレル氏は、アイコニックなアンタークティックのダイヤルに刺し子のデザインを取り入れた理由を次のように語った。

「刺し子の素晴らしさを教えてくれたのは、世界中の民芸や伝統工芸を愛する私の妻でした。新しい時計のダイヤルを飾るギョーシェのデザインを探していたところ、彼女は日本の刺し子に見られるさまざまな幾何学模様を紹介してくれたのです。その中の一つが、『アンタークティック SASHIKO』に取り入れた蓮の花のデザインでした。蓮の花は“永遠”を象徴するモチーフとして知られていますが、我々チャペックも復興を遂げたばかりのブランドということもあり、ぜひともこの文様をギョーシェに取り入れたいと考えたのです」


最初に作られた「アンタークティック SASHIKO」は、ダイヤルの色に蓮の花をイメージしたピンク色を採用していたが、今回新たに誕生し三越伊勢丹とのコラボレーションモデルでは、藍染の木綿布に白糸で刺す庄内刺し子本来の色合いを踏襲して、インディゴブルーが採用された。ロックモーレル氏はこの特別なモデルをデザインするにあたり、伊勢丹新宿店のスタッフとともに山形県を訪れ、改めて庄内刺し子の魅力に触れてきたという。


「元々庄内刺し子は、海で漁をする男性たちのために、女性たちが海の安全や豊漁豊作などの願いを込めた文様を刺したもの。庄内刺し子の起源に立ち返ったことで、よりマスキュリンな印象に仕上がったと思います。山形もスイスも冬場には雪が多く、家の中でできる手工芸が盛んになったという点においては、文化的な共通点も感じています」
イベント会場には山形から庄内刺し子アーティストのさとう恵美氏を招き、長半纏や衝立などが展示された。伊勢丹新宿店の「アンタークティック SASHIKO」には、さとう氏が製作した庄内刺し子のウォッチピローやピロー袋が付属する。


「刺し子のパターンを取り入れる上で最も気をつけた点は、ギョーシェ自体の造形的な美しさはもちろんですが、それをいかにしてダイヤルのデザインとして成立させるかです。刺し子のパターンをリピートするだけでは、どうしても単調な印象になるはずです。だから『アンタークティック SASHIKO』のダイヤルには、ギョーシェの上にリング状のデザインを乗せており、ダイヤルの印象を落ち着かせ、さらに時計らしいデザインに仕上げています。

新たなインスピレーションに溢れた、ひとときの文化交流


会場に訪れたゲストたちからも、「アンタークティック SASHIKO」のデザインに関することや、技術面に関することなどさまざまな質問が投げかけられた。そしてロックモーレル氏は一つひとつの質問に対して、時に情熱的に、時にユーモアを交えながら丁寧に説明し、ひとときの顧客との交流を時間の許す限り愉しんだ。山形県庄内地域とスイスの文化に五感で触れたスペシャルイベントは、盛況のうちに幕を閉じた。

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Text:Shingo Sano
Photograph:Tatsuya Ozawa

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