【特集】ファッション界のレジェンドたちが本気で考えた“白シャツ”を纏う楽しみ~「ISETAN HOME HOTEL」第2弾~
※店頭のイベントは諸般の事情により開催中止とさせていただきました。
尚、本記事でご紹介している商品は三越伊勢丹オンラインストアにてご購入いただけます。
「ISETAN HOME HOTEL」参加ブランド・デザイナー
<Camoshita UNITED ARROWS/カモシタ ユナイテッドアローズ>鴨志田 康人
<AUBERGE/オーベルジュ>小林 学
<Graphpaper/グラフペーパー>南 貴之
<HEUGN/ユーゲン>小山 雅人
<cantate/カンタータ>松島 紳
<COLONY CLOTHING/コロニークロージング>高田 朋佳
幅広い年齢やスタイルの方に楽しんでいただける“白シャツ”が完成!
──2回目の開催となる「ISETAN HOME HOTEL」で、白シャツにフォーカスした理由を教えてください。
稲葉 「ISETAN HOME HOTEL」は、「いつもの時間を豊かにする」という、大きなテーマを目的にしたライフスタイルやコンセプトを提案するポップアップショップです。その中で、いつもの時間を豊かにする洋服は絶対に必要なアイテムです。その上で洋服を作るならスタイルを作る上で欠かせない「白シャツ」が良いと思っていました。そんな想いを、日本を代表するデザイナーやブランドに協力してもらってできたのが今回の白シャツです。
──錚々たる参加メンバーですが、オファー内容は?
稲葉 デザイナーそれぞれの想いを形にするため、僕が出したオファーは、①白シャツであること ②皆さんが考える家で着たい形や素材であること ③ジェンダーレスに着られることの3つだけです。形や素材も価格も指定せず、皆さんが「ISETAN HOME HOTELのコンセプトに合うにはどういうシャツがいいのか」を考えたものを形にしていただきました。皆さん、本当に素晴らしい作り手の方たちですが、僕が憧れるクラシックスタイルを代表する鴨志田 康人さんのアプローチから、カジュアルシーンをリードする<グラフペーパー>の南 貴之さんまで、幅広い年齢やスタイルの方に楽しんでいただける“白シャツ”のラインナップになりました。作り手の想いが凝縮したシャツをお楽しみください。
<カモシタ ユナイテッドアローズ>鴨志田 康人「上質な普段着~私が出会った⼀枚のシャツ」
<カモシタ ユナイテッドアローズ>鴨志田 康人
──「家で着たい形や素材」というオファーに、日々の生活の中で上質な寛ぎが味わえるようなシャツに仕上がりました。鴨志田さんがこだわったポイントを教えてください。
「今回の「ISETAN HOME HOTEL」のお話をいただいたときに、一枚のシャツが思い浮かびました。それは数年前のパリのフリーマーケットで買ったスペイン製のヴィンテージシャツです。シンプルな白いシャツですが、細かなステッチで丁寧に縫われた質の高いもので、背中のヨークがウエスタンシャツのように曲線になっていて、ボディとアームホールはボリュームがあり、肩周りは程よくフィットしているので腕が自由に動かせます。実際、自分は部屋着として愛用しています。今回はこのシャツを元に作ることにしました。ボディはほぼオリジナルのままです。特に背中のヨーク部分の曲線が気に⼊っているので忠実に再現しました。」
「また、使い勝手を良くするために、フロント部分にブザム(胸当て)を付けて、携帯電話などを収められるようにしました。素材はシーアイランドコットンの上質な生地を使用し、リラックスした佇まいでありながらエレガントな雰囲気に仕上げています。」
──シャツに込めた想いやデザインのポイントは?
「シャツの良し悪しは生地で決まるといっても過言ではありません。このシャツに使用した生地は、英国の伝統を継承する<David & John Anderson>のもので、今は生産をイタリアに移して、昔ながらの美しいドレスシャツ用の生地を作り続けています。なかでも、シーアイランドコットンを使用した細番手の生地はシルクのように滑らかで、洗い込むほどに肌に馴染んでいきます。家に居ながらにして、リゾートホテルで寛いでいるかのような上質な着心地を味わうことができます。」
「縫製はスペイン製のヴィンテージシャツをお手本にして、生地を縫い合わせた部分の極細の巻き伏せ縫いや、ヨークとカフス部分のギャザーを忠実に再現したことで、繊細な生地の美しさが一層際立ちました。洗うほどにステッチ部分に細かいシワが刻まれていき、質の高い深みが増していきます。また、袖は2枚袖で、立体的に腕を曲げた時にも動きやすいように仕上げました。」
<オーベルジュ>小林 学 フレンチヴィンテージ感溢れるリネン生地と特徴的なディテールに注目
<オーベルジュ>小林 学
──とても<オーベルジュ>らしさを感じる白シャツになりました。小林さんがこだわったポイントを教えてください。
「1900~30年代のフレンチマリン(海軍)のヴィンテージリネンシャツをイメージベースにしました。<オーベルジュ>の物づくりの主軸はフレンチヴィンテージですが、フレンチヴィンテージで現存するリネンシャツ生地はどれも極めて高密度な細い番手で、その再現には極めて高い技術が必要です。今回使用した生地はフレンチリネン100%の60/1(60番単糸)の平織りで、日本で最も高密度にリネンを織ることができる弊社指定の機屋(はたや)のものです。当時は“道具として着られていた” ミリタリーマリンシャツの雰囲気は、そんな高密度な表面感から醸し出されます。」
──シャツに込めた想いやデザインのポイントは?
「夏に着るシャツなので、約100年前に採用されていたフランス海軍のマリンシャツから着想を得た、ゆったりフォルムのリラックスシャツにしました。前身頃の深めなV字開きからは、下に着るカットソーとのコンビネーションが楽しめるので、カラーで遊んだり、ボーダーでマリン感を強調したり、思い思いに着てほしいですね。」
「デザインポイントには、<オーベルジュ>の定番ディテールである3本針ステッチを多用。製品にはシャツ用のストーンウォッシュをかけていて、表面に微起毛を感じる仕上がりになっています。サイジングは、肩幅を広めに落とし気味にしているので、ある程度身長があればユニセックスで着こなせます。」
<グラフペーパー>南 貴之 タイプライター素材の「着てみたらわかる白シャツ」はこだわりが満載
<グラフペーパー>南 貴之
──シルエットや素材に魅力溢れる思わず袖を通してみたくなる白シャツができあがりました。南さんがこだわったポイントを教えてください。
「生地は、数あるコットンの中でも希少性が高く、<グラフペーパー>のプロダクトにおいても親和性のある“スビンゴールド”を使用して、柔らかくしなやかで上品な光沢があり、肌触りも最高品質のタイプライタークロスを使用して製作しました。」
「製品で洗いを施し、こなれた風合いも味わえる、今回の別注だけのエクスクルーシブなモデルです。洗いざらしでラフに着てほしいですね。柔らかくしなやかな空気や光を感じられるような素材感や光沢が伝わるとうれしいです。」
──シャツに込めた想いやデザインのポイントは?
「デザインは、オーセンティックなレギュラーカラーでありながら、ドロップショルダーでボリュームのあるボックスシルエットのオーバーサイズドシャツです。<グラフペーパー>で人気の高いレギュラーサイズをオーバーサイズにして、羽織るような着用感を楽しめるようにと製作したシャツなので、Tシャツの上に合わせてシャツジャケットのように着ても、タックインをして着ても、空気を纏うかのような着心地を感じられるはず。」
「大きいシャツは下に伸びてしまったくらいのバランスがかっこいいと思います。『だらしなくないのだけれど、どこか抜けているな』とか、『キメてるようでキメていないぐらいのニュアンス』がいいので、レギュラーサイズとはパターンも変えていて、よく見るとヨークやポケットの位置を下げているのもポイントです。」
<ユーゲン>小山 雅人 素材と計算された設計で快適な着心地の「空気を纏うような上質シャツ」
<ユーゲン>小山 雅人
──拘りが随所に詰め込まれたシャツですね。小山さんがこだわったポイントを教えてください。
「今回のシャツは、コロナ禍の中でリラックスして着用できる上質なシャツをテーマにデザインしました。モデルは、コレクションのインラインのバンドカラーシャツをベースにしています。<ユーゲン>のバンドカラーシャツは、ヴィンテージの英国の軍物のシャツをベースに作り込まれていて、肩幅はジャストフィットなのに対して、裾にかけてリラックスしたフォルムを描いているのが特徴的です。」
「今回の伊勢丹新宿店・三越伊勢丹オンラインストア別注では、幅広いお客さまに着用していただきたいという思いから、ドレスシャツの印象が強いインラインよりも素材を柔らかくすることや、袖の縫製の手法を変えることで、よりリラックスして着用でき、まるで空気を纏うような上質なシャツを目指しました。」
──シャツに込めた想いやデザインのポイントは?
「生地は、スビン原料を用いた140/2の糸を別注で作り込み、ハイカウントのタイプライター素材に仕上げました。糸自体の撚り回数を甘く仕上げたカットソー用の糸をベースにガス焼きを施し毛羽を無くすことで、きれいな表情ながらも膨らみのあるソフトな生地に仕上げました。このタイプライター生地は、着ていくうちに独特のシワと表情が生まれ、風合いもソフトになってくるのが魅力です。」
「全体的なフォルムは、肩幅をジャストサイズに設定し、裾の蹴回しでボリュームを出してリラックス感を表現している本格的なメンズシャツです。裾を出したり入れたり、表情がつけられて品良いスタイルを演出します。」
「ディテールでは、袖の運動量を確保するために2枚袖の独特な切り替えにしていたり、襟は1900年代初頭のスタイルであるデタッチャブルカラーを再現。背のヨークの切り替え位置が高く設定されているため、背中のタックが肩甲骨の上に乗り可動域を広げています。
さらに、運動量を確保するためのテールのカットと、広がることを想定して設計されたガセットデザイン、アームホールの着用感をより良くするために、クラシックな手法である手縫い縫製を施しています。」
<カンタータ>松島 紳 テキスタイルの達人が満を持して作り上げた「リネンの極致」の白シャツ
<cantate/カンタータ>松島 紳
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──バイヤーも思わず唸るほどスペシャルなリネンを使った白シャツに。松島さんがこだわったポイントを教えてください。
「「ISETAN HOME HOTEL」の企画をいただいたとき、ちょうどこのシャツに使ったリネン生地を試作していました。リネンを英語でタイピングするとよくLINE、と間違えるので調べてみたら、諸説ありますが、リネンは文字に表すとLINEN、人間が初めて見た真っ直ぐなものだからLINE(直線)から派生したと言われています。リネンは人類と結びついていて、古代エジプトのミイラを包む布がリネンだったり、ヨーロッパの貴族の間でも重宝されていました。
そのリネンですが、麻ともいいます。「麻=リネン」だと思いがちですが、実はもう少し広義になり、リネン、ラミー、ヘンプと3種類のことを麻といいます。「これはリネンですよー」と言われても実はラミーだったということはよくある話ですね。では、「リネンってなんですか? 本物の最高級のリネンってなんですか?」と訊かれたら、業界人も知らないのもよくある話です。
コロナウィルスのせいで家で過ごす時間が多くなってしまい、この生活がいつまで続くかわからないからこそ、ストレスを少しでも軽減して家での生活がより豊かになって欲しいと思っています。『貴族しか触ることも許されなかった、これがリネンです。』と胸を張って言えるリネンと、<カンタータ>のパターン技術、縫製で出来上がったシャツでゆっくり休んでください。」
──シャツに込めた想いやデザインのポイントは?
「今回の生地は、<カンタータ>がずっとリネンを買い続けてきた信頼関係から、やっと扱うことができたスペシャルなリネンで、経緯糸ともにリネンではありえない、極細番手150番を双糸にして使用しています。
非常に白度に優れ、自然な光沢と滑らかさが特徴的な糸ですが、このリネンの糸は3~4年に一度、世界でも数百キロしか取れない超がつくほどの極細繊維が収穫できた翌年に紡績されます。極細で大変貴重な糸なので、合糸、撚糸の各工程でも作業効率を下げてでも機械の回転数を落とし丁寧に扱って双糸にしています。双糸になった糸を無染色のまま低速織機でゆっくりと、しっかりと織り上げています。」
「双糸にしてゆっくりと綾織で織り上げることで、膨らみを与えられた生地のシワは丸みのある柔らかなシワになり、単糸織物に比べて毛羽立ちも抑えられ、長く愛用していただきながら、経年変化も楽しんでいただける生地になっています。デザインや仕様では、裾の三つ折り、手付けの釦や、肩と袖口のギャザーなど細部へのこだわりも見てほしいですね。」
「サイジングは、家でゆっくり着てそのままお出かけできるように、ルーズ過ぎないよう気を計らいながら決めていきました。2サイズ展開ですが、大きめは男性、小さめは女性~小柄な男性にまでストレスなくフィットするよう絶妙なバランスになっています。
最近はサイズ選びですらストレスに感じることも多いはず。服を作っている側からすると申し訳ないと強く思うので、今回の白シャツはサイズを考えるストレスまで軽減できたらいいなという想いも詰まっています。」
<コロニークロージング>高田 朋佳 おうちで着て、リゾートシーンにも映える「パイルテックシャツ」
<コロニークロージング>高田 朋佳
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──見て着て触って納得できる夏向きの白シャツ。高田さんがこだわったポイントを教えてください。
「<コロニークロージング>にとってパイル素材は欠かせない素材の一つです。パイル素材は、家族や自分の周りの人たちを優しい気持ちにさせる素材で、ビーチアクティビティやプールサイドを連想させる素材です。シンガポール発のブランドとして、リゾートやラグジュアリーを触れるだけで身近に感じることができる新しい素材を探し出しました。」
「今回の白シャツには、パイル素材とSOLOTEXが混ざった新時代のリラックス素材を使用。従来のパイルの弱点だった伸縮性のなさを克服しています。ブランドで一番人気のモデルをベースにした3サイズ展開です。」
──シャツに込めた想いやデザインのポイントは?
「シルエットは、肩が少し落ちる<コロニークロージング>ならではのもので、小銭などを入れて使えるジップ付きポケットもポイントに。」
「パイル素材は水を吸う素材なので、ガウンみたいな使い方をしても◎。機能性を持たせたシャツを羽織って、家で、街で、大切な人との時間を楽しんでください。」
今回の白シャツは、着用シーンを想像しながらお選びください!
稲葉 それぞれの想いが感じられる6枚のシャツ、いかがでしたでしょうか。私は完成したシャツを見て、非常に興奮しました。セレクトされた素材や、仕様、ディテールに対するこだわりを、皆さまにも楽しんでいただけると思います。
今回の白シャツを選んでいただく際には、ぜひ着用シーンを想像していただきたいです。いつもの時間に溶け込み、少し贅沢で豊かな気持ちになれる、そんなアイテムに仕上がっています。
Text:Makoto Kajii
開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
※店頭のイベントは諸般の事情により開催中止とさせていただきました。 お客さまにはご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。尚、本記事でご紹介している商品は三越伊勢丹オンラインストアにてご購入いただけます。
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