【特集】三越伊勢丹女性社員はどう思う?今どきスーツのカジュアルな着こなし方。
今、「スーツ」や「セットアップ」など、テーラード型のジャケット&パンツをカジュアルに着るスタイリングが、オフィスカジュアルの浸透とともに人気となっている。インナーはシャツをノータイで着るスタイリングだったり、ポロシャツやカットソー、Tシャツなどを一枚で着て、足元はスニーカーというスタイリングも多く見られる。
「スーツ」の仕立てもノータイで着られるように、芯地を省いた軽いジャケットのものになっていたり、ジャケット、パンツをそれぞれ単品着用できる「セットアップスーツ」が豊富にリリースされているのもブームを後押ししている理由のひとつ。伸縮性や撥水性のある生地を使い、一見かたちはテーラード型だが、仕立て方もクラシックなスーツとは異なり着心地も軽快。それでいてスタイルは上品に大人っぽく仕上がるので、休日のカジュアルとしても、若い世代を中心に広まっている。
そこで今回は「スーツ」のカジュアルスタイリングを、三越伊勢丹の女性社員がチェックする座談会を企画。実際のところ、テーラード型のスーツスタイルを休日に着ることを、女性はどのように見ているのだろうか。先に答えを書いておくと、出席者から出てきたコメントは、細かな着こなしの機微だった。日頃、カジュアルスーツをオンオフ問わず着る方にとって、スタイリングの参考になる意見をとくと拝聴いただきたい。
スーツカジュアルはオン&オフに浸透中
── いまメンズファッションでは「スーツ」をカジュアルに着るスタイルが注目されています。
吉川 ノータイを推奨する企業も増えていますよね。
小島 私の部署ではオンなのかオフなのかわからないスタイルの方もいたりします。
﨑谷 休日に会う友人にも、セットアップスーツにTシャツ、スニーカーというスタイルの男性もいますね。
山内 最近のセットアップスーツは、素材とかデザインがクラシックなスーツとは、ちょっと違いますよね。
── そうですね。本来の「セットアップ」とは共生地でも上下別々に購入できるスーツを差しますが、最近ではポリエステルのテクノファブリックを使ったテーラードジャケットとスラックスを組み合わせたセットアップスーツが人気です。Tシャツやスニーカーも合わせやすいのでカジュアルにも着こなせるのでしょう。
﨑谷 ポリエステル素材のセットアップにTシャツ、ニットといったスタイルは、私の周りでも最近多くなってきた気がします。
山内 これからの季節はジャージーやリネンなど清涼感のある素材のシャツを合わせたりして、ちょっとした小物使いでアクセントを加えて着てもいいですよね。
── 今日はセットアップスーツやスーツを休日に着るスタイルをご覧いただきます。女性からどのように見えるか、皆さんの屈託のないご意見を伺えればと思います。
1. Tシャツ感覚で気軽に羽織るジャケットとパンツをセット
イタリアの人気クラシックメゾン<TONELLO/トネッロ>からカジュアルラインとして誕生した<T-JACKET/Tジャケット>は、Tシャツのように気軽に着られるジャケットが豊富に揃うコレクション。組下のパンツを用意したセットアップスーツは、都会的なモダンデザインを志向しながら、胸ポケットや袖の飾りボタンを排するなどしたミニマルなデザインがアイコン的。今回はカジュアルシャツの裾をアウトして着ることで、カジュアルなスタイリングに。衿元にはスカーフを巻くことで大人っぽい小物使いを意識してみた。足元はダブルモンクを素足履きにして、ドレス感を損ねないコーディネートとしている。
カジュアルセットアップは小物使いがポイント
── テーラード型のセットアップですが、仕立ての軽さと細身のシルエットでドレスにもカジュアルにも着られるデザインです。シャツを裾出しで着て、衿元にはスカーフを巻いてみました。
山内 きれいめのスーツカジュアルですね、生地はウール100%なので、一見機能的には見えないですが…。
── ウール100%ですが、ナチュラルストレッチで伸縮性や撥水性が備わっているんです。
小島 へー、そうなんですね。ネクタイをしてないからカジュアルってことですよね? 私には十分、ドレッシーに見えました。
﨑谷 スカーフを巻かれている方って、お洒落感度が高いような気がします。
山内 たしかにおしゃれ感度高いですね。メンズ館では春夏シーズンはおしゃれなバイヤーやスタイリスト(販売員)の中では定番的な着こなしなんです。
小島 お洒落だと思いますが、難易度高めですよね?
吉川 色柄がはっきりしいるスカーフだと難しいのかな。いい年の重ね方をしている大人の男性に似合いそう。
小島 40代ぐらいで、派手めのスカーフが似合う方は素敵だなって思います。
山内 若い人の場合は大々的に見せるより、衿の内側にチラッと見えるぐらいが使いやすいのでは。
── さらに細かくみると随所にカジュアルなデザインが採用されているので、オンオフに対応できるようになっています。仕立て方もソフトなので堅苦しく見えないとか、腰ポケットがパッチポケットなのでスポーティに見えるとかですね。
山内 胸ポケットがないデザインですね。デザインを削ぎ落としていくことで、シンプルでモダンな印象になっているんですね。
小島 私はシンプルなデザインも素敵だと思うんですが、ノータイでポケットチーフだけさしてる人もとてもお洒落だと思います。
吉川 可愛らしい色柄を覗かせてたら素敵ですね。小物でお洒落を楽しんでいる感じがして好感がもてます。
2. イタリアンクラシックをモダンスタイルに変換
毎シーズン個性的な素材使いと、クラシックなテーラリング技術を用いたモダンスタイルでメンズスタイルをリードする<THE GIGI/ザ ジジ>。今回はリネンとコットンの混紡生地のスーツに、ニットポロを合わせるコーディネートで、カジュアルスタイリングを提案。上掲に倣い、スカーフを巻くことで、大人のアクセサリー使いもプラス。足元はドレススリッポンとして、いま人気の高い<Baudoin & Lange/ボード イン アンド ランジ>のベルジャンシューズを合わせることで、ラグジュアリーカジュアルを意識したコーディネートに仕上げている。
ポロシャツ&スカーフは”三角地帯”に注意!
── 次にご覧いただくのはイタリアの人気ブランドです。シルエット的には、いかにもイタリアンクラシックな印象です。リネン×コットン素材なので、先程よりちょっとカジュアルな雰囲気があります。
小島 リネンって清涼な季節感が感じられるので、上手に着ている方は素敵ですよね。
── 先程のセットアップのパンツはスリムテーパードのスラックス。こちらはウェストがシャーリングのイージーパンツです。パンツのシルエットが違うだけで見え方が随分違うと思います。
小島 イージーパンツってことは、お腹まわりが楽そうですね。
﨑谷 一見、イージーに見えないぐらいすっきりしていますね。足元も、ローファー? 細身で上品な感じに見えますね。
山内 いま流行りのベルジャンシューズですよね。足元がすっきり見えると、お洒落に見えますよね。
小島 休日にこういうスタイルだと、ちょっとドキッとしちゃいますね。
吉川 休日なのにジャケットを着ているというのが、いいですよね(笑)。
小島 スーツだと、さらにワンランク上って感じがします。
── さきほどはシャツでしたが、こんどはニットポロに合わせてみました。
﨑谷 ジャケットにポロシャツをあわせるっていうのは新鮮かも。
吉川 ポロシャツってラクそうですが、そこが色気と結びつきづらい気がします。育ちが良くて知的で上品ですが、個人的には長袖のシャツを腕まくりしてるほうが大人の男性としてカッコよく見えます。
小島 ポロシャツにジャケットを羽織るだけで、色気がだせて素敵じゃないですか。好感度も高いです!
── ではネックにスカーフを巻く小物使いはどうでしょう?
﨑谷 こんなふうに結び目を外に出すよりも、先程と同じだけど、中にちらっと見せたほうがいいのでは?
小島 私はスカーフとニットポロの間の三角地帯が気になる。
山内 クルーネックのカットソーなら、三角地帯が気にならないんじゃないかな。
3. アウトドアから都市までカバーする現代人のパフォーマンスウェア
<MONOBI/モノビ>はイタリアの生地メーカー、BESTE社が手掛けるアパレルブランド。素材開発力を背景に、アウトドアシーンから都会生活までをカバーできる機能的な素材を洗練されたデザインで展開するパフォーマンスウェアを得意としている。セットアップスーツはテーラード型のジャケットの他、パーカやブルゾンと組み合わせたコレクションもラインナップ。ここではポリエステル混のセットアップスーツにシンプルな白いニットカットソーを合わせ、足元はスリッポンタイプのスニーカーでコーディネート。後半では、ジャケットとパンツのサイズを変えたクロスコーディネートでシルエットをアレンジした着こなしも紹介しよう。
シャカシャカ素材のセットアップはオンもオフも好印象!
── 最後はポリエステル混素材のセットアップスーツです。IT系の企業や広告代理店などでは、ユニフォームになりつつあると言われる、いわゆる“シャカシャカ素材”のタイプです。
吉川 街で、よくお見かけします。
山内 仕事でも休日でも素敵に見えると思います。
﨑谷 白いインナーはカジュアルだけど、すっきりしていて清潔感もある。そこまでくずしすぎていない感じもいいのでは。
── 足元はスリッポンタイプのスニーカーです。これまでの2つのスタイルより、リラックスした印象ですが、上品に仕上がっているのではないかと思います。
小島 お休みの日のカジュアルとしては、かなり良い! デートの待合わせ場所に、このスタイルで来られたら惚れ直します(笑)。
吉川 インナーを替えるだけでオン・オフの着回しもできそうですね。
山内 そうですね、たまにはタイドアップして、気持ちを引き締める日があってもいいと思います。
── こちらのセットアップスーツは、ジャケットもパンツもそれぞれジャストサイズとルーズといった組み合わせ方にトライしてみました。
吉川 シルエットを気にして服を選べる人って、お洒落だなって思います。
山内 男性の服はデザインやブランド選びも大切だけど、まずはサイズ選びとフィッティングにこだわってほしいですね。
﨑谷 ウィメンズもいま、ゆったりしたシルエットが多いですが、男性も同じ流れですよね。ワイドパンツとかも流行っていますし。
小島 テレビを見ていても、若い俳優さんとか、ワイドパンツだと雰囲気2割増な感じがありますよね(笑)。
吉川 確かにかっこいい(笑)。でもワイドパンツを履くお洒落な雰囲気の人は緊張しちゃいます(笑)。
山内 アイテム選びに、こだわりがあるっていうのが大切なのでは。パンツの裾丈、靴との組み合わせ方、くるぶしの覗かせてる分量にもこだわりがあると、お洒落な人だなって思います。1cm違うだけで、すごく違うので。
小島 女性のパンツも七分と八分で、すごく違うのと同じですよね。
山内 セットアップスーツのように、きれいめなスタイルはとくにフィッティングは重要。カジュアルだったら、多少ゆるくてもいいと思うけど、仕事で着るならジャストサイズのほうがいい。
小島 カジュアルは、少しルーズでユルいぐらいのスタイルのほうが好きかも。パンツのシルエットも細すぎるより、ちょっと余裕があるぐらいがいいですね。
山内 オフのシルエットはリラックス、オンのシルエットは王道というのがいいんじゃないでしょうか。
吉川 そうですね。オンとオフにギャップがある方が、意外な一面が垣間見られて、女性ウケするのかもしれませんね。
Photo:Natsuko Okada
Text:Yasuyuki Ikeda
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