新入社員の服装が変わる⁉ 各業界の20代ビジネスマンが、業種別ドレスコードをリアル対談!


前回記事では、三越伊勢丹に今春就職が内定している学生2名に、ビジネススタイルの業種別ドレスコードを、メンズ館スタイリストに提案してもらった。さらに今回は実際に様々な業界で活躍する20代のビジネスマンにお集まりいただき、スタイリングを見ながら、自社のドレスコードと照らし合わせたリアルな声を聞いてみた。すると想像していたより浸透しているビジネスカジュアルの現状と、これからフレッシャーズになる学生諸氏にとって実に参考になるスタイリングのアドバイスを聞くことができた。これまでの「フレッシャーズはこうあるべき!」「ビジネススタイルの基本はこう!」を打ち破る、リアルなビジネスマンの声を聞いていただこう。

↓前回の記事はこちらから↓


  1. 就活スーツは無難が第一。個性の演出はフレッシャーズから
  2. フレッシャーズは参考に。業種別に提案する新社会人のドレスコード
    1. 1. 金融、不動産に適した正統派スーツスタイル
    2. 2. コンサル、外資系企業にはお洒落系スーツスタイル
    3. 3. ジャケパン姿はもはやオフィスで一般化
    4. 4. 休日〜ビジカジまでOKな新定番スタイル


  • 今回、座談会にご参加いただいた4名



    津山健太郎さん
    29歳。入社式以来、スーツ出勤は数えるほどという津山さんは、大手メーカー、マーケティング部門に勤務。社内のドレスコードは部署によって差が大きく、スーツ出勤の部署もあれば、Tシャツにジーンズ、スニーカーの人もいるとか。津山さんも普段はカジュアル出勤。会社にジャケットを常備しておくことで、急な来客など“正装”を求められる席に対応している。


    園田玲於さん
    26歳。コンサルティング会社から、創業期のベンチャー企業に参画した園田さんはベンチャーの事業開発・営業部門に勤務。日々のスケジュールに合わせて営業時にはスーツにネクタイを締めていくこともあれば、内勤日Tシャツ&ジーンズでいくこともある。


    佐藤祐介さん
    26歳。大手町の金融機関本社に勤務。ドレスコードが急激に変化しつつある業界だけに、佐藤さんが務める企業も昨年、内勤者のスーツ、ネクタイを廃止したが、営業職の佐藤さんはクライアントがお堅い企業ということもあり、毎日タイドアップしたスーツで出社している。社内にも急にカジュアルOKになったことに戸惑いを隠せず、ノータイスーツで出勤する人も多数だそう。



    中村宗一郎さん
    28歳。広告代理店に勤務。クリエイティブかつ自由な社風のイメージだが、社内のビジネススタイルは、金融機関担当はスーツ、外資飲料メーカー担当はジーンズでも可といったように、担当するクライアントに合わせた服装が基本。中村さんはマーケティング部門で外資系企業を担当。ジャケットにタートルネックといった品のあるスマートなオフィスカジュアルを心がけている。


就活スーツは無難が第一。個性の演出はフレッシャーズから

―― 本日はご参加いただきありがとうございます。フレッシャーズスタイルの座談会ですが、皆さんの会社のドレスコードに照らし合わせてご意見を伺えればと思います。登場するモデルは、今春三越伊勢丹に入社する2名の学生です。まず初めに、内定式の自前の服装を御覧ください。

 
 

中村 スーツにネクタイ、無難ですよね。
佐藤 内定式なら目立たない感じでいいんじゃないですか。リクルートだったら、個性を演出する手もあるけど。
中村 私は少し明るめのネイビースーツで、他と差別化できるようにしていました。

―― 皆さん就活スーツは何色でしたか? やはり黒?

津山 私はネイビーとチャコールグレーを着分けていました。
園田 私もネイビーでしたが黒も持っていました。
佐藤 私はダークネイビーでしたね。
中村 私もネイビーだったんですが、少し光沢感あるスーツでした。黒のスーツって元々略礼服として着られていたものですし、、、個人的にちょっと顔色が悪く見える気がして(笑)。

―― 大学の就職課では黒いリクルートスーツを推奨しているところもあると聞きますが、黒、ネイビー、チャコールグレーあたりが定番かと。服装で突出した個性をアピールすることを避けるためのようですが、入社したら少しずつ自己アピールできるビジネススタイルが望ましいのではないでしょうか。では、さっそく伊勢丹メンズ館でコーディネートしたスタイリングを見ていただきましょう。


フレッシャーズは参考に。業種別に提案する新社会人のドレスコード


1. 金融、不動産に適した正統派スーツスタイル






―― ではまず最初のスーツスタイルです。ちょっとお堅い企業でも通用する正統派の着こなしです。

佐藤 金融機関では、一般的なスタイルです。色の配分も印象が良いですね。
中村 うちの営業にも、こういう服装の人いますよ。担当先が多岐にわたるので、金融機関や不動産関係、政府系などを担当する営業は、こういった正統なスーツスタイルが多いです。爽やかで好印象だし、どこに出ても恥ずかしくない格好じゃないですか。
津山 うちの社内にいたら、「転職活動?」って言われそう(笑)。私の部署(マーケティング部門)は内勤メインなので、いませんね。営業でも、昔ながらの部署にはいるかな。


園田 私は営業に行く時は、あえて正統派のスーツを着ていますが、もう少しスーツが柄物だったり、ネクタイの色が明るいとかアレンジはしますね。あまり堅すぎると、今度の営業先はずいぶん堅いところなんだろうと思われそうです。

―― 社内の部署や、担当するお客さまに合わせて服装を変えることはビジネススタイルの基本ですね。皆さんはどうされていますか?

佐藤 鞄はブリーフケースですね。私も営業に行くときは、こういう鞄です。
津山 私は通勤時からリュックですね。お客さまのところへ行くときもリュックのまま。
園田 私もリュックが多いですね。つねにパソコンを持ち歩くので。
中村 社内にはブリーフもリュックもいますけど、トートバッグが多いかな。もちろん、こういうしっかりスーツを着るときはブリーフのほうが似合うと思うので、やはり服装に合わせた鞄選びが大切じゃないかと。
園田 リュックなら抱えて持てるけど、ブリーフって電車内で邪魔になることありませんか? 鞄だけ持っていかれちゃう、みたいな(笑)。
中村 ブリーフも抱えればよくない?(笑)。


佐藤 私は通勤時は手ぶらです。社内の規定で、書類やPCなど一切持ち出せないので、文庫本を1冊持って出社します。
津山 私はPCを持ち歩くことが多いので、たいていリュックですが、持ち歩かない日は手ぶらにしたい。できるだけ荷物は少なくしたいとは思っています。
中村 代理店は紙資料が多いので鞄は必須。最近はペーパレス化が進んでいますが、やはり部署によって文化が違うんです。メディア部門はスーツに手ぶらという人もなかにはいますが、営業部門は書類や資料、サンプルなんかを持ち歩くので、鞄は大きめになりますね。


――  足元はいかがですか?

佐藤 基本的に革靴です。内勤の方でスニーカーを履いているひともいるけど、お客さまのとこへ行く際は革靴ですね。
中村 うちはスエード素材のブーツでも大丈夫です(笑)
園田 歩きやすさも大切ですが、営業時は第一印象が重要なので、極力良い靴を履くことを心がけています。


2. コンサル、外資系企業にはお洒落系スーツスタイル






――  こちらはネイビースーツに茶靴、ネクタイもトレンドの大柄で、華やかなスーツスタイルです。

中村 良いスーツですね。生地感が明らかに違う。
園田 たいぶ気合入ってる感じです。以前の職場がコンサルなんですが、こういう人いました。外資系とか、化粧品業界とかアパレルとか、お客さまによって、こういうスタイルがハマるパターンもあるみたいです。
津山 フェリージのバッグってところが、外資っぽいかな(笑)
中村 うち外資じゃないけど、僕持ってますよフェリージのブリーフ。金具とショルダーストラップが付いて、新しくなったんですよね。でも確かに外資系って、フェリージのイメージある。
佐藤 金融にもフェリージはいます。ただこのスタイルは、社内では少し浮きますね。営業ではここまで派手なスーツは着ないでしょうし、内勤の方はもっとカジュアルなので、こういうスーツスタイルの人は僕の周りにはいないです。派手なのはネクタイだけですが、柄が大きいものは選ばないかな。とにかく目立つことを好まない社風というか、周りの空気を読んで、社内で浮かないようにする感じです。
中村 茶靴はどうなの? 金融機関って黒靴のイメージだけど。


佐藤 そこはどちらもありですね。私も黒靴のときと茶靴のときがありますし。ただし茶色は濃いものに限ります。メーカーさんとか、よく明るい茶靴履いてる人いるじゃないですか。金融機関にはあまりいないですね。
津山 黒も茶も持ってるけど、会社にはスニーカーなので履くこと自体、結婚式とかぐらいかな。
園田 私は茶靴派です。
中村 私も茶靴のことが多いかも。黒靴は堅い印象に見えるので、クライアントのプレゼンの時に履くくらい。


3. ジャケパン姿はもはやオフィスで一般化






――  こちらはジャケパンです。ネイビージャケットにグレーパンツ。タイドアップしてますが、鞄も靴も茶色のレザーで、どちらかというとビジカジと言っていいでしょう。

佐藤 これ、金融機関でも許されると思います。上品でお客さまにも不快じゃないし、印象もいいですよね。去年、服装規定が大きく変わったばかりなので、まだそれほど多くないですが、これから増えてくるのではないでしょうか。そのへんも空気を読みながら、ですが(笑)。
津山 一時、転勤でシンガポールとベトナムに勤務していた時期があるのですが、その時はこういうスタイルでした。現地での商談時は、スーツというより、ジャケパンが多かったです。地域にもよると思うのですが、先輩でロンドン勤務だった方は敢えて、ずっとスーツスタイルだったと聞いたこともあります。海外では、相手の服装に合わせるのが基本。国内でも、お客さまのドレスコードに合わせるのがビジネススタイルの基本じゃないでしょうか。
中村 代理店ぽいっスね(笑)。こういう人、多いですよ。タッセルローファーを履いてる人も多いな。


――  現場でも代理店っぽいって声がでていましたから(笑)。ベンチャーとかスタートアップっぽくもあるのでは?

園田 逆に、あまりこういう方はいないかも。もっとかっちりスーツを着るか、あるいはもっとカジュアルか、両極端な気がします。それに先程、ビジネスカジュアルと仰っていましたが、ドレス感もありますし、鞄だけ見るとカジュアルにも見える。ちょっと合わせ方が難しそうですが、バランス感のあるスタイルだと思います。


中村 ネイビージャケットとグレーのパンツも合っているし、ジャケパンスタイルのお手本みたいなものじゃないかな。
津山 荷物が多いときはレザーのトートバッグが良いですよね。
園田 私はパソコンが入るサイズがマストです。でも持ち歩く時は、手持ちよりリュックのほうが便利なので2WAYタイプのバッグが良い。
佐藤 このタイプのカジュアルなバッグを持ってる人は見かけたことがないですね。


4. 休日〜ビジカジまでOKな新定番スタイル






――  スーツやネクタイを着なくてもいい職種や業種が増えたことで、カジュアル出勤OKの職場は増えました。とはいえラフすぎるカジュアルは遠慮して、このぐらいの上品カジュアルがいまどきのスタンダードなのではないでしょうか。

津山 中にTシャツを着て、ジャケットを羽織るスタイルは、うちには多いですね。流行りのセットアップスーツも多いです。
園田 ジャケットを羽織ってるだけで、十分だと思います。


中村 IT系やスタートアップ系は、こういうスタイルが好きな人が多い気がします。ここでは革靴ですがスニーカーにデザイナーズ系のトートバッグを持って、AppleWatchするでしょ(笑)。
園田 たしかにベンチャー、スタートアップ、IT系には、洋服好きな人が多いかもしれません。
佐藤 今回、ぼくは出番ないかもしれませんね(笑)。いや、もちろん内勤やデジタル系の部署で、こういう服装の方もいると思います。金融機関もベンチャー担当やフィンテック開発など、新しい分野を切り開いてく部署はありますし、そういう人たちが好みそう。

――  やっぱり、ここまで崩すと怒られますか?

佐藤 注意されることはないでしょう。服装というかネクタイが多少派手でも、上司が注意するようなことはないと思います。周りも、仕事ができれば一目置くので、そういう方は服装がどうこう言われることはないでしょう。だから、逆に金融機関で服装が目立つのは、仕事ができる自信がある人なんだと思います。
佐藤 銀行だとあまり派手ではないですが、証券会社ならもう少し派手めの人もいるのではないでしょうか。ただネクタイの柄はストライプか小紋柄になると思います。プリント柄とかペイズリーっていうのは、あまり見かけない。その代わりというかスーツは、きちんとオーダーしますね。


中村 私は伊勢丹メンズ館の5階で扱ってるようなブランドが多いかも。あと柄物とか。ネイビーは多いけど、グレンチェックとかも着ますし。
佐藤 金融機関はなぜかチャコールグレー率が高いですね。
園田 なんとなくグレーよりネイビーのほうが合わせやすいので、選びがちです。ブランドにはあまりこだわらないですね。スーツは既製、服はカジュアルな服でもOKです。
津山 あ、私も某ファストファッション大好き。普段着はもちろん、会社でも着てますよ。
佐藤 大手町では、そのブランドあまり見ないかなぁ。
園田 四谷三丁目も大丈夫です(笑)。


――  ビジネススタイルは自社の規定というよりも、お客さまに合わせたり、会社の風土によっても様々です。ただこれまでのように画一的なビジネススタイルは通用しなくなってきました。業種や部門だけでなく、その日のスケジュールやお会いする相手に合わせても変えるべきで、これも働き方の改革なのかもしれません。伊勢丹メンズ館でも、フレッシャーズスタイルをおすすめする際の参考にしたいと思います。

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Photo:Natsuko Okada
Text:Yasuyuki Ikeda

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