【特集】通勤におすすめ、スーツに合うビジネススニーカー決定版!──機能&実用性が詰まった厳選4ブランド
テーブルの上に一堂に揃ったのは、ビジネススタイルに適した4ブランドのスニーカー。クールビズでネクタイを外し、シャツがTシャツになり、スーツも機能性素材になって、足元にはスニーカーが定番になってきたが、メンズ館地下1階チーフバイヤーの福田隆史は、「スポーツメーカーのスニーカーは特定のスポーツ目的のための靴なので、スーツやセットアップには、歩く、働くなど、ライフスタイルの中で普通に履けるように作られているスニーカーがマッチします」とアドバイス。見た目にスマートで、履くとコンフォートなビジネススニーカー選びのポイントは、ズバリ“イノベーション”だ。
左から、メンズ館地下1階チーフバイヤーの福田、紳士靴アシスタントバイヤーの谷口、同担当バイヤーの田畑、ISETAN MEN'S net編集長の田代
世界的な本格靴メーカーが作るスニーカーに注目
「スーツにスニーカーを合わせても大丈夫ですか?」――昨今、そんなお客さまが増えている。
「ブランドロゴやアイコニックなモチーフが目立つスニーカーはオフに履くので、オンは“ドレス顔のスニーカー”を履きたい」という声が高まる中、“全身のビジュアル”を気にする方におすすめするのは、軽く、歩きやすいというコンフォートさは重視しつつ、アッパーは革などのドレス素材で、色は上品に履きこなせる黒か白、そしてソールはスニーカーソールという作りの靴だ。
スニーカーというより、「長時間の移動や天気の変動などタフな仕事環境などでも履きやすい」レザーシューズという捉え方をしたシンプル&ミニマルな“ビジネススニーカー”のバリエーションが充実してきている。
今回、伊勢丹メンズ館の靴賢者が自信を持って選んだのが、<COLE HAAN/コール ハーン>、<GEOX/ジェオックス>、<ecco/エコー>、<CAMPER/カンペール>の4ブランド。紳士靴担当バイヤーの田畑は、「この4ブランドは、世界中にある革靴メーカーの中でも開発力と技術力を誇り、常にイノベーションを続けて進化しているグローバルブランドです。開発のための設備投資に莫大な資金を投入しているので、テクノロジーを駆使したイノベーションが生まれやすく、良質な履き心地がお客さまに還元されます」とコメント。
働き方改革によって働き方が多様化し、オフィスでのスタイルが多彩になるにつれ、靴の選択肢が増えていくのも自然な流れ。スーツやセットアップの素材やデザインに合わせて、スマート&コンフォートな上質スニーカーをチョイスしてみたい。
1. COLE HAAN/コール ハーン
スーツ×スニーカースタイルのパイオニア
谷口 私が入社1年目のときに、「仕事でも履けるスニーカーがほしい」と選んだのが<コール ハーン>の「グランドプロ テニス」です。ドレッシーな見た目に反して、履いてみると驚くほど軽量で、一日履いていても疲れにくいので手放せなくなりました。
福田 革新的なソールを搭載したモデル「ルナグランド」の日本デビューは、メンズ館地下1階=紳士靴でした。爆発的に売れて、「ビジネスで履くスニーカーなら<コール ハーン>」というのを確立しましたね。
田畑 それまでなかなか破れなかった“ビジネススニーカー”という壁を、テクノロジーを用いて<コール ハーン>が打ち破りました。
谷口 テクノロジーに加えて、アッパーとソールの色の組み合わせが豊富で、新作ではブラウンも登場。つま先と踵に滑り止めが付いて、グリップ力の高さにも定評があります。
田畑 <コール ハーン>を履いて、<コール ハーン>を買いに来るお客さまもたくさんいます。
福田 もう一足の「ゼログランド ウィング オックスフォード」は、革靴と同じようにケアをして履ける新感覚のブローグシューズです。愛着を持って履ける一足ですね。
谷口 「ゼログランド」は見た目は重厚感があるドレスシューズですが、ソールに屈曲性とクッションの良いGrand.OSを採用し、とても快適に履きこなせます。
田代 <コール ハーン>は、上質な革を使い、中のステッチなどを見ると本格的な靴ですが、削ぎ落として軽量化に成功しています。そのクラフツマンシップと革新性の融合がすごいですね。
田畑 実際に履いてみると都市生活の中で非常に快適なので、リピーターが多いのも頷けます。
谷口 「グランドプロ テニス」は購入して3年目ですが、仕事でもオフでも履ける汎用性が高いのも魅力ですね。
2. GEOX/ジェオックス
ファッション性を高めた“伊勢丹別注”に注目
福田 <ジェオックス>は、イタリア生まれの“呼吸する靴”として有名で、靴底に開けた穴から汗を排出し、通気性良く靴内をドライに快適に保ちながら、外部からの水を侵入させず、蒸れを逃がすシステムを搭載しています。
田畑 「蒸れない靴=ジェオックス」として、一日外を歩く営業職の方や、靴を長持ちさせたい方から圧倒的な支持があります。靴内の湿気が逃げるので、アッパーの革の質もキープでき、メンテナンスフリーの靴としても人気がありますね。
谷口 この福田さんが手がけた伊勢丹メンズ館限定のスニーカーは、アッパーの革の質感がカッコイイですね。ソールも程よい厚みがあるので、テーパードパンツの足元にボリュームをもたせるなど脚長効果もありそうです。
福田 <ジェオックス>の素晴らしい機能性に加えて、「もっと大人っぽいスニーカータイプを」と、アッパーにレザー界のカシミヤと称されるソフトな質感と細かいシボ感が魅力のチェルボを特別に採用。軽量でクッション性の良い厚底ソールと組み合わせ、さらに、ロゴを型押しにしてさり気なくアピール。イタリアの工場で生産数限定です。
田代 福田さんらしく、素材の組み合わせと仕様にこだわったエクスクルーシブなスニーカーですね。ツルッとしたレザーよりシボ感がある方がニュアンスが出て、「クリーンすぎないスタイリング」にちょうど良いと思います。
谷口 店頭でも好評で、ダッドっぽい厚底ソールが好きな20代から、高級感に惹かれる50代のお客さままで幅広く購入されますね。実際に履くと軽くて、アッパーが柔らかく、スラックスからカーゴまで自由に合わせられます。
田畑 自分は出張時に愛用しています。通気性が良いのに、雨にも履けて、とてもコンフォートに履きこなせますね。
3. ECCO/エコー
最先端のイノベーションに一目惚れ
田畑 <エコー>は他のメーカーと違う点が2つあります。まず、アッパーなどに使う革を自社で生産・製造していて、高品質なレザーを使えるのが最大の強みです。自社使用の他にラグジュアリーブランドに卸したり、AppleのiPhoneカバーに使われるほど信頼を得ています。
福田 <エコー>の革は本当に良いですね。一日履くと良さが分かります。
田代 例えるなら、<コール ハーン>の革は手に取った瞬間に良さが分かり、<ジェオックス>は履いて数時間後に良さが分かり、<エコー>はじっくり良さが伝わってくるという感じですね。
田畑 もう一つの魅力は製法です。スニーカーはほとんどがアッパーとソールを貼り合わせるセメント製法ですが、<エコー>はソールの形状に合わせた金型にソールの素材を流し込む「FLUIDFORM™」製法での一体成型になっています。
福田 「ECCO ST.1」に施された丁寧なレザーウェルトはその証しになっています。
田畑 一般的なセメント製法はアッパーとソールを貼り合わせるためにフラットな形状にせざるを得ませんが、FLUIDFORM™製法は足型に合わせてミッドソールを作ることができるので、底面にフィット感が生まれます。
谷口 ベストセラーモデルの「SOFT8」はシンプルでかっこいいデザインで、この一足がきっかけになって「スーツにスニーカーを合わせる着こなし」を楽しまれる方が大勢います。硬めのソールで長く歩いても疲れにくいのも人気のポイントですね。
田畑 福田さんと一緒に<エコー>の工場視察に行きましたが、まさにテクノロジーが詰まった靴が生まれてくる場所でした。
福田 伝統的なカーフクラストアニリン染めのレザーを纏った「VITRUS」と、モールド開発から生まれたインレイソールのマッチングなど、見どころも満載でした。
田代 <エコー>のすごいところは、ビスポーク職人の技術の域をテクノロジーで実現しているところですね。いわば、「クラフツマンシップを大事にするために効率化している」とも言えます。
福田 高度な技術力と開発力を背景にして、革靴好きも納得できる履き心地を提供してくれます。
田畑 メンズ館のお客さまを見ていると、グッドイヤーウェルト製法の履き心地が好きな人は<エコー>の靴が好きなんですよね。テクノロジーが生み出した上質な履き心地をぜひ多くのお客さまに知ってほしいですね。
4. Camper®/カンペール
幅広い世代から高い支持
田代 <カンペール>は靴の産地として有名なスペインのマヨルカ島にある靴メーカーで、靴製造の技術力はもちろん、アーティストとのコラボレーションなどデザイン面のイノベーションでファッション好きから注目されています。今回は定番モデルの「Beetle」と「Neuman」をピックアップしました。
福田 「Beetle」といえば、インソールとアウトソールを一体成型し、シューレースにゴムひもを採用したシューズとして有名です。
田代 実際に履いてみると足を包み込む感じがあって、甲のフィッティング感を感じます。また、足なりの木型で、前足部が動きやすいのが履き心地の良さに繋がっていますね。
谷口 ポロシャツなどカジュアルなビジネススタイルの方が店頭で気に入ることが多いです。
田代 もう一足は、「ビジネスシューズ=外羽根プレーントゥ」という20代のサラリーマンが必ず気に入る「Neuman」です。やや丸みのあるつま先は、クラシックな中にエレガントなシルエットを生み出します。
田畑 独特なデザイン力に加えて、このモデルは360ºステッチで、優れた耐久性にも定評があります。
福田 普通の革靴と同じく、ポリッシュができるのも、靴磨き派には満足できるポイントですね。
Photo:Tatsuya Ozawa
Text:Makoto Kajii
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