コートの新潮流は、"着丈長め"が今年的
クラシックスタイルはストリートファッションやデザイナーズモードに比べて、ゆっくりと移り変わっていくものだ。だが、そのスピードは年々加速しており、ここ数シーズンは、ジャケットのアンコン化やパンツシルエットのテーパード化など、その変化は目に見えて著しい。メンズ館5階=ビジネス クロージングのバイヤー稲葉智大は、こう話す。
「今年はコートのシルエットに変化が見られます。じつは2年ほど前からこの傾向は始まっていて、ピッティ・ウォモ(※世界最大級の紳士服展示会)でも顕著に見られていたのですが、今季は明確にトレンドとして打ち出されています」。
コートの流行はステンカラーやトレンチ、チェスターフィールドなどモデルへの特化と同時に、着丈の長さもにも表れる。とくにフィッティングがジャストフィットからスリム&タイトにモディファイされていく時代を経て、ここ数年はモードやレディストレンドの影響を受けたデザインも見られるようになっている。モード&レディスのトレンドでは、ビッグシルエットやオフショルダーなど、ややゆったりと着るアウターが主流だが、メンズにもその傾向が見られるという。
「具体的にはこれまで短丈が中心だったコートの着丈が、ぎりぎり膝下まで長くなっています。肩もやや落ち気味で、オフショルダーやドロップショルダーなどと呼ばれるリラックスシルエットが登場していて、ラグランスリーブなど肩が落ちる見え方になる仕様もトレンドの一端を担っているようです。伊勢丹メンズでも多くの人気ブランドで、こういった類のコートが登場します」と稲葉。
<パイデア>コート324,000円
*9月19日(水)より展開予定
<パイデア>のポロコートは、同ブランドが使用するGFBのファクトリーにあったポロコートの型紙をベースに着丈をやや長めにアップデートしたもの。バランスを整えるため、ラペル幅もワイドに修正されている。素材にはカシミヤ100%のメルトンを使ったラグジュアリーな装いは、決して一過性のトレンドシルエットではなく、むしろオーセンティックに近づいたように見える。
<タリアトーレ>コート113,400円
*9月19日(水)より展開予定
<タリアトーレ>からはタイロッケンが登場する。トレンチコートの前身といわれ、フロントにボタンがなくバックルベルトのみで留めるラップ型コートだが、膝下丈、ラグランスリーブに加え、優雅に返る大型のリーファーカラーが雄々しい印象だ。このモデルはオーナーのピーノ・レラリオ氏と伊勢丹メンズが別注のトレンチコートを模索していたところ、ピーノ氏のアイディアでタイロッケンとして完成したものである。
これまでジャケット、パンツと変わってきたメンズスタイルだが、シルエットと共にディテールでも魅せる新たなコートの登場で、今季は大きく変化する可能性がある。もっとも印象を左右するアウターは、着る人の個性を打ち出すのにも効果的で、周りからの印象をもっとも顕著に操るからだ。スタイルをがらりと変えたいなら、この秋冬は狙い目。コートで勝負を掛ければ、確実の周囲の目も変わるだろう。
*価格はすべて、税込です。
お問い合わせ
メンズ館5階=ビジネス クロージング
03-3352-1111(大代表)