2018.03.10 update

【第1回】私の"ONE OF A KIND"──田代径大|画一的なものには抵抗がある、僕らの世代はリアルで人間味があるモノが好き

「自分を表す当たり前のものが“ONE OF A KIND”です」というのは、本サイト『ISETAN MEN'S net』編集長の田代径大(32歳)。都築響一氏の名著『TOKYO STYLE』(2003)を示しながら、「中学生のころから自分だけしか持っていないのがカッコイイもので、これまでの人生で“ONE OF A KIND”は特別なモノではなく、日常的に触れていたごくごく普通のことでした」といいます。


オーダー、既製靴、スニーカー、僕には全部違う料理です

 
自分の中ですべてが“ONE OF A KIND”であるのですが、今回は福田洋平さんにオーダーした靴を持ってきました。洋平さんのビスポークは2足目です。私は靴をおろすとき、なにか思い出になるようなタイミングを選んでいます。そうすると、その靴を履いたときに、「靴への愛情と自分の想い」が繋がって、その時間を思い出させます。この靴は2015年に妹の結婚式で履きおろすタイミングに合わせて洋平さんに仕上げてもらいました。


当時は1920~30年代のスーツの雰囲気が好きだったので、クラシックなデザインの中に、「"ガンメタ"のハトメを付けてほしい」とオーダー。落ち着いた感じのノスタルジックな靴に仕上がって気に入っています。今は、気合いを入れるときに選びますね。履くととてもきれいな靴です。

自分はメンズ館で長く紳士靴を担当していましたが、オーダー、既製靴、スニーカーは全部違う料理だと思っています。例えるなら「毎日同じモノは食べたくないけど、今日はこういうものを食べたい(靴を履きたい)」という感じで、そこに優劣はまったくありません。すべて大好きですね。

自分だけに分かるキズや傷みが残っているモノが好き

 

“ONE OF A KIND”のもう一つは、ビンテージやキズ、傷みのあるもので、腕時計は1930年代ぐらいの<ロンジン>のミリタリー感のある手巻きのモデルで、ボーイズサイズです。入社1~2年目のときにビンテージ時計店で見つけたもので、文字盤の色が褪せていて、コンディションが悪い状態で安かったのですが、こういうものの方がかえってモノへの愛着が芽生えます。


ボールペンは入社1年目に奮発して買った<モンブラン>のブルーのスターウォーカーです。スタイリストとして店頭に立っていたときに、「お客さまに良いボールペンでサインしてほしい」とお客さま用に購入しましたが、あるとき落としてキズが入ってしまいました。このキズを見ると、自分の初心や原点を思い出すので、修理せずそのまま今も使っています。


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