2017.08.12 update

連載②フロアアテンダントが新たな着こなし提案「毎週金曜日は"脱スーツ"」──伊藤忠商事×伊勢丹新宿店|"サイズバランス"をキーワードにトレンド性とスッキリ感を演出【田中裕也さんの場合】(1/2)

「1970年、京都生まれで、中2のときにDC(デザイナーキャラクター)ブームと出会って、洋服を買うのが大好きになり、<アルマーニ>などのインポートブームを経て、大学では"渋カジ"など経験。服が大好きで伊藤忠商事(以下、伊藤忠)に入社して、繊維アパレルを希望。服好きが高じて生地に興味を持ち、入社23年、繊維一筋です」という、ある意味、メンズ館のスタイリスト(販売員)やアテンダントよりも生地の知識が豊富な田中裕也さん。
「痩せているころは好きなブランドもあって、こだわりもありましたが、今は清潔感を保とうと思っています」という大柄な田中さんの「脱スーツ・デー」コーディネートを、メンズアテンダント担当の吉村と岩見が担当した。


伊藤忠商事の田中裕也さん

入社後、数年で体重104キロ、ウエスト108センチに……


学生時代はアメフト部に所属し、当時は78キロでウエスト75センチぐらいでしたという田中さん。伊藤忠では入社以来、繊維一筋で、今でも年間150日は出張があるというタフな毎日を過ごしている。

「太ってからは、着たいブランドはあるけど、着られるサイズがないという状態で、仕事のときには“清潔感があって、真面目な人”という印象を大事に、黒、グレー、ネイビーを多く着用しています」と田中さん。

「脱スーツ・デー」についてと尋ねると、「弊社ではカジュアルフライデーを行ってきましたが、やはりジャケットにシャツ、スラックスのイメージですね。自分の着こなしはまずお客さまありきなので…」と、取材の際も、自身のクライアントのストレッチが効いてシワになりにくい無地のジャケットを着用。靴も、「出張の飛行機の中で楽なんです」というファスナー付きの靴を愛用する。


「なによりもお客さまが大事で、自分はあくまで黒子の存在。お客さまの商品を着ることがまずファーストチョイスです」と田中さん

ダサいと思われているので、「黒子のままでダサくない」着こなしを


常に黒子に徹するという田中さんだが、「洋服は自分の意識が出てくるもの。商談やミーティングなどのときも“自分は今こういう気持ちで着ている”という言霊のような力が必ずあります。それを分かっているが故に、自分は相手を配慮することを重要視しています」と説明。

しかし、今回の「脱スーツ・デー」では、「最近は、服の力を感じてワクワクすることがなくなっていたので、ワクワク感の演出もしてほしいですね。"ファッションの伊勢丹"のコーディネートの力で、爽やかなルックスを表現できるのか楽しみです」と期待を語った。


伊勢丹新宿店フロアアテンダントの吉村と岩見

靴よし、パンツよし、上物よしの“下から攻める”術を実践


「田中さんは繊維のプロなので、お話を伺って、これは手強い!と思いました」と、田中さんの希望を伺ったメンズアテンダント担当の吉村と岩見。「生地や仕様にとても詳しいので、田中さんには逆に、着こなしを楽しんでいただきたいと考えました。脱スーツ・デーは、カジュアルフライデーの進化版と捉え、田中さんは清潔感を保ちつつ、堅苦しくない着こなしをと、清潔感“プラスα=サイズ感”をテーマに、きちんと体格にあったサイズの服を着ていただきます」とつづけた。

イセタンメンズネットでは何度も記事にしてきたが、『着丈、袖丈、パンツ丈など、サイズがきちんと合っている服を着ていると、夏でも暑苦しくなく、ダサく見えない』という“基本のキ”を踏まえて、田中さんのリクエスト「黒子のままでダサくない」に応える。その戦略は、靴よし、パンツよし、上物よしの“下から攻める”術。足元を見られて値踏みに負けないよう、まず靴をアップグレードし、丈の合ったパンツと、体型に合ったジャケットを。さらに、スーパーメンズサイズならではの「工夫」もプラスしたコーディネートをつくった。