今西を発掘した日動画廊との出会い
今西が発表した大学院卒業制作展でのこと。この技法で制作した作品を観た日動画廊の現代美術部門、nca | nichido contemporary artの担当者が惚れ込んだ。その時企画の展覧会出展のために選ばれたのは今西ただ一人の作品だという。
今西「この技法で制作した初期の作品でした。飛行機をモチーフにした2×3mの大作でしたね。男6人で持ち上げないと移動できないほどの重量感もあります。油絵の具を重ねて描くので、どうしてもそうなってしまいます。」
島地「現在サロンに飾っている作品についても教えてください。」
今西「花火を描いた作品ですが、上からの照明で筆のタッチの立体感がよく出ています。照明の影響力もあって面白く新しい見方ができますので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです。」
島地「あなたが作品を作っている時の感情は?」
今西「写経に近いですね。書くときはプロジェクタ-で投影して描いています。写真をパソコンで編集し、点に変換したものを投影します。背からプロジェクターの光を受けてひたすら掘っていく。それが10時間以上続いていく…。」
島地「そのモチーフは、写真か何かを?」
今西「自分で撮影した風景などを、パソコンで加工してさらに点や線だけにして、投影します。」
島地「それって新しいね。デッサンを超えてるんじゃないか?」
今西「僕らは幼いころからパソコンがあったので、違和感はなかったですね。僕はキャンバスに絵の具をのせた状態からのスタートなので、違和感というか、どうしてそういう方法をとったのかは、あまり覚えていないんですが…」
島地「あなたがキャンバスに向かってデッサンとかは?」
今西「コンピューター使って下絵を描きます。そしてキャンバスに一度投影してみて、修正したりと。本当にパソコン上でデッサンをしている感覚ですね。」
島地「それがあなたの手法なんだね。」
今西「僕の周りはこういう手法が多いかもしれません。下絵の段階で考えてパソコンでアタリをとって、投影して描く。プロジェクターの光が強烈なので、目は痛いですけどね(笑)」
島地「サングラスかけたらどうだ?モチーフは、頭の中にもうあるというか、写真で撮ったりと具象だね。」
今西「コンセプトに合っているものを。コンセプトとの整合性を取って、絵になると感じたものを選んでいます。
今度は宇宙をテーマにブラックホールとかを描けたら面白くなるなと考えています。抽象的になるかもしれませんが、今後考えながらやっていきたいですね。
さらに、他の技法も発見出来たらいいなと思います。もしかしたら2年後には自分がこの技法に飽きてしまうかもしれないので、新しい技法も発見していきたいです。」