過去の作品を二人で眺めながら、作品のスケールの大きさや、見方によって陰影などによって変化することの面白さを語り合いながら、話は美術全般へ―――

島地「あなたが一番好きな画家はいますか?」

今西「多いので一番は…。なかなか決められないですね。」

島地「しかし、先の話に出てきた東海道五十三次の作者、歌川広重にはヒントを受けたんですね。点と点で描けば、後は人の想像力が繋げてくれると感じた。」


今西「そうですね、それで一つのイメージが出来上がるのではないかと。」

初期の作品をスマートフォンで見ながら立て続けに今西は次のように話す。
今西「墨は日本人がこれまで勉強してきた素材だと思いますが、実は2種類あり油煙墨(ゆえんぼく)と松煙墨(しょうえんぼく)があります。
赤みがかった黒と、青みがかった黒があり、墨絵の方はその二つを使い分けて描いています。それを上手く作品に取り入れられないかと。新しい作品はパープルを入れてみたりと、もっと自由に絵として面白いものが出来るといいなと試しています。
最新作は、雷を描いています。筆のタッチがいい質感になっていて、離れてみると雷に見えますが、近づいてみるともったりとした、まるで絵の具がひっくり返って落ちるかのような感じに仕上げています。」

島地「技法としてはすごいね!」

今西「筆でえぐったり、そもそもこういったコンセプトで描いている画家は僕以外いないかもしれませんね。」

島地「素晴らしい!新進気鋭だな!」