グッと気温が下がってきて、冬のアウターが恋しくなる頃。去年のアウターを取り出して、「新しいのが欲しいな」と思ったあなたに太鼓判企画!――メンズ館4階、6階、7階で取り扱っている最旬ダウンウエアを、“ビジネスでもOK”という視点から各担当バイヤーが推奨します。スーツに似合うドレスタイプから、カジュアルシーンで活躍する鉄板ブランドの最新モデルまで、「読むと必ず欲しくなる」ダウンアイテム特集です。


左から柴田信友、今泉洋祐、山浦勇樹


バイヤーが提言──この冬、ダウンはまだ旬なのか


柴田信友 11月に入ってグッと寒くなってきて、冬の長期予報では、西に行くほど寒さが厳しくなるそうですが、今年のダウンはまだイケてますか?
山浦勇樹 昨年に比べるとダウンは復調してまた人気になりつつありますね。
今泉洋祐 ダウンはさまざまなデザインが揃って、「あ、寒い」と思ったときに気軽に羽織れるのが利点です。
柴田 本当に機能性下着がこれだけ普及すると、特にカジュアルは着こなし方が大きく変わってきますね。今シーズンは「ブランドの顔」になるダウンのバリエーションが増えて、探しているタイプが必ず見つかると思います。
山浦 ダウンはもともと機能的なスポーツアイテムですが、今シーズンはドレスからカジュアルまでデザインが多様化しているのは事実です。メーカー側もかなり意識して展開していますね。
柴田 ぜひ、本格的な冬を迎える前の、サイズやカラーが揃っている今のうちに“今年のイチ推しダウン”をお選びください。
今泉 スーツやジャケットの上に着たい人から、ニットやカットソーの上に羽織りたいという方まで、“今年らしいサイズ感”をいろいろお試しください。早いうちから着て楽しむのが旬アウターの醍醐味です。


<ムーレー>「シーロ」194,400円
■メンズ館4階=インターナショナルラグジュアリー

ドレスアップできる“きれいなダウン”


山浦 ではメンズ館4階=インターナショナル ラグジュアリーからこの冬のダウンをご紹介します。イチ推しは、ドレスとしての雰囲気が人気の<MOORER/ムーレー>です。ダウンは、「"イケてるオヤジウケ"する上品デザイン」ってあまりないんですね。イタリアのハンドメイドのスーツやカシミヤニットなどを好んで着る大人の男性に鉄板なのがこの<ムーレー>です。
今泉 <ムーレー>は、<クルチアーニ>や<インコテックス>を好む方で、ダウンをシャープに着こなしたいときのベストチョイスですね。
山浦 フロア別でいうと、4階はドレスアップのダウン、6階はトレンド感度の高いツヤっぽいダウンが多く、7階は機能性の高いギアに近いダウンというふうに分けることができます。
柴田 たしかに<ムーレー>はジャケットオンに着られるように進化したダウンですね。ダウンブランドのデザイン上の一番の命題・課題は、「ダウンパックをどうデザインしていくか」なんですよ。<ムーレー>が採用している縦型のダウンパックは他になくて、見た目にも新しい。それがイタリアらしさにも通じていると思います。


<ムーレー>左/「モーリス」205,200円、右「フィリップ」275,400円
■メンズ館4階=インターナショナルラグジュアリー

普段着がジャケットの人が着るダウンなら<ムーレー>で決まり


山浦 <ムーレー>は、イタリア・ヴェローナで創業した高級アウターブランドで、MADE IN ITALYにこだわりながら、ダウンを含むすべての素材に厳格な基準を課して、パーツの一つひとつに至るまで妥協することなく作り上げます。
柴田 ヨーロッパの富裕層がスキーリゾートに着ていくような雰囲気がありますね。
山浦 人気があるモデルは「SIRO(シーロ)」で、柴田が言っていたように、ダウンパックを縦の形状にして、着て細く見えるように計算して工夫しています。ラビットファー使いや展開色も大人っぽく、ボタンやファスナーにもこだわりが感じられます。
今泉 着こなしではどんなイメージですか?
山浦 やはりドレスアップのときのアウターですね。イメージでは、<ベルベスト>や<ラルディーニ>を着る人が選ぶきれいなダウンです。また、「シーロ」より丈の長いモデル「MORRIS(モーリス)」はジャケットの裾がすっぽり隠れる丈で、よりエレガントな印象で着こなせます。そして、モデル「PHILLIP(フィリップ)」は毛足の長いウール素材を使ったスポーティなデザインが特徴です。
柴田 特に着丈の長い「モーリス」はビジネスシーンでもスマートに着こなせる印象がありますね。
今泉 「シーロ」と「モーリス」はダブルブレストなので、防寒性にも優れながら、身体に沿うシルエットは本当に見事です。


<ヘルノ>「ラミナー」99,360円
■メンズ館4階=インターナショナルラグジュアリー

デザインバリエーションの多さに惹かれる<HERNO/ヘルノ>「ラミナー」の魅力


柴田 4階のダウンというと外せないのが<ヘルノ>ですね。
山浦 「Laminar(ラミナー)」はビジネスマンには定番ですが、毎シーズン、新しいデザインが展開されて、機能性に優れているのはもちろん、着てみると、「おっ、気が利いているな」という部分が必ずあります。
今泉 <ヘルノ>は女性ファンも多いですね。店頭で見ていると、「このブランドが良いから、これにしてみない?」とご主人に薦めている光景を見ますよ。
山浦 ご存知のように<ヘルノ>はクラシコイタリア協会に加盟している名門コートブランドですが、ダウンウエアに関してはかなり革新的な試みもしていて、バイヤーとしては毎シーズン楽しみにしているブランドの一つです。
柴田 現代のリッチダウンの代名詞ですね。今泉さんの言うとおり女性ファンも多いし、「ドレッシーなコートと機能的なアウター」という比較の中にギア寄りの目線が入ると選ばれるのが<ヘルノ>です。
山浦 今回ご紹介するのは、“10万円アンダー”でイチ推しのステンカラーダウンコート「PI051UL(Laminar)」です。表地は防水性に優れたGORE-TEX(ゴアテックス)で、高品質のダウン素材を備えた機能性とファッション性を兼ね備えたアウターです。都会的な顔つきのなかに止水テープなどミニマルなデザインが配されているのも人気の秘密ですね。


<ヘルノ>「セッテデニール」87,480円
■メンズ館4階=インターナショナルラグジュアリー

出張にチェスターコートを着て出かけて、現地でパッカブルダウンが快適

山浦
柴田さん、<ヘルノ>の「7 Denier(セッテデニール)」シリーズはご存知ですか。
柴田 薄くて軽くて温かくて、優秀ダウンのお手本のようなシリーズですね。
山浦 生地に特殊な7デニールという極薄手のナイロンクロスを用いて、インジェクション式と呼ばれる充填方法でダウンを作っているので、とにかく軽く温かい。現代のマテリアルの粋を感じさせるダウンです。

今泉 内側のポケットに収納できるパッカブルというのも出張族にはうれしいですよね。
山浦 海外や北国に出かけるとき、チェスターコートを着ていくけれど、バッグの中にこれ一つあると本当に便利です。
今泉 実感がこもっていますね(笑)。現地でちょっとご飯を食べに行くときとか、この実用性の高さはすごい。
柴田 とても寒い夜なら、チェスターの下に着てもいいしね。
山浦 クルクルッと丸めても復元が早くて、素材の良さを感じます。実用性が高い上に、トレンドカラーも展開しているので、何色も欲しくなります。


伊勢丹オンラインストアで<タトラス>の商品一覧を見る

<TATRAS/タトラス>に象徴される旬のダウンがある


山浦 4階から6階に上がると、旬のトレンドを感じさせつつツヤ感のあるダウンが揃います。
今泉 その代表ブランドは<TATRAS/タトラス>ですね。<タトラス>はイタリア・ミラノを拠点に、機能的で、洗練されて、唯一無二のダウンジャケットで、あっという間にダウンの定番ブランドの位置を占めました。
柴田 <タトラス>のダウンを見ていて上手いなぁと思うのは、ダウンパックの容量の絶妙な分量ですね。シルエット重視のブランドながら、ダウン量の調整が本当に上手い。
今泉 極端な言い方ですが、4階から6階、7階と上に上がっていくほどダウンパックの量は増えていきます。
柴田 まさにその通りです。7階にあるのは“チームぱんぱん”(笑)です。
山浦 7階はダウン本来のギア的アイテムが多いので、ダウン量は多いですね。


<タトラス>「ドミツァーノ」118,800円
■メンズ館6階=コンテンポラリー カジュアル

今泉 今回紹介するのは<タトラス>の新モデル「DOMIZIANO(ドミツァーノ)」のイセタンメンズ別注ダウンブルゾンで、イタリア・ビエラ地区の生地メーカー、ボット・ジュゼッペ社のウールを使用しています。今季絶好調で売れていますよ。
山浦 <タトラス>はトレンドが一番重要なファクターである6階=コンテンポラリーカジュアルの中でもブランドとして勢いがありますね。
柴田 クラシックな見た目だけどダブルジップで、ジップの縦スリットなどデザインも利いているし、キラキラ感がツヤ感に通じて、これで11万円は上手だなと思います。
今泉 <タトラス>ならではのタイトなシルエットに加えて、ぎりぎりジャケットが隠れる丈で、ビジカジ用ダウンとしての支持もあります。
山浦 <タトラス>も女性に強いブランドですが、<ヘルノ>とは好まれるお客さま層も違うし、6階を象徴するダウンですね。


<モノビ>ダウンコート 95,040円
■メンズ館6階=コンテンポラリー カジュアル

買うなら今年!扱いやすさ満点の<MONOBI/モノビ>のダウンコート


柴田
この<MONOBI/モノビ>のダウンコートも10万円アンダーなんですね。安いな。
今泉 <モノビ>はイタリアの生地メーカー「BESTE」社が2014年秋冬にスタートさせたアウターブランドで、ニューヨーク発のスポーツウエアブランドを手がけるデザイナーとのコラボらしく、とても機能的で理にかなったモノ作りをしています。
山浦 セットインの方が作りやすいのにラグランスリーブなのが珍しいですね。
今泉 <モノビ>はすべてのアイテムが防水、防風、透湿、保温の機能を持っていて、中がダウンなのですが、ステッチは使わず熱圧着にして軽量化を図っています。
柴田 トレンドの次に機能性を気にされるお客さまに最適ですね。
今泉 技術力の高さを込めた作りなので、とにかく扱いやすさではナンバーワンです。
山浦 カジュアル目線で選んでもビジネスにも着こなせるし、ユーティリティ性が高いのでどんなコーディネートでもアウターとして使えますね。
今泉 機能性を取り入れつつ、ファッション性も兼ね備えたアウターとしてお薦めします。今年のプライスは本当にお求めやすくなっているので、ぜひお試しください。


<マーカウェア>インナーダウンベスト33,480円
■メンズ館6階=コンテンポラリー カジュアル

今年一着欲しいインナーダウンベストの本命は<MARKAWARE/マーカウェア>です

今泉 コットンのロングコートを着たときに、ちょっと寒いなと思ったら、軽くてかさばらないインナーダウンベストは本当に重宝します。
柴田 いわゆる中間に着る“ミドルアウター”は今シーズン、とてもニーズがあります。7階でも「着たいコートがあるからベストを挟(はさ)む」というお客さまが多いですね。特にミドルアウターは“軽さと薄さと復元力”がキーワードです。

 

今泉 まさにそのキーワード通りなのが<マーカウェア>のダウンベストで、ダウンにはポーランド産ホワイトマザーグースを使用。ナイロンは柔らかで耐久性のある日本製で、特筆すべきは、このダウンを作ったのが日本のシュラフメーカーのNANGAということ。ギア的な要素が強いインナーダウンならではの選択だと思います。
山浦 ダウンは品質が良いと復元力がしっかりありますが、このダウンベストは素晴らしいですね。パッカブルにもなり、記号表記も遊び心があって、こういう部分も楽しませてくれます。
今泉 この一着も自分が出張に行くときの良き相棒です。襟がないことでVゾーンの収まりもよく、着こなしも幅広く楽しめます。このダウンベストは、通常モデルのツヤ感のある裏地に着目し、裏地を表地にしたイセタンメンズ別注で、3色展開です。


<サマス>ダウンジャケット 86,400円
■メンズ館7階=オーセンティック カジュアル

アウトドアでもビジネスでも着られるダウン


今泉 メンズ館6階が「カジュアル目線だけど、ビジネスでも使えるね」というダウンなら、7階は、「どこまで行っても暖かい」ダウン揃いですね。
柴田 おっしゃるとおり、オーセンティックカジュアルは、“チームぱんっぱん”がメインです。標高が高くても、緯度が高くても、普段のパフォーマンスを下げない実力があります。そんな中で、今回はビジネスでも着られるダウンをご紹介します。まずトップバッターは、7階でもギア感とツヤ感を両立させるイタリア北部生まれのアウターウエアブランド<SAMAS/サマス>です。
山浦 <サマス>と聞くと、今50代ぐらいで、昔スキーをやっていた人には懐かしいブランドですね。


柴田 メンズ館では昨年初登場で、懐かしんでくれるお客さまもいらっしゃいました。現在は日本人のディレクターがモデリストとして入ったことでフィット感が抜群に改善して、ジャケットの上に着られる、あるいはジャケット代わりになるアウターとして人気です。
今泉 同じツヤ感でも、6階ファンはモノトーン好きですが、7階は"ギミック感"が好きな方向けという印象ですね。
柴田 この<サマス>のイセタンメンズ別注アウターも10万円アンダーとして品の良い大人の男性にお薦めします。サイズはスーパーメンズまで展開しているので、ジャケット代わりに着られるダウンとしてご愛用ください。


<カナダグース>「シャトー」99,360円
■メンズ館7階=オーセンティック カジュアル

今年の<CANADA GOOSE/カナダグース>はモデル「シャトー」を指名!

山浦 さて、7階というと<CANADA GOOSE/カナダグース>ですね。
柴田 はい、今年は、モデル「ジャスパー」ファンの方に、ジャスパーの前身モデルの「CHATEAU(シャトー)」をお薦めします。
今泉 「ジャスパー」は、日本人向けのパターンで普遍的な大ヒットアイテムにですね。


伊勢丹オンラインストアで<カナダグース>の商品一覧を見る

柴田 「シャトー」は、アジア人4万人の体型を独自にスキャンしてパターンメイキングを作成。フュージョンフィットで復刻したモデルで、ジャスパーとほぼ同じ着丈ですが、実はジャスパーよりもシャトーの方がバストが細く抑えられています。
山浦 「ジャスパー」より胸回りが細いんですか?
柴田 そう、こっちの方が細いんですよ。さらに、首元のチンウォーマーのところがクリーンな素材に変更されるなど、よりスタイリッシュに着られるアウターになっています。
今泉 お馴染みのコヨーテファーも付いて、これも確実に売れますね。
柴田 来年は「シャトー」での伊勢丹別注企画をご用意する予定ですので、楽しみにしてほしいですね。


<デュベティカ>「ベガトレ」139,320円
メンズ館7階=オーセンティック カジュアル

ビジネス目線で<DUVETICA/デュベティカ>を買うなら、モデル「VEGATRE」です

柴田 ダウンというと<デュベティカ>も人気ですが、ビジネス合わせならば、往年の名選手「VEGA(ベガ)」の3代目モデル「VEGATRE(ベガトレ)」です。
山浦 ベガは<デュベティカ>のエントリーモデルとしてずっと人気ですね。
柴田 「ベガトレ」の注目ポイントはずばり“スポーツリッチ”。ベガのシルエットやディテール、内包するダウン量などを見直してアップデートさせた復刻モデルで、圧倒的に軽くクオリティも高いです。
今泉 着丈は短いですが、シルエットはきれいですね。


柴田 ツヤ感を抑えて、ファーのクオリティを上げているので、ダークスーツのみならず冬のホワイトコーデュロイのようなリッチ素材との相性も抜群ですし。ボリュームに対して重量が軽いので、運動量が多いビジネスマンにもぴったり。旅行にもかさばらないアウターです。
山浦 メンズ館の4階から7階までのダウンウエアをご紹介しましたが、フロア毎の違いを理解していただけると、よりお買いものが楽しくなると思います。
今泉 そうですね。冬はアウターの割合が多くなるので、やはり冬の着こなしの主役はアウターです。お好みのスタイルをぜひお楽しみください。
柴田 今のクローゼットの中にあるダウンを見て、好きなテイストを進化させるとか、逆のテイストのものに挑戦するなど、ぜひ、この冬のダウンウエアで、ビジネスからカジュアルまで新しいスタイルをお楽しみください。

*価格はすべて、税込です。

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