【特集】「トラスポ」という概念を体現した〈タリアトーレ〉のセットアップと〈チンクワンタ〉のスエードブレザー
ここ数年、メンズスタイルの境界線は見極めづらい。従来のクラシックとカジュアルでは分類しきれない新たな分野の服が生まれているからだ。それは正に、新時代の到来を意味するもの。伊勢丹新宿店メンズ館では、今日ここに「トラスポ」というキーワードを創出する。
もはやカジュアルとドレスのボーダーが曖昧になって久しい。そして今秋。メンズスタイルは一気に新しい時代へと導かれる。スポーツウェアをフォーマルに着ることも、クラシックがユーティリティを纏うことも厭わない時代の到来に、メンズ5階=メンズテーラードクロージングでは新時代のスタンダードを定義する。
見え面はトラディショナルかつ正統なるテーラリングの技法に基づきながら、まったく新しい素材とシルエットで再構築する服。それが「トラスポ」だ。「トラッド」と「スポーツ」が融合するこのスタイルは、流行や時代という安易な言葉では括れない、むしろ次世代のオーセンティック。これまでのようにユーティリティとモダン、スタイリッシュとコンフォートが同居しつつも、そこにはさらなる進化が見受けられるのだ。
<タリアトーレ>のスーツはソフトコンシャスなジャケットに、ウェストシャーリングパンツを合わせて。スポンジーなウールカルゼは、一般的な秋冬生地と異なり、圧倒的に軽量でナチュラルな伸縮性も備えている。流麗なフォルムは、ボーダーのカットソーを合わせるようなカジュアルスタイルにも、ドレスマインドを湛えている。オフィスでもプライベートでも、シチュエーションを問わない服の出現は、TPOという概念を覆すかもしれない。
レザーファクトリーの<チンクワンタ>からは、スエードのブレザーがリリースされる。4ボタン&ダブルブレテッドのテーラードジャケットにレザーを使う新感覚は、本来カジュアルユースにあるブレザーを、ライダースジャケットの領域へと転化したかのようだ。メタルボタンの輝きはスポーティかつエレガントなエレメント。限界と思われていたレザーの可能性は、この服でリミッターを外された。
今季、「トラスポ」という造語には、新しい時代を創造する歓びを感じて欲しい。送り手だけでなく、受け手、つまり着る側にも新たな価値観を求められる。しかしすでに時代は大きく動き出していて、服だけが旧態依然のままで良いはずがない。時代は今、ワードローブの転換期にある。
Photo:Natsuko Okada
Text:Yasuyuki Ikeda
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