Vol.20 Yudai Goto|ドローンを使って、誰も見たことが無い視点からの景色を切り取りたい(1/2)
海外の音楽や映像作品に魅せられクリエイターの道へ
――クリエイターとして様々な分野でその才能をいかんなく発揮しているが、そもそも始まりは何だったのだろうか。
「昔からずっと音楽(クラシックピアノ)をやっていて、大学生の頃からDJや楽曲制作みたいなことをしていたのですが、音楽と映像を合わせた作品を作りたいなと、なんとなく思ったのが最初ですね。僕くらいの世代だと、Warp RecordsやNinja Tune(ともにクラブミュージックのレコードレーベル)が全盛期で、クリス・カニンガム(イギリスの映像作家)などの映像を見て、こういう映像を音楽に合わせて作りたいと思ったのが映像を始めたきっかけです。
当時は大学で化学の勉強をしていたのですが、音楽や映像の世界に魅せられてアニメーションの学校に通ったり、ロンドンへも留学しました。そして2015年から、今映像チームをやっているメンバーの一人と出会ったこともあり、東京を拠点に活動をしています」
――とはいえクリエイターとしてやっていこうと思っても、最初から思い通りにはならなかったのでは?
「そうですね。最初の頃はトラックメイカーと言いますか音楽制作をメインにしつつ、そこに映像を添えてみたりして、映像制作はあくまでサブ的な位置付けでした。でも作品制作を続けていくうちに色々な出会いがあり、その出会いがきっかけで写真も撮り始めました。さらに音楽活動にプラスして、映像もやりたかったので色々と学ぼうと思って行動をしていたら、徐々に形になっていったという流れですね。写真に関しては、最初は独学だったのですが、当時の仕事の兼ね合いもあって周囲に写真を撮っている人が多かったので、色々聞いたりしながら学んでいきました」
――東京へ出てきたのが2015年ということだが、当時はムービーディレクターという仕事は世間的な認知度はまだまだ低かったという。
「当時は少なかったように感じます。ドローンを使っている人も僕の周りではゼロでした。でもそんな時に、今一緒にチームをやっている人と本格的に写真や映像を撮っていこうという話になりました。彼も僕と同様、もともと音楽をやっていたというルーツがあったので、感性が似ていたということもありますね。そしてある時、プロのようなクオリティの写真と映像が撮れるという『Mavic Pro(マビックプロ)』という機器が発売になったので、それを買ってみようと話して、それを購入してから空撮を始めました」
――その後ドローンを使い、本格的に空撮の魅力にとりつかれることに。
「人並みですけど、人が見たことの無い視点のものを撮りたいっていう気持ちが強くなったんです。ドローンだったらそれが可能じゃないですか。そういう視点って、今となってはそこまで難しいことではないですが、当時は全く手段がなかったですからね。あの頃はルーフトップに立って撮影をするフォトグラファーがいたり、あと自ら高いところに登って写真を撮ったりっていう、見たことの無い視点をいかに切り撮るかっていう流れがあったんです」
――撮影をする際、ムービーとスチールで撮るときの気持ちの違いはあるのだろうか。
「写真の方が『撮りたい』っていう気持ちにはなるんですけど、作品が仕上がった時の達成感は、ムービーの方が大きいですね。スチールカメラと比べて、映像作品はチームで制作することが多いので。あと自分の中では、写真はどちらかというと趣味の延長で、映像は仕事という感じです。」
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