個展の見どころはドローン写真ならではの俯瞰からの整然美
――今回の展示会のオファーを受けた時はどう思ったのだろうか。
「実は『どうなんだろうなあ』って、今でも思っています(笑)。展示に来てくださる方が、僕の写真を見てどう思うのかなっていう不思議な感覚ですね。個展は、過去にイベント形式で開催したことがあります。また今の混乱が落ち着いたらやりたいとは思っています。今回の伊勢丹メンズ館さんの展示では、過去に国内外でドローンを使って撮影した写真もお見せします」
――伊勢丹メンズ館ならではの展示作品もあるという。
「今、ドローンで撮影をすること自体、規制や手続きの問題があって結構大変なんです。今回は空撮した写真をTシャツとトートバッグにプリントをして販売するのですが、これらのアイテムに使っている写真は、現在は法規制の関係で撮ることが出来ない景色が多いです。名古屋の高速道路や香港のバスケットコートの上空だったり、オーナーさんに許可をもらって三軒茶屋のカフェから撮らせてもらったもので、今は見られない景色の写真が展示できると思っています」
――今最も撮ってみたい景色を聞いてみると「ほぼ全部ですね」とひとこと。
「新宿、渋谷、東京タワー、スカイツリー、パリの凱旋門……。都市や街並みをメインに、撮りたいところは無限にありますが、全部許可がいるので現実的にはかなり厳しいですね。ちなみにスカイツリーの高さまでは、ドローンを飛ばすことができないんです。マシン自体の高さの規制が500mまでなんですけど、日本の法律的には150mまでしかあげることができなくて。ただ、例えばヘリからドローンをあげるとか、そういうことができればスカイツリーの上からでも撮ることができると思いますが、今だと100%無理だと思います。でもいつか撮ってみたいですね」
――素朴な疑問だが、ドローンは購入後、誰でも飛ばすことができるのだろうか。
「試験があって合格した上で、東京航空局長に申請して許可が下りると飛ばすことができます。その他、飛ばすのに必要なのは度胸と節度ですね。高価なものなので、墜落したらそれでおしまいですから。それに高速道路だったり、走っている車の上に直撃したりでもしたら人命に関わる大惨事になる可能性もあるわけで、そういう意味でも規制を守った上での度胸が必要だと思います。昔は、ドローンをやっている人って年配の富裕層の方が多かったんです。例えばヨットからドローンを飛ばしてみんなを上空から撮ったりっていう、ホビー感覚で扱う人たちが中心でした。僕も最初は田んぼで飛ばしていましたが、田んぼとか海や山を撮っていても楽しくなくて、人が撮ったことがないところで撮りたいっていう方へシフトチェンジして、都市や街を撮るようになりました。日本は規制が厳しくて当時は撮れるところがなかったので、最初は海外にひたすら撮りに行っていました」
――今回の展示を通じて伝えたいこととは?
「今回は俯瞰撮りした作品が多いので、俯瞰の景色の美しさもそうですけど、どんな景色もすごいミニマルなものになるので、そういう整然美みたいなものを感じて欲しいですね。例えば休日の大都市って人がいっぱいいて、すごくごちゃごちゃしていますが、そういう場所も真上から俯瞰して見るととても綺麗なんですよ。人工物特有のしっかりと形作られた構造物の美しさも際立っているんです。更に今回は、伊勢丹の皆様に全面協力していただき、特別に許可を撮った上で伊勢丹新宿店の上空を撮影した作品も展示します。そういう部分をお楽しみいただきつつ、改めて俯瞰の視点についてこの機会にお考えいただけると嬉しいですね」
Photo:TAGAWA YUTARO(CEKAI)
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