2020.02.28 update

今年のスーツ&ジャケットはリネンを着る。

春はリネンの季節だ。せっかちでおしゃれにうるさいナポリの男たちは、春の足音が聞こえるや重たいコートを脱ぎ捨てて、リネンのシャツを着て胸元のボタンを3つほど外す。そして海の見える表通りのカフェで、ダブルのエスプレッソに砂糖をたっぷりといれて飲むのだ。

日本人にこれまでリネンシャツばかりが主役に取り上げられてきたのは、そんなナポリの男たちの姿が目に焼き付いていたからかもしれない。だが今年のリネンはシャツよりジャケット、セットアップやスーツに注目されている。イタリアの名門サプライヤーは、リネンのスーツをこぞってリリースしており、ウールのスーツに代わる春夏の主役として期待されているのだ。


<カルーゾ>スーツ 143,000円

たとえば<CARUSO/カルーゾ>は、人気のモデル「バタフライ」の4ボタンジャケットをリネン素材で提案。
先シーズンリリースされた同モデルは、リラックス感のあるシルエットが特徴で、リネン特有のゆったりとしたドレープが映えるジャケットとなっている。

組下のパンツにはワイドテーパードのプリーツパンツをセット。キャロット気味のテーパードされたボトムスなら、優雅なリネンの風合いを存分に味わうことができるだろう。<タリアトーレ>の別注4ボタンダブルもリネン素材だ。<デ ペトリロ>や<サルトリア カラッチョロ>もリネンのスーツ&ジャケットに注力している。

<タリアトーレ>ジャケット 104,500円

着こむほど関節に沿ってシワが入り、自分だけの一着と仕上がっていくリネンの様子は、まるでデニムのそれに近い。コーディネートは、あえてクルーネックのニットと合わせてみる。コットンセーターやリネン混のニットも、半袖のニットTシャツなら、カットソーより大人のクラス感ああるカジュアルスーチングを楽しむことができる。ここから日本人のリネン服との付き合い方が、一歩前進するかもしれない。

Photo:ISETAN MEN‘S net
Text:Yasuyuki Ikeda

*価格はすべて、税込です。

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