リフォームのプロに訊く、「洋服のお直し」の意義とその仕事
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一般的な修理やお直しはもとより、体型をより美しく見せるためのサイズやパターンの補正、さらにはリメイクやカスタマイズといった洋服を再構築するようなデザイン変更まで、<サルト>はあらゆる洋服のお直しに対応するプロ集団。良いものを長く愛用し続ける、日本にそうした文化を根付かせることが<サルト>の仕事なのだ。
今回は、<サルト>代表の檀 正也氏にインタビュー。「洋服のお直し」の意義と彼の仕事について訊いた。
<サルト>のお直し技術が高い理由
洋服のお直しというと、丈詰めなどの補正やサイズ直し、補修など“部分修正”というイメージがあるが、<サルト>は「テーラリングに近いお直し」、「デザインからの一新」ができる高い技術を擁し、世界で通用する唯一無二の仕事を実践する。
その高度なお直し技術は、フランスのトップメゾンからナポリの総手縫いスーツまで、ありとあらゆる服を分解し、修理することで培ってきた経験の賜物。職人たちは、ヨーロッパ各地で開催される展示会などにも足を運び、トレンド情報を積極的に収集するほか、英国サヴィルロウやイタリアの有名ファクトリーの見学を行うなど生産背景から研究を行っている。
若い世代へ継承され今日の<サルト>の技術を支えている取り組みの一つでもある。
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もちろんそれだけではない。檀氏に、7年前に伊勢丹新宿店メンズ館へ出店した経緯を訊くと「世界中から厳選された素晴らしいものを間近で見られることは我々にとっても大きな財産です。また、感度の高いお客さまのあらゆる要求に応えていくことで現場が“問題を抱えてくれること”が大切。その問題を<サルト>として解決してレベルを上げていくことも重要なんです」と返ってきた。
たくさんの感度の高いお客さまと触れ合いながら、職人それぞれが自覚を持ってセンスを磨く努力も続けているのだ。
お客さまと服から生まれた「物語」を繋げていく仕事
アパレル製造・卸会社に勤務していた檀氏が“お直し”の仕事に着目したのは29年前。社会的に「環境」がキーワードになり始めた頃だ。それからお直しが注目されたのが東日本大震災後。「震災を経験して“絆”がパワーワードになって、人々の意識が切り替わり、いいものを長く大切にすることがかっこいいと思う人が増えた」という。
<サルト>のお直し技術は、本場イタリアの一流サルトリアからも認められいる。檀氏曰く"転機"となったその仕事は、以前<チェザレ アットリーニ>でスーツを仕立て、受け取る際に15kgほど痩せられたお客さまからの依頼だ。その仕上がりはアットリーニ本社でも絶賛され、お墨付きをいただいたのだ。
「大きな自信となった」と語る壇氏は、これを契機に、一流のハンドメイドスーツのお直しにも着手。ラグランスリーブのコートや、スーツの背中にできる2㎝以上の大きなツキジワ取り、ハイゲージニットの穴あきなど、他店では受け付けないような難しいものにも対応している。
最近の“お直し事情”を訊くと、「ここぞという"一張羅"が増えてますね」と檀氏。「お客さまの服に対する意識も変わってきていて、長い目で着ていきたい、10年以上着るつもりで買うという方が増えてきていると思います。当然、着ていくうちに体型も変わっていきますから、お客さまととことん“どう直すか”を話し合います。そしてお直しが出来上がって、“直してよかった。また着よう”といわれるのがとても誇らしい」とも語った。
ダウンアウターのダウン量を1/3にして縫い直して「ライトダウン」にしたり、「他が絶対に手を出さない仕事もやります」と胸を張る。他のアトリエから<サルト>に来た職人は、「そこまでやるのか!」と皆驚くそうだ。
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「大事なことはすべてお客さまから教わっています」──持ち主と服が生み出した物語までくみ取りながら<サルト>の手を経た洋服は、また輝きはじめる。
あらゆる洋服のお直しをプロフェッショナルに対応
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<SARTO/サルト>
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*お直しは事前予約制です。ご来店を希望のお客さまは、下記までお問い合わせください。
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Photo:Keita Takahashi
Text:Makoto Kajii
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伊勢丹新宿店メンズ館5階 メンズテーラードクロージング
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