【第6回】<Vlas blomme/ヴラスブラム>|余すことなく使えるサステイナブル素材

持続可能な社会を目指して、メンズ館がつくり手とともに考える、未来のための連載企画。今回は、ベルギーのコルトレイクリネンを使ったアイテムで注目を集めるブランド、<ヴラスブラム>をフィーチャー。リネンの魅力は着心地や風合いのみならず。原料そのものに、知られざる魅力があった。


アテンションジャパンプロダクツ 取締役
石井 智


いしいさとし●総合商社のアパレル部門で、パリ、ミラノでの生活を経験。リネンがもつ美しさや機能性に魅了され、その魅力を伝えるべく、2006年に「ヴラスブラム」を立ち上げる。以後、デザインチームを中心に10年以上に渡りブランディング。原材料手配から生産体制の構築と管理。営業業務全般、コミュニケーション全般に携わる。2014年ヨーロッパリネン協会の世界会議に講師として招致され、リネンビジネスについて発表するなど、世界中をフィールドに、リネンの普及活動を行っている。



北フランスからベルギーに及ぶフランドル地方は、世界的なリネンの生産地。中でもレイエ川が街を横断するベルギーのコルトレイクは、歴史的に見ても良質なリネンを生み出してきた。今回取り上げた<ヴラスブラム>は、コルトレイクの紡績会社による選りすぐりのリネンを用いたブランド。代表の石井氏は「リネンを世界に広めること」がサステイナブルな未来につながると語る。

「ヨーロッパの生活にはリネンが根付いています。衣服だけでなくベッドリネンやテーブルクロスなどにも使われています。実は『フェルメール』に代表されるような油絵のキャンバス、絵の具にも亜麻仁油が使われています」


フランドル地方に咲き誇る、リネンの花畑。石井氏はこの美しさに魅了され、ブランドを「ヴラスブラム(フラマン語でリネンの花)」と命名。


繊維を糸にする工程。ここでも職人のチェックが入り、丁寧につくられているのがわかる。

リネンは繊維が細かくほぐれていくので、使えば使うほど柔らかな手触りとなる。また、繊維は中空糸で多孔質のため、吸水性と放湿性にもすぐれる。天然の機能素材といっていいだろう。しかし、これだけすぐれた素材であるにもかかわらず、日本での認知度は低い。

「立ち上げ当時、リネンは斜陽産業でした。化繊やコットンの波に押されてしまって。しかし、極めてすぐれた素材が日の目を見なくなるのはもったいないなと。ライフスタイルが多様化するなかで、自然と共に生きる人々たちに寄り添うようなブランドを目指しました」

日本だけにこだわらず、世界中の人に届くようにと、100カ国100店舗の卸し売りを目指している。立ち上げから11年で、累計27カ国120店舗。リネンについて、消費者の理解が高まるにつれて、知名度も高まりマーケットも広がった。


シャツ 左:シャツ 20,520円、右:27,000円


「昔から美しい髪の毛を亜麻色と例えるくらい、染めなくても美しい色に仕上がります。コットンに比べると、生産時にかかる環境負担も少ないです。さらに、収穫後の根は車のドアなどの緩衝材になり、種は油になります。リネンはゴミとなる部分がほとんどないんです」リネンは存在そのものがサステイナブルなのだ。とはいえ生産には高度な専門技術が必要となり、コルトレイクからの輸送費など、コストもかかる。

「顧客の皆さまとの相互理解を深めていくことが重要です。リネンについてもっと知っていただくこと自体が、持続可能な未来へつながると思っています」

*価格はすべて、税込です。

お問い合わせ
メンズ館6階=メンズコンテンポラリー
03-3352-1111(大代表)
メールでのお問い合わせはこちら