2017.05.19 update

【インタビュー】<SHINOLA/シャイノラ>ジャックス・パニース|豊かなストーリーとユニークな特徴を持つ腕時計から始まる日本進出(1/3)

「<シャイノラ>の腕時計は、手作業で組み立てられたクォーツ部品の機械装置で動きますが、そのモーターをアメリカで組み立てるのに、デトロイト以外の街は考えられませんでした」と語るのは、<シャイノラ>社 ジャックス・パニース(Jacques Panis)社長。日本での本格ローンチに向け来日した同氏にお話しを伺った。

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<シャイノラ>社 ジャックス・パニース社長

「大きなアイデアを実現する小さな会社」を叶える<シャイノラ>に託した想い


――はじめに<シャイノラ>の名前の由来を教えてください。

<シャイノラ>は、1907年にニューヨークで誕生した靴磨きワックスの小さな製造業者でした。第二次大戦中、米国軍人は各自リュックに<シャイノラ>の靴磨きワックスを常備するほど広く普及し、1973年に公開された映画『JERK(ジャーク)』の中でも、<シャイノラ>の靴磨きワックスが登場します。



5月の日本上陸に先駆け、4月中旬にはプレス関係者に向けお披露目された

――アメリカでは、そんなにポピュラーな名前なんですね。

<シャイノラ>は60年代に一度消滅してしまいますが、その名前が靴磨きに由来するのは古い世代は知っていると思います。私たちは、長年忘れ去られていた歴史あるブランドと、その名前に込められた“アメリカの誠実さ”に敬意を表して、新しい会社の名前にしました。元祖<シャイノラ>のように、「大きなアイデアを実現する小さな会社」として始まるアメリカの製造業者にぴったりの名前だと思っています。


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製造業の経験豊富な人材と、スイス・ロンダ社とのパートナーシップ


――私たちには現在のアメリカに時計製造のイメージはありませんが、なぜ腕統計に着目したのでしょうか。

まず、スイス拠点の世界クラスの機械装置メーカーで、時計業界では高精度のクォーツ機械装置の分野の先導者として知られるRonda AG社のエリック・氏の協力がありました。個人的な友情もあったスイス人で60歳を越えるエリック氏がスイスと同水準の工場設備をデトロイトに導入し、同時に職人のトレーニングも監修。

デトロイトには自動車工場の製造業の経験がある人材がたくさんいるので、2012年から徐々に、その素地がある人材約350人を雇用し、うち200人が製造部門に勤める社員になりました。今でもその半数が腕時計の製造に携わっています。


――日本ではデトロイトというと、市が破産申請を行ったニュースが有名です。

その質問もよく受けます(笑)。デトロイトは安定した雇用と税収の基盤が揺らいで、2013年12月に破産申請を行いましたが、今もデトロイトは近郊を含めてGM、フォード、クライスラーの本社が存在し、自動車産業は栄えています。確かに過去には自動車産業の象徴的な街として光輝いていた時代はありましたが、もちろんデトロイトには未来もあります。いまだ熟練の製造職人が多く、アメリカ中の製造業のメッカであることに変わりません。

これも、<シャイノラ>で腕統計の製造を考えたとき、デトロイト以外の街は思い浮かばなかった理由の一つです。デトロイトには製造業にふさわしい環境があります。