日本人デザイナー6名が考えるベーシックの先とは
今回のイベントでは、ネイサン編集長がセレクトした生地を使って限定アイテムを発売します。「WWDジャパン」は、この限定アイテムに込められた思いやこだわりを6人のデザイナーに話を聞きました。
6デザイナーが取り組むスローデザインとゆとりのある生活とは?
伊勢丹新宿店メンズ館は11月11日(水)から24日(火)まで、1階プロモーションスペースで、ライフスタイル誌「KINFOLK/キンフォーク」のネイサン・ウィリアムス(Nathan Williams)編集長が提案するスローライフ&スローデザインのイベントを開催しています。
ネイサン編集長がプロデュースするライフスタイルブランド〈ouur/アウアー〉のウエアや雑貨をはじめ、メンズ館取り扱いブランドからタイムレスでシンプルなアイテムなどを取り揃えました。また、ネイサン編集長がセレクトした生地を使って、〈Scye/サイ〉〈ts(s)/ティーエスエス〉〈N.HOOLYWOOD/N.ハリウッド〉〈FACTOTUM/ファクトタム〉〈suzuki takayuki/スズキタカユキ〉〈COSMIC WONDER/コズミックワンダー〉が今回のイベントのためだけにアイテムをデザインし、発売します。
ネイサン編集長がセレクトしたオフホワイトの生地は、スローデザインを体現するものです。今回「WWDジャパン」は、この限定アイテムに込めた思いやこだわりを追って、6人のデザイナーに「あなたにとってのスローデザイン、スローライフとは?」をたずね、話を聞きました。デザイナーそれぞれが、ベーシックを守りつつもそれ以上に感じている“想い”を込めた提案をしてくれています。
━━━ 日高久代(<Scye/サイ>デザイナー)
「スローライフとは、シンプルで人が心地よいと感じて生活できることだと思いますので、ベーシックで機能的なバランスを心掛けました。普段自分は、少し硬めで打ち込みのある素材を選ぶことが多いので、サンプルが上がった際は新鮮でした。 理想的なスローライフは送れていませんが、猫を飼っているので、屈託のない表情の彼にのんびりすることや自然体でいることを教わっています。」
━━━ 鈴木卓爾(<ts(s)/ティーエスエス>デザイナー)
「単純に長く着られるだけではなく、心地良さや着る楽しみといった個人的なお気に入りの要素が必要だと考えました。だからあえて、自分にとってのお気に入りのデザインを採用しました。滑らかな手触りと柔らかさがたまらない生地と明るめの杢糸を使った美しい組み合わせが、ただの定番ではなく、お気に入りになりうる要素なのではと感じています。スローライフに憧れはあるものの、現実的にはとてもスローとは言えない生活を送っています。ただ、とことんやると、とことん休むのメリハリは大切にしています。」
━━━ 尾花大輔(<N.HOOLYWOOD/N.ハリウッド>デザイナー)73,440円
「私自身は、正直スローライフとは無縁で、難しいお題でしたが「できるだけデザインしない」というコンセプトを立て、長年着られるようなアイテムをイメージし、デザインしました。本来捨てられてしまう革素材を補強箇所に使っています。温かな起毛感のあるピュアな天然素材が、私が最近セレクトしていない生地で新鮮でした。休日をしっかり休むために、平日のスケジューリングは、かなり緻密にしっかりと組んでいます。」
━━━ 有働幸司(<FACTOTUM/ファクトタム>デザイナー)97,200円
「ネイサン編集長が選んだ生地は天然素材を用いることも多い「ファクトタム」にとって、相性の良い素材でした。普段は、素材からデザインを考えます。今回も素材を活かすことを第一に考え、ゆったりとしたリバーシブルコートをデザインしました。働き方は人それぞれだと思いますが、決まった時間に就寝・起床すること、毎日の運動、身体によい食事を摂ることなど、自分のペースで仕事を進めることがスローライフを送る上で重要だと感じます。」
━━━ スズキタカユキ(<suzuki takayuki/スズキタカユキ>デザイナー)96,120円
「ライフスタイル全体のイメージがあるので、そこから服の在り方、デザインを起こしていくことを意識しました。トレンドではなくスタイルを作っていこうとする姿勢には強く共感する部分があります。今回の生地は、私自身が通常選ぶ生地に比べ、非常にニュートラルでフラットな雰囲気を感じました。
世の中やファッションの流れとは別の、仕事の流れを意識するようにしています。もちろん、時代への意識はある程度必要ですが、適正なビジネスサイズを考え、自分たちの目標に向かって一歩一歩歩むことが自分らしいスローライフの過ごし方です。」
━━━ 前田征紀(<COSMIC WONDER/コズミックワンダー>デザイナー)95,040円
「大自然の中で放牧された羊のタスマニアウールは柔らかく、高い保湿性も保ちます。素材の適度なハリを活かし、ダブルフェイスの一枚仕立てで仕上げました。「春を前に土や木々が力を蓄える季節。冬の透明な光景」をイメージし、古い仕事着のような楚々とした表情を意識しました。
普段からスローライフを送るために山や自然の中で生活を送っています。」