2015.10.21 update

Creators VOICE #5 | 堀川達郎<JULIUS>

人々を魅了する、モノに込められた思い。ブランドが誕生し、成長するに至った道程。“可能な限りそのブランドのクリエーターの言葉で語ってもらいたい”という思いでスタートした「Creators VOICE」 。普段見られないクリエーターの素顔を見つめることでデザインを通して創られる五感で感じる“豊かさ”の理由について考えたいと思います。


5回目の今回は、<JULIUS>デザイナー・堀川達郎さん。メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズで展開のあるジャパンブランドのなかで、10年来変わらず、逸脱した魅力を放っているのが<ユリウス>。同氏が語るその歩みと、思い描く世界観とは…。

「デビューから約20年、<ユリウス>のデザインの主軸となっているのが、「カオス」と「インダストリアル」という要素。例えば、服がねじれているのは、カオスのイメージを具現化したひとつの形です。その半面、ミニマルでゴリッとした固さが、僕たちが考えるインダストリアル。その世界観を表現するために、基本的にはフォルムと色の濃度のことだけ考えて物づくりを行っています。」


「細かい話になりますが、<ユリウス>にとって大事な"黒"という色。一括りに"黒"を表現すると言っても、赤みや青み、緑がかった黒であったり、墨黒、フォーマルブラック、チャコールブラックといった色調をシーズンごとに揃えることでコレクションに統一感を出しています。それに対して白は軽さや凛とした雰囲気。黒と同じように緊張感のある色として用いることが多い。前シーズンがしなやかで直線的なイメージのコレクションだったので、それを引きずって、今季もオブジェクトがいいなっていう思いがありました。それで“鉄球”という漠然としてたイメージが湧いてきて…。丸とか球とかをずっと落書きのようにデザインして、結果的にこれまでにないショーに特化したコレクションになりました。そこで心掛けたのは、デザイン画はなるべく極端なもの描いたこと。これをきっかけに、無茶なデザインでもしっかりとした形にできるという自信と発見になりました。」と、このような興味の連鎖が次のコレクションに繋がるイメージソースになっている。


「他と逸脱したイメージをお客さまに持たれているのは、海外を拠点に、日本以外にも目を向けてコレクションを展開してきたことが大きいと思います。自分たちをカテゴライズせずに、ブレないもの作りを<ユリウス>として10数年やってきました。僕たちと視点と同じように、海外にも目を向けセレクトされているメンズ館2階=インターナショナル クリーエーターズは、すごくヨーロッパ的な感覚という印象を受けます。スーツやトラウザーズなど、伊勢丹においての<ユリウス>の売れ筋は海外と同じようにカッティングがエッジなもの。そういった意味でも伊勢丹とは良いパートナーシップが築けていると思います。他にはない、ユリウスらしいアイテムにお客様も魅力を感じていただけているのが嬉しいです。また定期的に行う別注モノもソリッドなものが完成するので満足しています。僕自身、結婚式で着るのは、伊勢丹とウチのオーダースーツ。10年以上の取引の中で本当にいい勉強させていただけていて、発見や刺激をもらっています。」


「さらに、新しく<二ルズ>というレーベルを立ち上げ、伊勢丹での展開もスタートしました。例えるなら、<ユリウス>がテクノで、<二ルズ>がダークヒップホップ。僕はそんな風に<二ルズ>を説明しています。これまでにない他との融合を意識した新たな試みです。メインコレクションだと、テーマに必要のないものは排除して自分で枠組みを作ってしまうんですが、<ニルズ>に関しては一歩引いて見られるので受け入れる幅が果てしなく広い。ロゴとか、タイトルなどのフォーマットは<ユリウス>としての統一感を出しながらも、ビーチサンダルや、スイムウェア、ドレッドをしまうための帽子とか、自由度のあるアイテムを製作しています。良いグルーヴ感が出ていて、今後いろんな広がりや、化学反応が楽しみな試みです。こちらも注目して下さい。」

堀川達郎 / <JULIUS>デザイナー

1996年、サードストーンを設立し、グラフィックデザインを中心に活動。97年には「nuke」を立ち上げる。2001年にアートプロジェクトとして<JULIUS>を立ち上げる。アートプロジェクトとあるのは服だけではなく、「服、映像、グラフィック、音楽」という4つの表現方法を持つため。

1996年 「THIRD STONE」設立
2001年 アートプロジェクト<JULIUS>を立ち上げる
2003年 旗艦店をオープンし、2005S/S東京コレクションよりランウェイ形式で、コレクションを発表。
2008年 ドレスライン<JULIUS MA>をスタート。後に「MA ユリウス (MA_JULIUS)」として独立。
2015年 <NILøS>をスタート

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