伊勢丹新宿店メンズ館に所属する、個性豊かなスタイリストにクローズアップしてご紹介する連載企画「イセタンメンズ スタッフプロフ」。
今回は、「パーソナルカラーアナリスト」や「ジュニア・骨格スタイルアドバイザー」の資格を持ち、信頼性の高いメンズアテンダントとして活躍する中道 譲にフィーチャーし、独自のファッション観と趣味の「ビール」について話を聞きました。

「お客さまに教えられることも多くて」と語る飄々(ひょうひょう)とした姿の傍には、興味があるとマニアックに深掘りしてしまう、趣味「道」がありました。
 

 

 

モードとクラシックを巧みにミックスするセンスの持ち主

学生の頃から、モード系デザイナーズブランドに傾倒していて、伊勢丹新宿店 メンズ館2階に通いつめていました。就職先に三越伊勢丹を選んだのも、ごく自然な成り行きというか。でもそこは甘くなかったです。最終で不採用の通知をいただいたので、やむなく別の流通系の会社に就職しました。就職して一年ぐらいしたら、三越伊勢丹の中途採用が出ていまして、諦めきれず再度アタックしたら採用に。一回落ちたのに、フツーにまた受けに来たので、面接する側も面食らったのではないでしょうか（笑）。

念願かなってメンズ館配属になったものの、フロアはデザイナーズではなくイタリアンクラシコを扱うフロア。＜ボリオリ＞、＜ベルヴェスト＞、＜ロロピアーナ＞など、全然知らないブランドばかりで、最初は苦労しました。その頃、一番人気のあった＜ラルディーニ＞を着て店頭に立ちながら、いろいろなブランドを覚えていった感じです。気づいたら、プライベートでも、すっかりクラシックファッションの人になっていました。


最近は、クラシックのカテゴリーに、デザイナーズやモードのエッセンスあるブランドが増えてきたと感じます。今日着ている＜LUTAYS/ルテス＞もそう。2020年にベルギー人デザイナーのジャン・バティスト氏が立ち上げたパリのブランドです。今着ている＜ルテス＞のアイコニックなベルテッドジャケット「エース」は、フランス海軍のユニフォームのエッセンスが入ったミリタリー色を感じさせるデザインで、自分好みで仕事でもプライベートでもよく着ています。
普段はモックネックのカットソーやタートルニットで着ることが多いですが、今日はポロシャツと合わせてみました。

このブランドのモードとクラシコといった垣根を超える、ハイブリッドなデザインは、どことなく自分が好きだった＜ドリス ヴァン ノッテン＞に通じるものを感じます。クラシックの枠組みでありながら、現代的な雰囲気もある。自分にとっての”リアルクローズ”ですね。お客さまにも自信を持っておすすめできます。

こだわりの希少銘柄ビールを愛しています

仕事終わりにはビアパブへ行くのが唯一の趣味。ちょっとこだわりの「東京では、ここでしか飲めない」といわれるビールを出す店に足を運びます。銘柄でいえば、ピルスナーの元祖といわれる「ピルスナーウルケル」。チェコのビールで、いまは日本のメーカーが正式に展開して手に入れやすくなりましたが、私は現地から直接輸入しているパブで飲んでいます。鮮度にこだわっていて、現地から材料を取り寄せて、冷蔵庫の温度管理から配管工事まで自分たちで全て作り上げているお店なんです。

「オールド・スペックルド・ヘン」というビールも、今ではなかなかお目にかかれないビールなのですが、幸いにも新宿で飲める店を見つけることができました。こういった情報って、なかなかインターネットでは検索できないのですが、先ほどの店で飲んでいると、お店の方や常連の方から教えてもらうことができるんです。やはり口コミの情報って最強だなって思います。ですので、家でひとりで飲むってことはしないです。飲みに行くときは、誰かと一緒に。

ファッションもビールも口コミが大切

ファッションも人伝えの情報、口コミって大切だと思うんです。SNSなどインターネット上の情報だけでなく、実際にモノを見たり、詳しい方から教えていただくほうがリアルだし、自分でも知識が深まります。ブランドやアイテム選び、スタイリングも人に教えてもらうと、思ってもみなかった着こなしができたりしますよね。スタイリストの仕事って、そういうことのうようにも思うんです。

バイヤーからはもちろん、お客さまから教えていただくことも多いです。その知識を今度は、別のお客さまにお伝えすることで喜んでいただけるのは嬉しいです。私も希少な銘柄を置いているビアパブを教えていただけると、とても嬉しいです（笑）。


モードとクラシックを上手にミックスしてきた中道が、自身の経験をもとにアドバイスするスタイリングはお客さまから高い評価をいただいています。教えることが上手なうえに、教えられることも上手なのでしょう。

そうやって情報が集まってくるので、どんな相談にも適切な答えを用意しています。さらに聞き上手でもあるので、話していると、つい教えたくなってしまう、そんな飄々とした人物でもあります。

パーソナルカラー診断や骨格スタイル分析®で担当させていただいたお客さまが、後々お買い物の同行を依頼されることも多いのは、そんな話しやすい中道の人柄に依るところも大きいのではないでしょうか。ぜひ一度、彼の診断やアテンドを受けてみられてはいかがでしょう。

 
 

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Photograph：Tatsuya Ozawa
Text：Yasuyuki Ikeda