急加速するアメカジの新鋭<エスシー サブカルチャー>が伊勢丹新宿店メンズ館で初となるポップアップを開催!
ここ数年、SNSを中心にブランドが急拡大するケースは少なくない。人気インフルエンサーや、YouTubeなどでブランドが紹介されバズを起こすなど、従来のブランド拡大とは異なる方法論が一般的になった。
一方、ベーシックウェア、特にアメリカンカジュアルのスタイルをとるブランドで、人気が急加速するケースは意外に数が少ない。理由は明確、デザインアプローチが地味なのが大きな要因だろう。シンプルゆえ、色合わせやサイズバランスが重要となり、合わせるアイテムのチョイスは想像よりも厄介。その上、カルチャーのルーツやヴィンテージ由来のディテールの内容も豊富に出てくるので、ブランドを理解し、熱狂するまでには殊更時間を要するのだ。
そんな中、アメリカンカジュアルの領域で急成長を遂げたのが<SC Subculture/エスシー サブカルチャー>。“サーフ・モーターサイクル・ヴィンテージ”とデザイナーがルーツに持つカルチャーをバックボーンにしたデザインアプローチと、中でも採算度外視で作成されるデニムプロダクトは多くの消費者の注目を集めている。セレクトショップでの取り扱いも無く、商品のタッチポイントは不定期で開催されるゲリラポップアップのみ、というシークレット性もコレクター心理を擽るのかもしれない。
そんな同ブランドが伊勢丹新宿店メンズ館で初となるポップアップを開催する。今回、ブランド・デザイナーをよく知る賢人3名に登場いただき、これまでは限られた人のみに紹介してきたプロダクトが一同に介する本イベントを前に、ブランドのルーツを改めて掘り下げていくことにする。
―Motorcycle―
証言者①:GAKU YOKOMIZO / HAWGHOLIC motorcycles
東京の大動脈、環状八号線。大田区多摩川に拠を構え19年、ハーレーラヴァーたちにとって聖地となっているのはGAKU氏の卓越したヴィンテージモーターサイクルの組み上げるセンスに依るところと言える。<SC Subculture>デザイナーの瀬尾氏もGAKU氏のセンスにノックアウトされた一人。そんな旧知の間柄の氏に、瀬尾氏との出会いから伺った。
―お二人の出会いから伺っても良いですか。
GAKU(以下G):5〜6年前くらいかな。
―GAKUさんは瀬尾さんが何をやっているかは元々知っていたんですか?
G:よく知らないです(笑)。
瀬尾(以下S):知ってるじゃないですか(笑)!YouTubeも出ていただいてますし、しかも第1回目に。
―ではブランド初期からよくご存知ですね(笑)。
S:その前のブランドの頃から。
G:ですね(笑)。
S:はじめて買ったのはその時ですから。それこそ(ヴィンテージリーバイスの)XXの濃紺を買ったタイミングと、パンヘッドの年式がマッチングするんです。それで育てていったんです、面白さもあって。パンヘッドの時には狂った様に乗ってましたね。千葉行ったり、埼玉行ったり。普段混んでいるところにわざと行ってみたり、成田山とか。コロナのロックダウンの頃だったんで、道路もガラ空きでしたしね。
―瀬尾さんはバイクに乗るならホグホリックさんで購入するって決めていたのですか?
S:もう意思決定していました。
G:本当(笑)?
S:来た時、即決だったじゃないですか(笑)!
G:そっか(笑)。
S:僕、中免・大型をとりながら、もうその前に(バイクを)買ってましたからね。
G:そのパターンは多いんですよ、案外。免許とる予定なんです、もう買っちゃいますって方。
S:しかも僕、ファーストバイクがパンヘッドですからね(笑)。
ヴィンテージデニムとヴィンテージモーターサイクル、ともに現代では希少でコンディションの良い個体は年々減少している。偶然か必然か、巡り合わせを経て瀬尾氏はともに良きタイミングで手に入れている。そして、ヴィンテージをコレクトするのではなく、日常で使用することを目的にしているのも“らしさ”かもしれない。
―基本的に仕入れはアメリカからだと思うのですが、最近も良い個体はアメリカにあるんですか?
G:ここ最近は枯渇してるかな。しかもレートも悪いじゃないですか。それでちょっと難しくなってはきましたね。
―因みに(瀬尾さんの)このバイクって今買うとするとどのくらいですか?
G:1,000万くらいかな。ナックルは、ですけど。みんな欲しがるんで。
―すごいですね!
S:いえいえ。タイミングが良かったんです、僕が買った時は。コロナの渦中だったりとか、値段が上がる前だったりとか。
―今のバイクは2代目ですか?
S:いえ、3代目ですね。
G:最初にヴィンテージ買って、その合間に新しいのに乗るんだよね。
S:90年代くらいの。セル付きが欲しいなって乗ったものの、それ(=セル)が厄介になって。
G:中途半端な年代で、90年代なんで。なんかね、不具合が続いてしまったかな。
―セルのバイクはそんなに面白くなかったですか?
S:いえ、FXRなんでそんなこともないんですけど。現行を買ったじゃないですか? それでややつまらなくなったと言いますか。
G:それ、ここで言わない方が良いんじゃない(笑)?
S:こういうの(=ヴィンテージ)ってメチャ難しいじゃないですか。まずキックをするところからゼロスタートなんですよ。
G:エンジンかけるところから難しいからね。
S:最初、無闇に蹴ってキックペダルを壊したりとか(苦笑)。あとは、最初ハンドシフトに慣れてなくて。それが地獄でしたね、結果的に楽しくなるんですけど。
G:大人になってから、そんなに苦労することってないからね。
―不自由しながらでも乗る楽しみがある、ってことですよね?
S:そうですよね。
G:乗りこなす楽しみ、ね。
ここで詳しい車両説明は敢えて割愛するが、瀬尾氏の車体はタンクとシャフトが一体となったスペシャルな1台。こうした車体との出会いがサブカルチャーというブランドのプロダクトに説得力を与えているのは間違いない。そして、数々のグラフィックにヴィンテージモーターサイクルのエッセンスが感じられるのは、上記の内容からも十分にご理解いただけるだろう。
- プロフィール:GAKU YOKOMIZO1971年生まれ、東京都大田区生まれ。元々はヴィンテージウェアのバイヤーなど古着業界でキャリアを重ね、2005年にオールドハーレーダヴィドソンの車両・パーツの輸入・販売・カスタムなどを行うHAWGHOLIC motorcyclesをオープンさせる。
―Vintage―
証言者②:KOUSUKE MAKITA / BerBerJin YUHODO Director
日本のヴィンテージシーンをリードし、今や世界にもその名を轟かせる<BerBerJin/ベルベルジン>。そんな同店の中で最も新しい店舗が「BerBerJin YUHODO」であり、ディレクターを務めるのがMAKITA氏。両氏は共通の趣味であるサーフィンの場で出会い、その後に交流を深め現在に至る。ヴィンテージハーレー、サーフィン、そしてヴィンテージ。二人を繋ぐものは純度100%のアメリカンカルチャーだ。
―何きっかけで知り合ったか伺えますか?
MAKITA(以下M):知り合ったのは8年前ですかね。繋がりで行くと海ですよ。ブランドをやってるのも知っていて。前にいたブランドも知っていて、自分はそのブランドのファンで。そこのデザイナーという話を聞いていました。
S:出会ってスグに、本店で(リーバイスの)XXの濃紺のモデルを買わせていただいたんです。裕さん(※ベルベルジン本店 店長)も紹介してもらって。糊付けもそこで教えてもらったんです。で、同時期にパンヘッドをタイミングよく買って。ともに育て始めた感じです。
M:その後に、66のデッドストックも購入してもらって。
S:(サブカルチャーの)糊付けはそこから始まったんです。前のブランドを退社する前のタイミングでコラボもしてもらいました。
M:大戦モデルのセットアップ。そこで裕さんを紹介して。瀬尾さんと<ベルベルジン>との正式な絡みが始まった感じですね。
―当時は今ほどベルベルジンさんではコラボレーションが多くはない時期ですよね?
M:そうですね、本当に特別に、という感じでした。僕の紹介が無いと、というのもあったかもしれません。裕さんは色々なデニムブランドとの契約もあるので、コラボレーションを簡単にすることができないのも事実ですし。
―何年前くらいの話ですか?
S:2019か20年ですね。僕がサブカルチャーを立ち上げる前でしたから。
出会いは海・サーフィンが繋いだ縁。当時としてはかなり珍しいヴィンテージの老舗と新品ブランドのコラボレーション。これも一重に瀬尾氏の人柄が成し得た偉業と言えるのかもしれない。現在希少となったサブカルチャーのデニムプロダクトの礎はこの時に確立した、と言っても大袈裟ではないかもしれない。
―蒔田さんは初期からブランドをみてますよね?
M:最初の1作目のパーカー、Tシャツの時から見てますね。
―率直なところどう見えてましたか?
M:今までとなにかちがって面白いな、ただのレプリカブランドじゃないな、と感じてました。
―ヴィンテージに毎日触れている人からすると、ただのレプリカじゃないポイントってどこですか?
M:独自性、オリジナリティがかなり入っているブランドだと思うので、ヴィンテージには無いフレーバーが入っていると思いました。ヴィンテージの匂いはしつつも、デイリーで“映える”。それが<サブカルチャー>の一番の魅力なんじゃないかと思うんですけど。
―瀬尾さんはどういう点にこだわる方ですか?
M:それこそ、ボタンにシルバーを使ったりとか。そういう揺るがないところ、お金じゃなく。そういう印象ですね。コストはすごく高いと思うんですけど、利益関係無しに自分が作りたいものを作る人ですね。
―では、<サブカルチャー>らしいアイテムと言われたらは何になりますか?
M:これが<サブカルチャー>っぽい、と言ったらデニムのセットアップになるとは思うんですけど僕が好きなのはウールのシャツ。シャドウチェックのウールのシャツ、あれが<サブカルチャー>の一番の名作かと思いますね。
S: by MAKITAがネタ元ではありますけどね(笑)。
―元ネタはヴィンテージピースから?
M:はい。僕はヴィンテージのウールシャツが好きで、その中で一番好きな柄を元ネタにしてもらって、それを着ています。多分みんなデニムって言うと思うんですけど、あのウールシャツのクオリティはエグい。
―ただ、ウールシャツは購入するのが超高倍率じゃないですか。多くの人は見たことがないと思うんですが、どこがすごいかを教えていただけますか?
M:パッと見、ヴィンテージって思うくらいの再現率の高さなんですよね。生地から作ってるんですよね?
S:いえ、糸からです。
M:そこが一番の秘訣だと思うんですけど。なにせGoogleのサジェストで「サブカルチャー 買えない」ってでてきますからね(笑)。これもブランディングですね。簡単には買えないっていうのが、逆に欲しくなりますし。
―ちなみに瀬尾さんが蒔田さんからいい意味で影響を受けた点はありますか?
S:これはブランド的にどう映るかわからないですけど、僕は古着オタクではないので、詳しい人間に聞くのが早いと思ってる部分もあるんです。シャツであれば彼ですし、Tシャツであれば誰、の様にトップ・オブ・トップには聞くようにしています。そこから勉強してバージョンアップを繰り返してるんです。
―シャツのようにヒントを出したアイテムは他にも?
M:意外にあると思いますよ。アイディアソースやディテールに関しては、色々と説明してます。それこそ<サブカルチャー>のアンダーウェアラインのサーマルとか。サーマルにこだわって作ってるブランドって案外少ないと思うんです。サーマルってTシャツとかの下にレイヤードして着ることの多いアイテムだと思うんですけど、「そういうところにこだわったら結構格好良くないですか?」って伝えたら、ガッツリこだわりはじめて。50〜60年代のヴィンテージを参考にして。そういうところにこだわり続けて物作りをしているところも見てきてますね。
―蒔田さんからヒントはかなりいただいていると言うことですね。
S:ええ、センタリングは上げてもらってるかもしれないですね。古着屋さんの場合、1点ドンって売るやり方なのに対して、ブランドの場合は生産ロットがあるので数を売らないと、という頭じゃないですか?そういう点も違うので、コミュニケーションすると色々面白かったりするんですけど。自分は同業の方とのコミュニケーションよりも古着屋さんとのコミュニケーションが多いタイプかもしれないですね。
年齢やキャリアなどの垣根を超えて相談ができる仲間の存在はどの業界においても大きい。特に近年人気が上がっているヴィンテージの業界ともなると、特にと言える。海での偶然の出会いがヴィンテージの有識者、というのは稀有な例だが、そこの引きもブランドにとっては大きなアドバンテージ。なぜ<サブカルチャー>のプロダクトがヴィンテージ・ラバーから愛されるか、その理由はこうした点にもあるのだ。
- プロフィール:KOUSUKE MAKITA1997年生まれ、千葉県出身。弱冠20歳で学生生活からドロップアウトして、<ベルベルジン>に入社。類稀なバイイングセンスとコミュニケーション能力を見込まれて、24歳という若さで「BerBerJin YUHODO」のDirectorに抜擢された逸材。
―ARTWORK―
証言者③:(NO MANE) / ARTIST
ストリートやアメリカンカジュアルのブランドで重要となるのは、いつの時代もグラフィックにある。ブランドの表現したいメッセージやマインドをこめる作業は具現化がことの外難しい。それだけに信頼できるアーティストをブランドが抱えられるかどうか、そこも大きな分岐点になり得る。<サブカルチャー>が世に出た時に見た、インパクトあるスカル&イーグルのグラフィック。シークレットな作り手に迫った。
出会ったのは「10年くらい前ですかね」という瀬尾氏は、スカルのモチーフを好み、その中で依頼をしたのが現在のアーティストだと言う。
「今、お見せしているグラフィックはすべて自分からリクエストを出したもので、それを仕上げていただいた感じなんです。いつもは周年のタイミングでグラフィックを頼んでいるのですが、今はジュエリーの方でも色々とご依頼させていただいてますね。ジュエリーに関しても、僕の中で(アイディアが)行き詰まる時があるんですよね。そんな時に相談させていただくと、ほんの一瞬で解決していただけたりもしますね。実用性を伴う物も作っていただいて。例えば、バッグに付属しているD環もお願いしていて。最初、革工場さんにD環っていう宿題を出されて、機能性もないといけないじゃないですか?強度がないと曲がったり折れたりしてしまうので。そういった点でも相談させていただいたり。僕にとっては非常にありがたい存在です。因みに、D環をロープにしてしまったので刻印が内側に入ってしまっているのですが、そうした見えないところにもこだわっています。ポップアップを行うと、お客さんからも好評いただくんです。見えない部分にまで手を抜かずにもの作りされているんですね、って」。
<サブカルチャー>のグラフィックを仕上げる時に考えるポイントはあるかをアーティスト氏へ尋ねると、
「サーフィンとバイカーだから、あんまりどっちにも偏ることはできないので、だからコテコテになり過ぎないようにしています。どっちでも使えそうなイメージに仕上げないとならないとは思っていますね。サーフィンチョッパー、ですしね。どこか不良感がありつつも、西海岸っぽい爽やかさ、は意識しているかもしれないですね。ハードコアなガイコツのグロさ、みたいな物は出さないようにしています」。
最後に、今後サブカルチャーとして面白いと思うものは何かを尋ねるとこう答えていただいた。
「今までやってきたことをブラッシュアップしていくのが良いのかなと思います。常に新しいものをやっていくと新しいお客さんはつくかもしれませんが、長くは続かないと思いますので。そんなに格好良い物って無いし、この世の中。限られているので、格好良い物って。奇抜な物は多いけど、格好良い物は少ない。その格好良い物を追求していく人が生き残るんだと思います」。
アノニマス。この言葉が近年横行して久しいが、その元祖たる存在が実はこのアーティスト。タッチを見れば何となくイメージを膨らませる人がいるかもしれないが、ここでその真実は意図的にシークレットにしておく。が、圧倒的な画力の緻密さ、タッチの繊細さ、などこのグラフィックを落とし込んだアイテムが秒速で売れているのもまた一つの真実なのだ。
8月14日(水)の店頭販売に関して
■伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズクリエーターズ
8月14日(水)の店頭販売方法については、伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズクリエーターズ公式Instagram(@isetanmens_creators)にて、後日お知らせいたします。
- 開催期間:8月14日(水)~8月20日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館6階 メンズクリエーターズ
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※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。
※価格はすべて、税込です。