2022.09.14 update

匠の技が息づく浅草職人探訪【後編】NO.5〜NO.8|ISETAN靴博2022


日本での皮加工や靴づくりの原点とされる東京・浅草。近年、新鋭の靴メーカーが数多く生まれており、「革靴の街」として、あらためて注目を集めている。その一翼を担うのが類い稀な技を持つ職人たちをご紹介する特集記事の後編!

匠の技が息づく浅草職人探訪【後編】NO.5-NO.8

  1. NO.5 Arch Kerry(アーチケリー)
  2. NO.6 DOUBLE FOOT WEAR(ダブルフットウェア)
  3. NO.7 BROTHER BRIDGE(ブラザーブリッジ)
  4. NO.8 The Ruttshoes &Co.(ラッドシューズ)

 

 

NO.5 Arch Kerry(アーチケリー)

出店:9月21日(水)~10月4日(火)
ヴィンテージの米国靴好きが思わず唸り、愛を注ぐ。



ディレクターの清水川 栄さんは1982年生まれの40歳。学生時代から神保町のミマツ靴店で働き始めて以来の長い業界歴を経て、2020年7月にオーダーのみを受け付ける<アーチケリー>をスタート。21年12月から既製靴の展開も開始。


学生時代から働いてきた靴店を辞めて独立、そこから16年に渡って靴の販売を手がけてきた清水川 栄さんが遂にたどり着いた理想の世界。それが<アーチケリー>だ。

「靴の販売に携わり、様々な製品に触れていく傍らで、私はヴィンテージシューズの美しさに強く惹かれていきました。ヴィンテージシューズの美しさとはすなわち、革のキメの細かさだったり、ステッチの丁寧さだったり、それらが合わさった時の存在感だったりです。例えば、50年代にアメリカでつくられたタンカラーのキャップトゥ。最高ですよね。そういう世界観と、より親密な生活を送りたいのであれば、もう自分でブランドを立ち上げるしかないと思ったのです」

そして、2020年夏に始動したのが、浅草に工房を構えるシューメーカー舘篤史さんが製作を担うオーダーブランド、<アーチケリー>だ。その好評を受けて、翌21年の12月から既製靴のラインが始動。
「これまでオーダーのみで展開していたウイングチップの人気作品が初めて既製靴となって登場することになり、今回の靴博で先行発売します。素材にはホーウィン社のコードバンを用意しています」


旧きよきアメリカ靴の世界観を大切にしています。


ライナーに印字されるサイズや品番などの数字は、旧きよきアメリカ靴のライナーに見られるフォントを見事に再現。ディレクターの清水川さんが自らの手で愛情を込めて押していく。



ウイングチップ 154,000円
先行発売のウイングチップは5アイレットの外ハトメが米靴的。メダリオンは某アメトラブランドの名品をイメージしている。

タッセルローファー 154,000円
Vチップ 151,800円
Vチップやタッセルローファーもコードバンでオーダー可。

靴博での特別コンテンツ―Arch Kerry
・有名アメトラブランドをリスペクトした新作のコードバンウイングチップを先行発売
・既製靴をコードバンでパーソナルオーダー



ダークコニャック、バーガンディ、ナンバー4、ナンバー2、ブラック、ナチュラル。ホーウィンのコードバンはこの6色から選べる


NO.6 DOUBLE FOOT WEAR(ダブルフットウェア)

出店:9月28日(水)~10月4日(火)

シンプルながら深みがあり、柔らかく履けるスウェード靴




2015年10月にブランドスタート。シュータンに縫い付ける織りネームには、革切り包丁を握る手が刺繍されている。その親指はグッと立っている。日々、浅草の地で「グッド!」を意味するサムズアップから仕事が始まっているのだ


理論物理学者のアインシュタインは言った。「Everything should be made as simple as possible, but not simpler.(ものごとはできる限りシンプルに。しかし、シンプルすぎてもいけない)」。この深すぎる言葉から刺激をもらい、ダブルフットウェアの中原隆将さんは、常に自問してきたという。

「めちゃくちゃ複雑に考えて考え抜いた結果、最後に『なんだ、こんな簡単なことだったのか!』というところに落ち着く。それが、創作の極意ではないかと考えています」。彼が生み出す靴は、確かにシンプルだ。ブランド発足時からつくり続けているのは7型。アッパーはスウェードのみで展開。そこにクレープソールを配したルックスがお約束となってきた。

「今回の靴博では2型に特化してカスタムオーダーを受け付けます。アッパーの色を選べるのに加えて、通常では展開していないソールをご用意します」。かつてはセミオーダーでワークブーツを手がけてきた凄腕が、いまはシンプルながら趣きがあってリラックスして履けるスウェード靴を手づくりしている。今回の靴博のオーダーにも入魂を誓う。



ソールはシャークソールの黒、白、タン、ビブラム#8338の黒、茶を用意。どちらのタイプもヒール部のウェッジあり・なしを選べる。


浅草の地に根づいてこれからもコツコツと靴をつくり続けます。


もともと中原さんはセミオーダーでワークブーツを手づくりする職人として独立していた。余った革でラクに履ける靴を自分用につくっていたのが評判になり、ブランドを始動。



ブーツ 27,450円~
サービスシューズ 22,200円~

靴博ではサイドゴアの[グロスマン]、サービスシューズがベースの[リゼル]でオーダー可能。アッパースウェードは黒、白、ベージュ、オリーブ、紺、赤、茶の7色から選べる。

インソールには台東区の場所を記す。

靴博での特別コンテンツ―DOUBLE FOOT WEAR
・定番2型<サイドゴアブーツ>、サービスシューズ>のカスタムオーダー会



NO.7 BROTHER BRIDGE(ブラザーブリッジ)

出店:9月21日(水)~27日(火)

一生愛せる革靴の秘訣はその絶妙なミックス感にあり。




「トラッド」「ミリタリー&ワーク」「スポーツ」という3つのアプローチを混ぜ合わせたミックススタイルを得意とする。ディレクター・鈴木英明氏による、その絶妙なミックス感に、2014年創業ながらすでに高い知名度を獲得。画像は工場長、志田宏樹さん。


2012年にOEM工場として創業、オリジナルブランドであるブラザーブリッジがスタートしたのはその2年後のことだった。当初はラギッドなブーツをメインに展開していたが、2016年に鈴木英明氏がディレクターに就任。

「大人の日常靴」をテーマにカジュアルな革靴ブランドへと方向転換してからというもの、瞬く間にその名が知れ渡っていった。その人気の秘訣は「トラッド」「ミリタリー&ワーク」「スポーツ」という3つのカテゴリを混ぜ合わせる、鈴木さんの絶妙なバランス感にある。「自分が作る靴を、お客さんに長く愛用してもらうには、ひとつのスタイルに傾倒するのではなく、柔軟なミックス感をもってご自身でいろいろと履き方や合わせ方を変えながら楽しんでもらうしかないと思っています。そんな考え方が、ブラザーブリッジを通してすこしでも皆さんに伝われば嬉しいです」

靴博では、ブランドを代表するモデル[ヘンリー]の限定色販売と、新作[ ハンター]のお披露目を予定。その他、人気の定番モデルが一同に会するなど、ブラザーブリッジの世界観を味わうには絶好の機会となっている。


「大人の日常靴」がテーマのため、製法は基本的にグッドイヤーで統一。修理をしながら、長く愛用できる靴づくりを目指す。

少数精鋭の自社工場で、チーム一丸となって靴づくりをしています!


底付けや磨きなど、大切な仕上げ工程は自社工場で行う。工場長の志田宏樹さんとも密にコミュニケーションをとり、想いをひとつに靴づくりに取り組んでいる。



「HANTUR」 63,800円
(先行予約のみ)
型であるモックトゥのドレスブーツ[ハンター]は、靴博にて先行予約が可能。ボリューム感を押さえたトゥで、やや上品な仕上がりに。

「HENRY」 62,700円

ブランドを代表するモンキーブーツ[ヘンリー]。こちらは靴博のために製作したというバーガンディカラー。


靴博での特別コンテンツ―BROTHER BRIDGE
・ 新作ドレスブーツ[ ハンター]の先行予約開始
・ 定番モデル[ヘンリー]の靴博限定カラー、バーガンディを販売





NO.8 The Ruttshoes &Co.(ラッドシューズ)


9月21日(水)~27日(火)
革からオーダーして作りだす自分だけのコードバンシューズ。



「同じ記憶を刻む」をコンセプトに、ディレクターである川村健氏が2018年に創設。アメリカやイギリスなどの靴スタイルに加え、日本人特有のセンスや技術をミックスし製作しており、普遍的にして個性的な革靴を展開


ドレスシューズをベースにワークやミリタリー、それに現代的なエッセンスを組み込んだ浅草発本格シューズとして、人気を得ているラッドシューズ。定番的な既製モデルの他、2021年からは特別な取り組みを限定的にスタートさせ密かに話題となっている。「ザ ファイブカウント」は、買い手が7色のコードバンシートから1枚をセレクトし、自分だけの1足が作りだせるという月5名だけの特注サービス。

「ホーウィンのコードバンは同一カラーでも、色の深さや色合い、表情が異なります。それをどう裁断し使うかによって微妙に味わいの違う一足に仕上がります」
そういった過程をディレクターの川村さんと相談しつつ、自分専用の靴作りを楽しめるところにこのサービスの醍醐味がある。また、靴作りの各作業にあたる職人や使用パーツも川村さんの眼鏡に適った人・モノ・工房だけを厳選ピックアップ。ひと口に“浅草発”と言っても完全に独自のスタイルであるところが見逃せない。今回の靴博では、この「ザ ファイブカウント」が、特別に伊勢丹新宿店のブースにて体験できる。



ビスポークの要素を随所に取り入れたスタイルは木型を見ても分かる。押さえ込まれた甲や絞り込んだウエストが非常にグラマラス


逸品レザー仕様かつ職人仕立てゆえにその存在は価格以上!



「ザ ファイブカウント」は底付けの製法が選べるところも特徴。グッドイヤーで11万円から。ハンドソーンで13万2,000円から。


「ザ ファイブカウント」ではスプリットUチップの[リドリー]、プレーントゥの[マイルス]、パンチドキャップトゥの[フランシス]の3型から選んでオーダー可能。

追加オプションのハトメやキルトタッセルで表情の変化も楽しめる。


靴博での特別コンテンツ―The Ruttshoes &Co.
・「ファイブカウント」でのコードバンを使ったオーダー会
・茶芯のブラックカーフによる新作の先行販売(10足限定)

 

■【前編】はこちら!
匠の技が息づく浅草職人探訪【前編】NO.1~NO.4|ISETAN靴博2022

 

イベント情報
「ISETAN靴博2022」
  • 開催期間:9月21日(水)~10月4日(火)
  • 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション、メンズ館地下1階 紳士靴

コンテンツ情報
「浅草職人」
  • 第一弾: 9月21日(水)~27日(火)
  • 出店ブランド:<The Ruttshoes &Co.>/<SANTARI>/<Arch Kerry>/<When>/<BROTHER BRIDGE>/<Arch Kerry>
  • 第二弾: 9月28日(水)~10月4日(火)
  • 出店ブランド:<SANTARI>/<Arch Kerry>/<DOUBLEFOOTWEAR>/<RENDO>/<’S>
  • 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション

・混雑状況により、入場の順番を決める抽選を行う場合がございます。

・混雑状況により、購入点数を制限させていただく場合がございます。

・一部商品は三越伊勢丹オンラインストアでも販売を予定しております。

*三越伊勢丹オンラインストアは9月21日(水)午前10時頃より順次販売開始予定です。

 

Photo: Takuya Furusue, Yoshika Amino
Text: Tsuyoshi Hasegawa, Ryo Kikuchi


*価格はすべて、税込です。
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*掲載の情報につきましては、諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。必ず事前にホームページをご確認いただき、ご来店ください。
*新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から、お客さまのご入場を制限させていただく場合がございます。予めご了承くださいませ。


お問い合わせ
伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 紳士靴
電話03-3352-1111 大代表
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