【インタビュー】ファッション&スポーツ愛が炸裂!<VENDER WOH!/ベンダワオ!>が解釈する新たなスポーツファッション
ファッションや飲食の店舗のディスプレイデザインを手がける一方、人気アーティストの衣装まで制作する注目のクリエイター、TAKESHI FUKUYAMA(福山武志)によるブランド<VENDER WOH!/ベンダワオ!>のポップアップを伊勢丹新宿店メンズ館2階 メンズクリエーターズにて7月7日(水)から20日(火)まで開催する。
それに伴い今回はデザイナーのTAKESHI FUKUYAMAさんと奥さまのAKIKOさんにインタビュー。ポップアップで展示するアイテムの解説を中心に、ものづくりへのこだわりや今後の展開などについてお話を伺った。
野球、格闘技、スケートボード…。独自のスタイルでスポーツをファッションで表現
――今回のポップアップは「スポーツ」がテーマになっていますが、その意図を教えてください。
「伊勢丹さんからは、去年ポップアップのお話をいただいていて、本来であれば東京オリンピックの開催期間中であったこともあり、スポーツをフィーチャーしています。それからここ数年、私自身がずっとスポーツブランドさんにお世話になって服作りをしてきたということもあって、"自分が好きなように服を作ったらどんなものができるか"ということを実験的にやってみたいと思い、「スポーツ」をテーマとさせていただきました。今回の展示では、今までやってきたことの集大成を発表できたらなと思っています。」
――今回、メンズ館からオファーが届いた時の感想をお聞かせください。
「率直に嬉しかったですし、光栄でした。ブランドを始めてからというもの、絶対に他のブランドと被らないようにということを心がけて、服を作ってきました。本当に服が好きだったので、色んなものを見て、触れてきたつもりです。伊勢丹さんには、国内外を問わず、老舗から新鋭まで多くのブランドが一堂に会しています。その中で、自分のブランドが良い意味で"どう違和感を出せるか"と、すごくワクワクしました。」
――今回の展示ならではのポイントは、どんなところにありますか?
「手作りや1点ものが多いのですが、今回の展示を通して大手メーカーさんがやらないような、私たちならではのもの作りの魅力が垣間見えると思います。私がこれまで見てきたスポーツの魅力やスポーツから受けた衝撃を、デザインや質感などを通じて、表現できているので、各アイテムを通じ、そこをぜひ感じて欲しいです。」
――では、今回展示するうちの一部、アパレルやスーベニアアイテムの解説をお願いします。
Baseball
「元メジャーリーグ有名選手オマージュのブルゾンで、こちらは約半年かけてゼロから制作をしました。生地選びから始まり、顔料染めで適度に汚して、スタジアムジャンパーを一度作り、それを解体した雰囲気に仕上げるために、わざと針穴をあけたり、針に傷つけて刺繍機で刺すことで、生地が引っかかり、中古風と言いますか、ラフに仕上げています。
苦労した部分は袖などの位置関係だったり、リメイクアイテムに見えないようにするということも大変でした。全てゼロから作っているということは、洋服が好きな人が見れば形でわかると思います。その辺の微妙な抜き差し加減は、すごく考えました。選手名のロゴをダメージ風に入れたり、象徴的な投球法をモチーフに、キャップのロゴデザインなどの細かい部分も、チェックして欲しいです。」
Mixed Martial Arts
「桜庭和志選手など、普段から総合格闘技の選手の試合用のパンツを作ったりしているのですが、総合格闘技のことを英語でMMA(Mixed Martial Arts)と言うんです。こちらのブルゾンはMA-1をベースにした総合格闘家向けのブルゾンという風に想定して、MMA-1という名前にしました。ダジャレですね(笑)。
リブ部分がオープンフィンガーグローブになっていたり、裏地のオレンジのキルティングが金網のモチーフになっていたり、あとシルエット自体をかなりマッチョに仕上げているのが特徴です。一度縫ってから解いて、肩部分に綿を入れたりして、筋肉っぽく見せています。あと格闘家の皆さんは歴戦の影響から、色んな怪我をしている分、肩が落ちていたり、脱臼の影響で左右の腕の長さが違ったり、普通の人と比べると体型がさまざまなのです。そういったところをアイテムで表せたら面白いなと思い、このMMA-1を制作しました。
実際に桜庭選手が試合で使っていたグローブを借りて、それを元に編み立てていきました。これだけ肉厚なので工場さんで作ってもらうんですけど、2人がかりでやらないとミシンに入らなかったり、かなり苦労しました。最終的には、リフレクターの糸を使って、生傷のようなデザインを加えようと思っています。」
Boxing
「これはあるプロボクサーをモチーフに作ったコートです。彼が対戦した代表的な6名の選手の対戦相手のパンツを調べて作りました。
戦利品で自分のガウンを作ったという感じですかね。また彼のニックネームからイメージして、タイトルの日付や場所などをこれからプリントで入れようと考えています。」
Skateboard
(AKIKOさん)「私は一切スケートボードはやらないのですが、造形としてそれが室内の空間にあった時に面白いなというところから、制作をしました。どんな用途で使っていただいても良いですが、ランプ特有の傾斜やカーブの造形を楽しんで欲しいです。
これは木材の端材を圧縮した建築の構造材を使っているのですが、積層の具合いがすごく美しいんです。圧縮すると面白いので、素材を活かすようにつくりました。お部屋のオブジェとして使うなら、塊としての強さがありつつも、素材としてエコというところがすごく面白い。全部で8〜9個くらい作る予定ですが、どれも大きさや形などはバラバラ。ここにグリーンやグレーブルーといったスモーキーなカラーを使って、部分的に塗っていく予定です。」
Basketball
「こちらは、バスケットボールをモチーフにしたエコバッグですが、商品名は『エゴバッグ』です。バスケット選手が着るゲームシャツをベースにデザインをしています。こちらはパッカブル仕様で、バスケットボール風にデザインしたケースに、小さくまとめて収納できるようになっています。
スチール製のバスケットゴールのオブジェもあります。さらにバスケットボール以外に、ハンマー投げから着想を得たエコバッグも展開します。こちらはハンマー投げの要領で実際に振り回すと、ハンマー部分に内蔵されたエコバッグが、パラシュートのように開くというものです。」
<VENDER WOH!>今後の展望とは
――今後のブランドとしての展望をお聞かせください。「今後は、機能性を重視した服作りもしていきたいと思っています。いわゆる大手のスポーツメーカーさんに見られる、ハイテク素材を使ったものというよりも、自分の技術やいつもお世話になっている工場さんの持っている技術で、どうチャレンジしたら、手作りの機能服ができるか、そこに対する挑戦です。
例えばポケッタブルのアイテムがありますが、収納することに固執しすぎると、服としてのデザインが疎かになって、満足のいくものができません。ベストがコートになったり、シャツの襟から何か出てきたりとか、色々と面白いものを作ってみたいと考え、日々、沢山の習作を重ねています。そのうちの一つが、今回のエゴバッグです。まだまだ可能性のある限りは挑戦し続けたいと思っています。」
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館2階 メンズクリエーターズ
会期中、三越伊勢丹リモートショッピングアプリのビデオ動画接客にてお買い物をお楽しみいただけます。お客さまにはご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
Text:Kei Osawa
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