【インタビュー】<XLARGE/エクストララージ>×<伊藤彩>コラボアイテムが日本橋三越本店でポップアップを開催&オンラインストアに登場


LA発のストリートファッションブランドと新進作家のコンテンポラリーアートがコラボを果たした。この異色のコラボは7月7日(水)から20日(火)まで日本橋三越本店 本館2階でのポップアップと、本館6階コンテンポラリーギャラリーでの個展を同時開催。コラボアイテムは三越伊勢丹オンラインストアにも登場する。

<XLARGE/エクストララージ>は、1991年、西海岸のユースカルチャーを融合したファッションブランドとして誕生した。コラボする<伊藤彩>は、和歌山県出身の現代美術家だ。絵画やマケットを制作してからジオラマに組み上げ、それを写真に収めたうえで改めて絵画に描く「フォトドローイング」と呼ばれる独特の技法が特徴で、国内外を始め数々の展覧会で高く評価されており、現代アートのネクストブレイクとして注目されている現代美術作家である。

このコラボレーションは、近年多様化しているファッションとアートの融合という側面だけでなく、日本橋三越本店の紳士服と美術、それぞれのバイヤーが思い描く百貨店の未来をも示している。今回のイベントの全容を、携わった人たちの思いとともに伝えたい。

<エクストララージ>×<伊藤彩>
Tシャツ 各5,500円
マスク 1,650円
キーホルダー 各880円
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□日本橋三越本店 本館2階 イベントスペース/三越伊勢丹オンラインストア
*三越伊勢丹オンラインストアでは、7月7日(水)午前10時頃表示・販売開始予定

イベント情報
<エクストララージ>×<伊藤彩> ポップアップストア
  • 日本橋三越本店 本館2階 イベントスペース
イベント情報
伊藤彩 展 「Where is banana?」
  • 日本橋三越本店 本館6階 コンテンポラリーギャラリー

*会期中は伊藤さんご本人も来店を予定。


  1. <エクストララージ>は常にサプライズを提供していく(皆川)
  2. アートとファッションの融合が新しい日本橋三越本店を描き出します(岩本)
  3. 日本橋三越本店が提案するのは「アートのある暮らし」(山崎)
  4. 今回のコラボが私の中の10代の心を目覚めさせてくれた(伊藤)



<エクストララージ>は常にサプライズを提供していく(皆川)

皆川 伸一郎さん
ビーズインターナショナル 代表取締役会長

<エクストララージ>・<エックスガール>・<サイラス>などストリート系カジュアルブランドを統合するビーズインターナショナルの代表。90年代LAのストリートカジュアルを肌で知る人物。

<エクストララージ>の世界的な展開を手掛けるビーズインターナショナルの皆川さんは、今回のコラボの仕掛け人だ。自身、アートコレクターとして国内外のさまざまなアーティストと交流を持つ。

90年代のアメリカ西海岸では、ストリートとアート、音楽とスポーツはミックスカルチャーとして浸透していた。現在は世界的な権利を譲り受けたビーズだが、当初はスタートしたばかりの<エクストララージ>の日本代理店だった。ある時期<エクストララージ>は、LAにギャラリーを所有していて、個展開催の初日にはレセプションパーティが開かれていたという。

「ギャラリーの名前はジョージスといって、こけら落としには、まだ、世界的なブレイクとなる前の村上隆さんキュレーションのグループ展が開催されました。私も何度かそのレセプションに参加しました。

そこには<エクストララージ>のオーナーの一人でもあるビースティ・ボーイズのマイクDや<エックスガール>を立ち上げたソニック・ユースのキム・ゴードン、フランシス・フォード・コッポラの娘で<ミルクフェド>を立ち上げたソフィア・コッポラ、マイク・ミルズ、ジェフ・マクフェトリッジ、エリック・ヘイズなどが集まってきていました。

若い俳優、音楽・映画関係者でギャラリーから人があふれる賑わいでした。ジョージスのレセプションに参加すること自体が、当時のLAカルチャーにおけるステータスだったんです。」

近年パリやミラノのラグジュアリーメゾンが、さまざまなストリートアーティストとコラボをする背景には、この90年代ストリートカルチャーを知る世代がクリエイティブディレクター等に就任し、時代を超えた当時へのオマージュが図られた結果であることは周知の事実でもある。当時を知る皆川さんにとって、<エクストララージ>がアートとコラボすることは、至極当然なことだった。

そんな皆川さんはいま、<伊藤彩>の作品に注目している。


「伊藤さんの作品を最初に目にしたのは、コレクターの友人がクラウドファウンディングで彼女の作品集を出版するという話を聞いたときだったと思います。それからしばらくして、代官山で小山富美夫さんキュレーションのグループ展があって、それを覗きに行ったら、伊藤さんの作品だけ、他の作家とは別に個展形式で展示されていたんです。その場で購入を決めました。」

幅2mに及ぶ絵画を、飾るスペースも考えず購入を決めたという皆川さんは、その後も伊藤さんの作品を何枚も蒐集している。

「毎回、どこかに印象的な光のモチーフが使われている。そこにとても心を奪われます。作品は最初にオブジェや絵画を作家自身が作り、さらにディスプレイして巨大なジオラマのようなものを作るそうです。そこにはたいていの場合、光のモチーフが存在する。伊藤さんがイメージした光が光線として描かれていたり、オブジェ自体が照明だったり、巨大な焚き火の火だったり。それを囲むようにして不思議な空間が描かれているんです。」

鮮やかな色の洪水の中に謎の立体物の数々。これはすべて作者の空想ではなく、実物が存在しているという。オブジェの集積がキャンバスの中に絵画として再現される際には、ときに重力を失い、奥行きと広がりをもって新しい命を吹き込まれる。不思議な空間へと導かれていく。

「ぜひ、伊藤さんとコラボしたいと思い、オファーしました。女性アーティストなので、<エックスガール>とのコラボを提案しましたが、伊藤さんから『メンズで<エクストララージ>でやりたい』と逆指名をいただき、コラボが決定しました。 個展やコミッションワークで多忙を極める中、4作品をコラボのために描き下ろしていただいたのです。」

<エクストララージ>×<伊藤彩>Tシャツ 5,500円
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□日本橋三越本店 本館2階 イベントスペース/三越伊勢丹オンラインストア
*三越伊勢丹オンラインストアでは、7月7日(水)午前10時頃表示・販売開始予定

Tシャツやマスクなどのプリントされた作品はすべて、今回のために描かれた伊藤さんの新作。コンテンポラリーアートファンにとっても、<エクストララージ>ファンにとっても貴重な機会となる。皆川さんは、作品はもちろんだが、伊藤さんオリジナルのフォントで作成されたブランドロゴも気に入っているという。

「部下たちがいろいろなコラボを進める中、私はキャラを既に確立出来ている<エクストララージ>だから、他ブランドとのコラボを積極的にやらなくてもいいと公言していました。しかし、草間さんや人気アニメや大作映画とのコラボが話題になり、それがブランド価値の向上に役立つことを理解しました。何より、ファンの皆さんが次のコラボは何かなと期待してくれていると、今は実感しています。

だからこそ、スタッフ一同、コラボパートナー探しに本気で取り組んでいます。私が担当しているのは、“ファインアート”。<エクストララージ>はストリートブランドなので、いくらビッグネームのアーティストでもストリートアートとのコラボはある種、当然と受け取られてしまう。親和性が高い分、部下たちがセットするストリート同士のコラボは好売上を期待できますが、 ファンの皆さんにサプライズを与えるために、ファインアートは欠かせません。

伊藤さんとのコラボを日本橋三越本店さんで発表する。この意外性満載の組み合わせに<エクストララージ>のファンはビックリするに違いありません。それこその私のやりたいことなのです。」

 

アートとファッションの融合が新しい日本橋三越本店を描き出します(岩本)

岩元 智之
日本橋三越本店 紳士クロージング スーパーバイザー

多彩なブランドを揃える日本橋三越本店の紳士クロージングだが、<エクストララージ>の取り扱いは初となる。岩元の思いを聞いた。

「会期中は<エクストララージ>の通常のコレクションもご用意しています。日本橋三越本店のお客さまへも潜在的なニーズがあると考えています。またアートとファッションの融合は、日本橋三越本店の売場作りに大きな影響を与えてくれるのです。」

これまで日本橋三越本店本館2階では、アートとファッションをさまざまなかたちで発信してきた。日本画家の泉東臣氏の代表作をモチーフにした生地を作成し、取組先と共同で限定品を開発したり、店内に写真家の荒木経惟氏の作品をディスプレイするなど、フロアをギャラリーに見立てたイベントも企画されている。

この日もフロアの至るところにアート作品が飾られていて、ディスプレイの一部として飾られていた。作品は日本橋三越本店本館6階 コンテンポラリーギャラリーの展示品とも連動しており、気に入った作品は購入することもできる。買い物の途中でギャラリーへ移動してアート鑑賞できるといった複合的な使い方は百貨店ならではといえるだろう。


「服が並ぶ紳士服売場にアートピースを並べることで、お買い物の途中に、ふと足を止めていただくきっかけになればと思っています。今日はシャツを買いにきたから、まっすぐシャツ売場へ直行して帰るのではなく、ゆっくりと店内を散策して、“ウィンドーショッピング”を楽しめるような空間を目指しているんです。」

ここは世界中の一流品を取り揃える百貨店としてモノを売る場所であると同時に、新しい体験が心を動かす場所。新しい服を着ることで気分が高揚し、おいしい食べ物が心を豊かにして、アートに触れることで心が揺さぶられる。日本橋三越本店は心を動かしてくれる場所でもありたい、と岩元は考えている。

「ファッションもアートも生活を豊かにするピースのひとつ。お客さまは、ラグジュアリーやストリートといった垣根を越えて、“本当に良いもの”をセレクトをされています。これからもお客さまの声に耳を傾けながら、多くの方に喜んでいただけるフロア作りをしていきたいと考えています。」

 

日本橋三越本店が提案するのは「アートのある暮らし」(山崎)

山崎 紘平
日本橋三越本店 美術営業部
コンテンポラリーアート バイヤー

<エクストララージ>のポップアップショップと同時に、伊藤彩 展「Where is banana?」が本館6階コンテンポラリーギャラリーで開催される。バイヤー・山崎は言う。

「日本橋三越本店のコンテンポラリーギャラリーは昨年3月、日比野克彦さんの展覧会でオープニングを飾りました。以来、2週間毎に注目のアーティストを招いてグループ展を開催しています。三越はアートギャラリーとして100年を超える歴史がありますが、コンテンポラリーギャラリーは伝統美術への敬意とともに、時代に即した新しい価値観を生み出す作家と作品を、皆さまにご紹介していく場所です。」

ホワイトキューブで設えられたギャラリー空間は、百貨店内のギャラリーということで、ヘリンボーンの床材を使うことで温かみある空間に仕上げられている。ここに<伊藤彩>のポップな作品が展示されることになる。山崎は、これまで伊藤さんの展覧会などにも頻繁に顔を出し、日本橋三越本店での個展を直接本人に交渉してきたのだった。


「伊藤さんは、数年前からネクストブレイクが噂されている日本人アーティストのひとりです。以前より、ぜひ日本橋三越本店でもというお話しを差し上げており、今回紳士フロアと共同で、このようなかたちで実現したことを大変嬉しく思います。」

オープン以来、日本橋三越本店の美術では「アートのある暮らし」を1つのテーマとしている。昨年来、家で過ごす時間が増えたことで、暮らしにアートを取り入れることがごく自然に受け入れられてきていることを山崎も感じている。普段の着る服として、ごく自然にアートと向き合えることは、日常にアートを取り入れる第一歩としても相応しい。

「丁寧に作られた一点物、希少価値の高いものに価値を見いだすのはファッションだけでなく、食やライフスタイル観にも通じるように思います。」

 

今回のコラボが私の中の10代の心を目覚めさせてくれた(伊藤)

伊藤 彩さん
アーティスト

京都市立芸術大学美術学部油画分野在学中に編み出した「フォトドローイング」で制作する、色鮮やかで不思議な空間を創り出す絵画が国内外から高く評価されている。アイルランドで創作活動を続けた経験も。

和歌山県在住の伊藤さんは、いま個展に向けて制作の真っ最中。今回は、オンラインインタビューを試みた。

「<エクストララージ>の作品にも採用したスプレーペイントは、初めて使ってみた画材なんです。真っ白い壁にスプレーで落書きするような、そんなイメージにしたくて使ってみました。個展にもスプレーを使った作品を展示します。」
コラボTシャツのデザインに落とし込まれた<伊藤彩>作品

先の皆川さんのインタビューで、<エクストララージ>を選んだのは伊藤さんご自身だった点についても聞いてみた。

「10代の頃は<エックスガール>も着ていたのですが、私の作品は甘すぎない印象なので、メンズの<エクストララージ>に合うと思ったのです。それに<エクストララージ>は、私が小さい頃からあるブランドなのに、いまも若い10代に支持されている。永遠に10代の心を惹きつけ続けていることは本当にすごいことだと思います。今回のコラボをきっかけに10代の心を持ち続けたいなと素直に思いました。」

インタビュー中、画面越しに映し出されたアトリエは倉庫のような空間。聞けば、実家のみかん農園の選果場の最上階をアトリエにしているのだという。窓の外には、のどかな自然いっぱいの風景が広がっていた。

「私にとって自然も人工物も、オブジェもテキスタイルも作品のなかではすべてが同一の視点でフラットな存在です。ちょっと不思議なキャラクターや静物、照明器具なども描き込んでいるので、細かく見ていただくと、より楽しめると思います。」

マスクやキーホルダーのデザインに落とし込まれた<伊藤彩>作品

作品のなかに登場するオブジェもすべて、アトリエに残されている。実物からさらに鮮やかな色をまとっているのは、彼女の名前の「彩」の字が、そうさせているのかもしれない。Tシャツにプリントされたロゴの現物も、ピンクのサテン地にキルティングステッチで施されたものだった。会期中は、日本橋三越本店内のどこかにきっと展示されていることだろう。店内を歩いて探し、新しい発見をしていただきたい。



 

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Photograph:Natsuko Okada
Text:Yasuyuki Ikeda

*価格はすべて、税込です。
*諸般の事情により、イベント内容が変更、または中止となる場合がございます。予めご了承ください。
*本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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日本橋三越本店本館2階 メンズクロージング
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