【インタビュー】人と被らないセットアップ。〈サバイ〉デザイナーが特注の新型を徹底解説
今年7月に三越伊勢丹オンラインストア上ポップアップにてパンツの受注販売を行った〈saby/サバイ〉が、10月31日(土)より再び期間限定ポップアップイベントを開催。今回のために特別に制作したジャケットや、大阪のセレクトショップ「rroomm/ルーム」・伊勢丹と3社合同企画のデニムシリーズなどの受注販売を実施する。
〈サバイ〉デザイナー 橋本氏へ2回目のインタビューとなる今回は、一問一答形式で、改めてブランドについて、前回の反響、今回のイベントに対する思い、新作へのこだわりなどを伺った。〈サバイ〉と伊勢丹新宿店 メンズ館2階 メンズクリエーターズとの共作で本イベントのために撮り下ろしたスペシャルルックと共にお楽しみいただきたい。
話題沸騰の新ブランド〈saby/サバイ〉とは
――ブランドコンセプトを改めて教えてください。
「忘れてしまっている日本人としての美意識や、感性を再認識出来る様なモノ創りがコンセプトになります。」
――2020年秋冬と2021年春夏についてのテーマを教えてください。
「20FWはテーマが『stem』。幹を意味し、ブランドとしての根幹を感じさせるようなコレクションを創造しました。21SSは『day by day』。日々を意味し、ブランドとしての広がりが出るような高い水準でのデイリーウェアーを創造しました。」
――ルーツや意識していることは何ですか。
「前回のインタビューでも触れましたが、メンズファッションとしてトラディショナルなスタイルや、思考の本質です。日本人としての美意識<無作為の作為>をモダンにとらえる事を常に意識しています。あとファッションと言う軸にとらわれず、様々なカルチャーとリンク出来る様な振り幅の有るブランドにしたいですね。」
今回伊勢丹からのお題に「わくわくした」。3社合同企画のセットアップ
――前回(今年7月に三越伊勢丹オンラインストアにてPOPUPを開催)の反響はどうでしたか。「立ち上げて間もない、無名のブランドを百貨店がフックしてくれているという事自体が異例で。見てくださったお客さまや、ブランドに携わってくれてる方々が非常に楽しんでくれていました。」
――前回のイベントを終えて、どんなことを考えましたか。
「表面的な取り組みでは無く、一つの事を丁寧に伝える事が出来たと思っています。単発で終わらず、継続的にこの様な取り組みをすることで、新たなお客さまとの出会いが生まれ、日頃よりブランドを支えていただいてるお客さまと繋がりが深まりました。」
――今回のポップアップのテーマは何でしょう。
「テーマは、簡単に言うとわくわくがテーマですね。(笑)伊勢丹から『〈サバイ〉のタックバギーをセットアップで』というお題の元、伊勢丹、『rroomm/ルーム』、〈サバイ〉の3社でこの案件に向き合いました。」
――「ルーム」と3社合同企画の理由は何でしょうか 。
「『ルーム』さんは〈サバイ〉立ち上げ時から取り扱い頂いており、ブランドに対して見地があり多くのお客さまに対してブランドの魅力を伝えていただいてるお店のひとつです。現場の声をより理解している『ルーム』さんやマネージャーの安田さんと組む事により、アイテムの完成度を高まると考えご参加いただきました。
大きな理由はそれですが、純粋に百貨店と個店が一緒に何か取り組むって事が単純にわくわくしたんですよね。ある意味サバイっぽいなと。(笑)それぞれを知っている人・知らない人、みんな満足できるように、3社で化学反応を起こすようなプロジェクトにしたいねと、伊勢丹のバイヤーチームの皆さんとお話していました。」
――今回の見どころを教えていただけますか?
「タックバギーが袴から着想を得たデザインになり、その上は基本半着(はんぎ)と言われる作務衣を長くしたような物になりますがそれでは芸がありません。あくまでセットアップ=パンツ+ジャケットだと思い、〈サバイ〉のタックバギーの持つ雰囲気に合うジャケットとは?と考え、かなりの難題でしたがいい塩梅で表現出来たと思います。」
橋本氏が解説。待望の第二弾POPUPに登場するアイテムとは
今回のポップアップでは、メンズクリエーターズが懇願した定番タックバギーに合わせるジャケット、伊勢丹メンズ館・「ルーム」の2店舗限定展開となるデニム素材のセットアップ、数量限定のレザーパンツがラインナップ。
JACKETS& TUCK BAGGY< HARD TWISTED YARN CLOTH >
――〈サバイ〉の代名詞であるタックバギーパンツのこだわりを教えてください。
「前回のインタビューでもお話しましたが、簡単に言うと、縫製の力強さですかね。うちの工場がいわゆるデニムなどカジュアルなアイテムの縫製が上手な工場になります。その工場でトラウザーの様なドレス仕立てのアイテムを作る事で独自の表情を生み出しています。」
――今回伊勢丹からの「ぜひジャケットを作っていただきたい」という要望についてどう思いましたか?
「前から作れたら良いなとは思っていましたが中々創造出来ず、今回伊勢丹さんに背中を押していただき感謝です。」
――ジャケットを作る際に影響を受けたものやイメージしたことは何ですか?
「タックバギーが持つ雰囲気を活かすことを意識しました。」
――パターンのこだわりを教えてください。
「出来るだけパーツ数と切り返し(つなぎ目)を無くし、ダーツのみでシルエットを美しく表現する事をパタンナーと詰めました。」
――ディテールのこだわりを教えてください。
「タックバギーもそうですが、ディテールを引き算し、良き塩梅に落とし込む事ですかね。」
――この素材の特徴は何ですか?
「国内で作られた生地で、日本が誇る技術が集約された上質なものになります。『HARD TWISTED YARN CLOTH』は強撚糸で、20/2の太い綿双糸を使用しながらも落ち感が素晴らしいんです。」
――今回のセットアップの楽しみ方を教えてください。
「ジャケットはやや着丈を長くしカバーオールの様なざっくりとした抜け感を表現していますので、ラフに着ていただけますし、コーディネート次第でスーツの様な演出も可能だと思います。振り幅の広いデザインになるので、様々な着こなしが可能なセットアップになります。もっと遊びたい方には、次にご紹介するデニムセットアップを楽しんでもらいたいです。」
TUCK BAGGY < 11.5oz ICE BLUE/YELLOW DENIM>
――デニム素材の良さは何ですか?
「11.5OZで中肉な素材ですが、甘撚りで織られているので着心地が良いです。何より経(タテ)、緯(ヨコ)糸で違う色の糸を使ってるので奥行の有る色合いが特徴です。」
――この素材の特徴は何ですか?
「こちらの素材も『HARD TWISTED YARN CLOTH』同様に国内で作られた生地で、甘撚りによるソフトな質感と、安心感の有る肉感のバランスが秀逸です。」
――強撚糸セットアップ(HARD TWISTED YARN CLOTH )とのスタイルの違いはどう考えていますか。
「強撚は綿でウール地のような綺麗な落ち感があるためドレスの要素を兼ね備え、デニムは色合いの綺麗さにこだわりながらもカジュアルな仕様を意識したため、バランスは取れてるのかなと。」
――着こなす際のポイントは?
「インナーに古着のプリントTシャツを合わせてハズす着こなしをしていただいても良さそうですね。セットアップにこだわらず、パンツだけでもまずはお試しいただければと思います。」
――どんなスタイルが今季らしいと思いますか?
「インナーにハイネックや、タートルネックの着こなしは気分ですよね。」
PANTS < Washable synthetic lamb skin >
最後に・・・
――これらのアイテムを通じて伝えたいことは何ですか?「いわゆるテーラーではなくカジュアルな縫製仕様ですが、生地とパターンでここまで魅せる技術は、日本人特有の丁寧さから生み出されたと思います。テーラーでは出せないプライスも魅力だと思います。」
――これから作りたい洋服はどんなものですか?
「そうですね・・・毎回異なるデザインやコレクションの発想で服を作るというより、自分が大切にしているものを基盤に、全てにおいて完成度の高いデザイン・アイテムを創造していきたいです。」
――この連続企画についてどう考えていますか?
「回を重ねるごとにアップデートさせていくということにプレッシャーは感じますが、今回も良い仕上がりになり、楽しく取り組みをさせていただきました。次回もご期待ください!」
三越伊勢丹オンラインストアで〈saby/サバイ〉の商品一覧を見る
- 開催場所:三越伊勢丹オンラインストア
Photograph:TAGAWA YUTARO(CEKAI)/ISETAN MEN‘S net
Text:ISETAN MEN‘S net
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