2020 WATCH COLLECTOR’S WEEK|注目ブランドはこれだ!Vol.4〈A.ランゲ&ゾーネ〉
今年の「ウォッチコレクターズ ウイーク」のテーマである、わたしにとっての“いい時計”に焦点をあててご紹介する企画。第4回目は〈A. LANGE & SÖHNE/A.ランゲ&ゾーネ〉だ。
〈A.ランゲ&ゾーネ〉の歴史
〈A.ランゲ&ゾーネ〉はドイツが誇る機械式腕時計ブランド。1845年、ドイツ東部ザクセン公国(現在のザクセン州である)の山村グラスヒュッテに、フェルディナント・アドルフ・ランゲが構えた時計工房からブランドの歴史がスタートした。
ザクセン式と称される独自様式を生み出し、プロイセンやバイエルンの皇帝から懐中時計が珍重されるも、第二次世界大戦に続くドイツ東西分裂後に東ドイツで国有化され、〈A.ランゲ&ゾーネ〉の名は一度消えた。
しかし、1990年のドイツ再統一をきっかけにブランドが再興され、その後現在に至るまで、ドイツ的な機能美を感じさせる腕時計を生み出し続けている。
機能と利便性を両立させた〈A.ランゲ&ゾーネ〉の機械式時計
クオーツの時計は一切製作しない姿勢には、機械式時計作りにこだわる強い意志を感じさせるのだが、ムーブメントを見れば、その手仕事の繊細さと緻密さがわかるだろう。
「ランゲ 1・タイムゾーン」は、自分が今いる時間帯と、もう一つ別の時間帯の時刻を同時に表示してくれる。「ランゲ1」自体は〈A.ランゲ&ゾーネ〉の復興のシンボルともなったコレクションで、他にもモデルがあるのだが、本モデルが新たに開発した自社製キャリバーを搭載して登場することによって、「ランゲ1」コレクションはすべて自社製キャリバーが搭載されることとなった。
コロナ禍の影響で海外へ直接行く機会は一時的に減っているが、遠く離れた海外とオンライン上でコミュニケーションを取る機会が代わりに増え、海外とのやり取りの頻度は以前と変わらないだろう。
「ランゲ1・タイムゾーン」は付加機能として「第二時間帯表示」ができるようになっている。デイ・ナイト表示サークルは読み取りやすく、新しく組み込まれたサマータイムマーカーで夏時間を採用している都市が分かるので、瞬時に自国の時刻とあわせて時間を読み取ることが可能だ。サマータイムマーカーは、5時位置にあるゴールドの三角インデックスの底辺側にある小さな窓に潜んでいるのだが、窓が赤色になると、設定した地域ではサマータイム制を採用していることを意味する。その場合には、北半球では春から秋、南半球では晩夏から春までの間は、そのゾーンタイムに1時間を加える必要がある。その地域が1年を通じて標準時であるという場合には、窓は淡色のままだ。
第二時間帯を簡単に設定できる回転式24都市リングは、前モデルから踏襲している。8時位置にある調整ボタンを押すと、24都市リングが西から東へ回転し、次の時間帯に切り替わるのだが、それと同時に小さなサブダイヤルの時針が1時間進み、ゴールドの三角インデックスが指す時間帯の代表都市の時刻を示す。大きな時刻表示サークルには、ホームタイムあるいは自由に選んだ時間帯の時刻を表示させることが可能だ。ホームタイムのインデックスを立体的なゴールド製のローマ数字で表示する一方、ゾーンタイムにはアラビア数字をプリントし、容易に判別ができるように工夫されている。
次に紹介したいのが「ツァイトヴェルク・デイト」だ。一見、どの針を見て時刻を判断するか戸惑うかもしれないが、実はこのモデルは瞬転数字ディスクによるデジタル時刻表示機能を持っている。中央部分で左右に配置された窓に表示される数字こそが、時刻を表しているのだ。
デジタル表示というと、電波時計などでよく採用されるイメージもあるが、それを機械式時計でやってのけることが、どれだけ難しいことかは想像に難くない。一瞬のうちに数字ディスクが1単位進むという比類なきメカニズムは、毎正時には3枚の数字ディスクを一斉に先に進めるのだが、その瞬間は圧巻の一言なので、ぜひ実際にご覧いただきたい。
さらに、このモデルには日付表示機能が搭載され、文字盤の縁に配されたガラス製の日付リングに、その日の日付が赤色で表示されるようになっている。
数字ディスクが1単位ごとに進むため、時刻を従来どおりリュウズで1分ずつ調整するのでは時間がかかりすぎるのでは、と不安に思うかもしれない。しかし、その点は心配無用だ。
4時位置に配置されたボタンに、日付表示が加わったことによって必要になった操作、つまり時表示だけを先に進める役割が割り当てられている。日付表示が機能するには、24時制で時刻を正確に合わせることが必要だが、ムーブメントの切替えプロセスと切り離して時表示を調整できるようにするために、ボタンを押すたびにクラッチが時リングを瞬転数字メカニズムから切り離すような構造になっている。この時、ボタンから手を離すと、時リングを回転させる力が発生するのだ。
最後にご紹介する「オデュッセウス」は、近年腕時計業界の一大ブームといっても過言ではない、ラグジュアリーな雰囲気とスポーティテイストが融合した時計。
機械式腕時計はアクティブなシーンでも着用できる性能がなければ、そういったシーンでの着用はおすすめできないが、この「オデュッセウス」は活動的なライフスタイルを好む方のために同ブランドで初めて開発されたスポーティウォッチだ。スポーツ感覚あふれる立体的なデザインが、それを体現しているのだが、アウトサイズデイトなどの機能美に拘る〈A.ランゲ&ゾーネ〉らしさはそこに残している。
ムーブメントは、「オデュッセウス」のために開発された自社製キャリバー「L155.1 DATOMATIC」。この名前は、ドイツ語の日付表示を意味する「Datumanzeige」と自動巻を意味する「Automatischer Aufzug」を組み合わせた造語だ。
外部からの振動や衝撃があっても安定した歩度を約束するため、テンプが毎時28,800振動(4ヘルツ)で動き続け、歩度を乱す要因となる乱流の発生を最低限に抑えるため、テンプに調整用ビスが埋め込まれている。ムーブメントは、約50時間のパワーリザーブを蓄えることができ、動力の安定供給には、ブラックロディウム仕上げの大型センターローターが貢献している。
二度組方式で組み立てられるムーブメントの部品にはすべて、同ブランドの理念に則り、手作業で入念に仕上げ装飾を施している点は他のコレクションと変わらない。サファイアクリスタルガラスのトランスパレントケースバックからは、グラスヒュッテストライプが美しい洋銀製の地板、手彫りの曲線模様が刻まれたテンプ受け板、ガンギ車にセットされたビス留め式ゴールドシャトンなど、工芸技術を駆使した数々のディテールを見ることができるので、従来からの〈A.ランゲ&ゾーネ〉ファンも楽しめるコレクションとなっている。
腕時計という小さなフィールドに多くの機能を搭載すると、文字盤が見え難くなってしまうという問題点を、確かな技術とこだわりの機能美で解決するドイツウォッチブランド〈A.ランゲ&ゾーネ〉。
確かな手仕事によって、機械式時計ならではのロマン溢れる機能と利便性を両立させた時計を“いい時計”と考えるのなら、ぜひお手にとってもらいたい。
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