【特集】メイド・イン・ジャパンの美意識が宿る、<三陽山長>の定番シューズ5選
<三陽山長>には、誇るべき職人仕事がある。ベベルドウェストやシームレスヒール、スキンステッチなどの
粋で高度な技は、足元を端正に見せる<三陽山長>の靴づくりには欠かせない極め細やかな手仕事によるもの。それに加え、各モデル名の頭文字にあたる「友」はストレートチップを、「勘」はUチップ、「源」はダブルモンクストラップを表し、2文字目、3文字目は採用されているラストを表わすことに気が付けば、<三陽山長>の靴作りが、定評ある木型(ラスト)とアッパーデザインの掛け合わせによる“良血の系譜”から成ることにも心が躍るはずだ。
今回は、<山長靴印本舗>として2000年に伊勢丹メンズ館での取り扱いを開始し、<三陽山長>となった2001年以降もその歴史を見続けてきた伊勢丹メンズ館だからこそ選出できる、いまお客さまに支持されている定番モデルを紹介する。
<三陽山長>の靴作りは、「匠」の心と技が宿った木型から始まる
数万足に及ぶ靴作りで培った日本人の足のノウハウが余すところなく反映されている<三陽山長>の木型。現在の主要木型の一つは、<三陽山長>がスタートした2001年に使用していた「R201」をベースに、その後様々なデータをもとに2010年に満を持して投入された「R2010」。外振りの型にウェストを絞り込んだ土踏まずでサポート力をアップさせ、日本人ならではの踵を意識した小振りなヒールカップは、後ろ側で足をホールドして全体のフィット感を良くするように考えられている。そしてもう一つは、2010年に<三陽山長>のスクエアトゥの木型としてデビューした「R309」。日本発の本格靴ブランドとしての世界観の中で、クラシックデザイン踏襲オンリーではなく、気障なデザインや斬新さを乗せて表現できるこの木型は、単に流行りだけの形ではなく、<三陽山長>らしさと日本人の足を意識して永く愛用できるよう考慮されているのだ。
それらの木型の良さをサポートするのが、熟練の職人による匠な靴づくり。従来製法にはない屈曲性を実現し、ビスポークにも用いられる技術を採用することで中底の沈み込みを軽減する「フレキシブルグッドイヤー」、厚さ数ミリの革の断面を縫い合わせて、熟練した匠の技を要する手縫いの「スキンステッチ」は、ミシン縫いには再現できない美しいステッチを生み出している。
そのほかにも、靴のウェスト(底面から見た土踏まず部)を極限まで細く絞り上げることにより、色気を醸し出しエレガンスさを演出する意匠の一つである「ベベルドウェスト」、クォーターを1枚革で誂えることで美しいシルエットを実現する「シームレスヒール」など、<三陽山長>の靴づくりの中には「技・匠・粋」という和の精神に基づいた美意識がしっかり息づいているのだ。
名は体を表す、自分の一足が必ず見つかる定番モデル5選
1. マスターピースに値するストレートチップ「友二郎」
<三陽山長>のアイコン的代表モデルの「友二郎」。こだわりのディテールとしては短めのキャップトウ、スワンネックステッチ、5穴のレースなど、ストレートチップシューズとして普遍的に愛される表情をもっている。
ビジネスだけではなく、フォーマルから少し気取ったカジュアルまで、TPOを踏まえた履きこなしはまさに無敵。<三陽山長>の靴史の中でも立ち上げから延々と継続されているモデル名「友二郎」は実在の人物の名前だという噂も……。
2. 熟練した匠の技がスキンステッチに宿る「勘三郎」
日本文化の代表格、歌舞伎にちなんだ「勘三郎」は、<三陽山長>を語るうえで外せない代表モデルの一つ。“エプロンダービーシューズ(通称Uチップ)”のU部分の甲をライトアングルステッチで縫い付け、トゥ部分の縫製にもスキンステッチ*を施し、見た目にも高級感が伝わる仕上がりだ。
知る人が見れば1ランク上の靴を履いていることが一目でわかるモデルだ。ブラッチャー(外羽根式)モデルなので、ビジネスでもカジュアルでもジャケットスタイルと見事にフィット。デニムやホワイトデニムなどに合わせる大人のスタンダードスタイルにも履きこなせる。
*限られた職人にしかできない高度な技術。革の内部だけを縫い通す工程。
3. 靴本来の品質と美しさがわかるスリッポンモデル「十志郎」
靴の脱ぎ履きの多さは日本ならではの文化。料理屋でのお座敷や訪問宅への上がり下がり、飛行機利用の出張など、ビジネスシーンで少し不便を感じるのがレースアップシューズだが、ローファーやよくあるスリッポンではスタイルとして今一つと避けている人も多いはず。そんな方へおすすめしたいのがサイドエラスティックスリッポンの「十志郎」だ。
クラシックな英国調な顔が気品を漂わせる同モデルは、パンツに合わせたときにローファーのように履き口が広がらず、靴下が多く見えることもないので、レースアップシューズと同等に扱えて、シューホーン1本で脱ぎ履きできる。もちろんカジュアルに散策に使っても良い感じだ。
4. 流線型に描かれたスタイリッシュなダブルモンク 「源之介」
紳士靴のバリエーションとして今では欠かせないモデルとなったダブルモンクストラップシューズ。近年シングルモンクストラップシューズも見直されつつあるが、まだまだ不動の人気者だ。
紐ではなくベルトで止めるデザインなので、ビジネスにもカジュアルにも重宝され、実は女性にも隠れた人気のデザイン。当然ビジネスでは黒靴が主流だが、日本のビジネスシーンも年々変化しつつあり、<三陽山長>でもあえてダークネイビーというカラーを選択。光によって色の見た目が変わって、黒にはない妖艶さを放っている。
5. ブランド史上最高の技術を詰め込んだ匠な「友之介」
R309の代表モデル「友之介」の"匠"仕様。フレキシブルグッドイヤー製法で作られた同モデルは、「足馴染みに時間がかかる」といったデメリット要素を解決し、履いてすぐに柔らかく底が返り、歩くと足にちゃんとついてくるすこぶる快適な一足だ。
スクエアトゥに<三陽山長>の特徴であるウェストの絞りや小振りな踵はもちろんのこと、低めに設定した甲部とよりフィット感を意識した木型ですっきりとシャープな見た目を実現。履いてみると見た目ほどの細さやきつさは感じさせないのも魅力的だ。
Photo&Text:ISETAN MEN‘S net
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