2014年に誕生した虎ノ門ヒルズ 森タワーを幕開けに、かつて“オヤジの聖地”といわれたエリアが大きく変わろうとしている。目玉のひとつが、虎ノ門から新橋へと走る新虎通りに誕生したザ シューシャイン アンド バー。長谷川裕也率いるブリフトアッシュの新業態である。


虎ノ門ヒルズ界隈には2019年の暮れから続々新店がオープンしている。フランスのミシュラン2つ星レストランで部門シェフを務めた玉水正人手がけるモダンフレンチレストラン サンミ/サンミラボ、コーヒーの定額サービスを採り入れたハッシュカフェ 105 虎ノ門。錚々たる顔ぶれのなかに割って入ったのがザ シューシャイン アンド バーだ。その名のとおりバーと一体化したシューシャインショップで、複合型業態はブリフトアッシュにとってはじめての試み。

「青山の骨董通りにブリフトアッシュをオープンしてすでに10年が過ぎました。次の10年のテーマに据えたのが、靴磨きをカルチャーに、というもの。そこで目をつけたのが酒でした。酒を片手に靴を磨く洒落者がいるように、靴磨きと酒はいずれも粋な男の嗜みであり、親和性が高いからです。磨かせていただいているあいだ、お客さまはお酒を一杯呑んで待つ、というのは乙なものです」（長谷川裕也さん）


バー部門は公私にわたって付き合いのある斎藤悠に委ねた。斎藤は青山国連大学前のマルシェなどの仕掛け人として知られるやり手で、彼のディレクションでドリンクは伝説のバーテンダー、デニー愛川の愛弟子であるヒオキケンゴが、フードは中国料理界の気鋭、西岡英俊（レンゲのオーナーシェフ）が取り仕切ることが決まった。

10種類にのぼるオリジナルカクテルのなかでもぜひ試したいのが、ドレスシューズの世界をイメージしたというザ シューシャイン ネグローニ（1500円）だろう。イギリスのタンカレーNO.10、イタリアのアンティカ フォーミュラなどをブレンドしたネグローニは、クラシック・カクテルにツイストを効かせる、というヒオキならではの一杯に仕上がっている。



そのほかにもアイラ島からピックアップしたオリジナルのスコッチウィスキーなど左党なら素通りできない酒が揃っており、口開けから閉店まで杯を重ねた紳士や土日挟んで6日連続で通った紳士ではやくも店は賑わっている。

「店づくりは古き良きバーバーが着想源。髪を切る筋骨隆々の男をイメージして、店長には赤塚（誠）を指名しました。ほそおもてが多いうちのスタッフで唯一アメリカの理髪師に対抗できる男です（笑）」（長谷川さん）

目玉メニューはレザースニーカー

シューシャインのメニューにははじめてスニーカーが加わった。オンスタイルに履く、いわゆるレザースニーカーに絞ったのがポイントだ。

「ノーネクタイやポロシャツが当たり前になって、レザースニーカーを合わせるスタイルは珍しくなくなりました。立地柄、その傾向は顕著に感じられましたね。彼らのニーズに応えるべくいちから構築したのが『S（スニーカー・シャイン）コース』（2,750円、所要時間：約25分）です」（赤塚誠さん）


ドレスシューズに比べれば複雑なアッパー・パターン、異素材コンビ……スニーカー特有のアッパーを徹底して分析するいっぽう、専用のクリーナーも開発した。

「ブリフトアッシュのオリジナル・クリーナーにシンナーと研磨剤を調合しました。ラバーソールの頑固な汚れをまるっと落としてくれる洗浄力があります。クロスもあらたにつくりました。ベースは、マイクロファイバー。クリーナーのポテンシャルを最大限引き出してくれます」（赤塚さん）

メニューには「Sコース」のほか、ドレスシューズを対象とした「A（アメージング・シャイン）コース」（3,300円、所要時間：約30分）と「B（ビット・シャイン）コース」（2,200円、所要時間：約20分）をラインナップ。「Bコース」はランチついでに訪れるカスタマーなどを想定したもので、店には代車ならぬ代靴としてのスニーカーも用意されている。

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