2019.06.11 update

【特集】古き良き美徳から生まれた、「JOJO Naitou(ジョジョナイトウ)」という名のサンダルの秘密とは。

京都・祇園、世界遺産に指定される建仁寺にほど近い場所にて140年以上に渡り履物店を営む「祇園ない藤」といえば、すべてをお誂えで作る草履が思い浮かぶだろう。しかし今、ファッションの世界では、老舗ながらも気鋭な存在として名を馳せる一風変わった履物店として注目を浴びている。その正体は<JOJO Naitou/ジョジョナイトウ>。草履本来の美しく放物線を描く花緒や普遍的な機能性と構造美を新たなサンダルのカタチとして描き直したのだ。

5月中旬、筆者は、京都市の歴史的意匠建造物にしてされ、創業時と変わらぬ姿を残すお店を訪ね、<ジョジョナイトウ>の発想の原点を探った。


「間口税の影響で軒先は狭く作るのが、京のスタイル。奥行きのある建物でいかに上手に生きるかということを考え、それが自然と生活の知恵になりました」
 
そう語るのは「祇園ない藤」の女将であり、5代目当主 内藤誠治の母である。
 


お店に入ると、手前には接客空間、暖簾を一つくぐると草履を作る場所が置かれている。
お世辞にも使いやすいとはいえない、京都ならではの"鰻の寝床"(=間口が狭くて奥行きの深い建物や場所のたとえ)をいかに効率的に使うか。例えば、高い天井や階段の組み方、引き出しの向きなど、長年の知恵から生まれた過ごしやすさの工夫が散りばめられているのがわかる。

自らを職商人(しょくあきんど=職人と商人を掛け持ちする)と表するだけあって、こうした間取りにも納得出来る。職商人として職人と商人、どちらの技も自然と高めていく時間が、継承と変化を生み出しているのだ。



過去と現在が自然と行き来する廊下

 
取材中、草履を作る番頭が、私の横を足早に過ぎ去り、半地下にあるJOJOの製作部屋へ行く姿が見えた。顧客一人ひとりのお誂えから生まれた鼻緒や前ツボ、ソールなどの些細な声を新たなアイデアとして伝えていたのである。
 
「お誂えはフルオーダーとは違い、お客さまの要望をお店側が聞き、それに対してお店側が見立てを行うことなんです」

細かなディテールの要望をお客さまの指定通りに受けるフルオーダーとは一線を画していた。




お客さま一人ひとりの容姿やお仕事、用途など様々な要素を鑑みて一足の草履を誂える。この過程で生まれる気づきの一つ一つがJOJOの製作に生かされるのだ。

しかし、JOJOの製作過程で生まれた新たな素材へのチャレンジや新たな発想は草履作りにも反映されている。それぞれの時代で生まれた2つの履物が、いとも簡単に交差し、切磋琢磨することで常に進化が止まらない。当たり前に思える仕事の一つ一つが次の時代を生み出す新たな履物へと近づいているような気がした。


サンダル 24,840円から

更なる進化を遂げた”Neo JOJO(ネオ ジョジョ)”

 
「今までのJOJOは一足仕上げるのに接着剤を乾かす時間などを含めて丸三日ほど要したり、JOJOそのものが重かったりと課題がありましたが、新しいタイプに変えてからはこの課題が無くなりました。名付けるなら”Neo JOJO”かな(笑)」
 
JOJOの製作を担当する小池大地氏が云うように、接着剤を極力使わない製法に変えたことで製作時間が短縮、修理もしやすくなり、不要物を出さないなど環境にも配慮できたという。ソールの厚みや素材の配合も改良し、軽量化と耐久性も格段にアップ。この副産物としてお客さまの要望に合わせてその場でカスタマイズ出来る新たなメニューも加わった。


職商人が店頭にいれば、鼻緒の微調整も行える。草履では当たり前の作業もJOJOの構造に生かしたことで、従来よりもお客さまそれぞれにあったフィットの調整ができるようになったのだ。
 
草履から生まれたJOJO、草履に近づくJOJO。それと同じようにJOJOに近づく草履。

お店の片隅に無造作に置かれた2つの履物の距離は、もうない。





関連記事
【インタビュー】ジャポニスムの再来──京都祇園の老舗履物匠「ない藤」が手がける"新感覚"サンダル"JOJO Naitou(ジョジョナイトウ)"とは?
祇園生まれの新感覚サンダル"JOJO Naitou(ジョジョナイトウ)"愛用する三者が語る、三様の“偏愛”と履きこなし術



 

イベント情報

<ジョジョナイトウ>プロモーション

□6月12日(水)~27日(木)
□メンズ館地下1階=紳士靴
*6月13日(木)~18日(火)は「お誂え会」実施(詳細はこちら

Photo&Text:ISETAN MEN'S net

*価格はすべて、税込みです。

お問い合わせ
メンズ館地下1階=紳士靴
03-3352-1111(大代表)