イギリスの老舗も唸るフランネル
──オリジナルといえば、生地もつくられたそうですね。
尾作 ええ。500g/mというヘビーオンスの3PLYフランネルです。打ち込みがしっかり入ったそのファブリックは耐久性があり、落ち感もいい。のみならず、しっとりとした肌触りもあり、無骨な英国生地とは一線を画します。
──生産は創業100年を超える、日本が誇る葛利毛織。
尾作 ションヘル織機がいまだ現役で活躍する名門老舗だからできたフランネルです。
小堀 この生地も先方の提案が突破口になりました。「2PLYで340g/mの生地がある。これを3PLYにすれば510g/mになりますよ」って。いうは易しで、苦労されたと思います。
尾作 葛利さんとの取り組みは春に出したモヘヤが第一弾。早々に完売しましたが、これも楽しみです。
──葛利さんのダブルネームというのは珍しいですね。しかも尾作さんの名前が先に入っている。
尾作 おなじみのお客さんには“オサクズリ”だねっていわれました(笑)。
小堀 尾作のストイックなスタンスをたかく買ってくれたんでしょう。
尾作 色も気に入っています。日本の生地ってなぜかグリーンがかった色味になることが多いのですが、葛利さんのはピュアなグレイ。3PLYのそれはメランジの風合いも見事です。
小堀 ダークグレイ、ミディアムグレイ、グレイジュをラインナップします。
左・中/パンツ(葛利毛織社製生地使用)38,880円
右/パンツ(VBC社製生地使用)38,880円
──半年前には香港の名店、アーモリーとの取引もはじまったそうですね。着々階段を上がっていてうれしい限りです。
尾作 ぼくにはブランドとして大きくしようとか、そういう野心のようなものはありません。いつまで経っても目の前にいるお客さんのことしか考えられない。よくいえば、ビスポークのマインド(笑)。そして誤解を恐れずにいえば、〈パンタロナイオ・オサクハヤト〉はビスポークの魅力を知ってもらうためのとば口に過ぎない。
小堀 ただし、けして妥協しない。それが尾作です。
Photo:Natsuko Okada, Tatsuya Ozawa
Text:Kei Takegawa
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