2018.09.12 update

Vol.07 西山茉希|あれも欲しい、これも欲しい、欲張りな絵(1/2)

ISETAN MEN'S netにて新たに始まった連載企画「ART UP by International Creators」。本企画では、従来より密接な関係にある「ファッション」と「アート」にスポットを当て、様々なアーティストをキュレーション&紹介していく。

第4弾として登場するのは、ファッション・モデル、タレントとしても活躍する西山茉希。二児の母としての顔を持つ彼女だが、近年ではその絵の才能にも大きな注目が集まっている。今回は彼女の絵描きとしての側面にフィーチャー。そのバックボーンを探ることに。

イベント情報

西山茉希 ライブペインティング

□9月12日(水)11時~18時
□本館6階=催物場/C-3柱前

 


西山茉希
1985年生まれ。ファッション・モデルやタレントとして活動。2005年より雑誌『CanCam』(小学館)の専属モデルを務め、同世代の女性を中心に人気を博す。二児の子を持つ母であり、2014年にはナチュラルママ向けムック『LUCE』の責任編集を担当するなど、主婦層からの支持も厚い。夫は俳優の早乙女太一。

休業中に感じた無力感、そこから見出した新たな道


「男兄弟に囲まれて育って、リカちゃん人形とかも持っていなかったので、小さい時からひとりで絵を描いて遊ぶことが多かったです。小学校の時、図工の授業の一環で賞をもらったことも記憶に残っていますね。画用紙からはみ出るくらい人間を大きく描いてしまって、グニャって変な形になっていたと思うんですけど(笑)。大人になってからも、撮影の空き時間にスタッフさんや現場が一緒になった方のイラストを描いて、勝手にプレゼントしたり(笑)」

屈託のない笑顔でそう語る西山。「楽しい」「人に喜んでもらいたい」という純粋な気持ちで描き続けてきた彼女の絵が、仕事として注目を浴びる形になったのは、様々なファッションブランドのライセンス事業、ブランド運営などを手がけるレインボーワークスとの出会いが大きかったという。

「絵がお仕事になってきたのは本当に最近のことです。レインボーワークスの社長さんが私の絵を見てくれて、『絶対仕事にしたほうがいいよ』って言ってくださって。あと、去年少しお仕事を休業していたんですけど、その期間、モデルやタレントという仕事がなくなったら、私には何もないんじゃないかって思ったんです。もっと、自分が生きた証を残していかないと、これからの人生において自信が持てなくなるんじゃないかなって。物として残すっていう考えで、スニーカーにイラストを描いて、娘や友達にプレゼントしたんです。そしたら想像以上に喜んでくれて」



さらに、今年3月には同社がライセンス企画を手がけるバッグブランド「HeM」とのコラボアイテムがリリースされ、渋谷ヒカリエホールにて開催された「atmos con Vol.4」ではライブペインティングを行うことに。「人前で描くのはすごく緊張しました。でも、遊びに来ていた子供たちにも参加してもらったり、そういうライブならではの楽しさもありましたね」

また、独特のタッチと世界観を擁した自身の作品について、彼女は「あれも欲しい、これも欲しい、欲張りな絵」だと語る。「アイスも欲しいしハンバーガーも欲しい。現実にはこんなカラフルな食べ物はないと思うけど、絵だったら何でもアリかなって思うんです。空がピンクだったらカワイイんじゃないかな、とか。現実にはないものを描き出したいんですよね。色の組み合わせとかも、セオリーとかは無視しちゃいます(笑)」

さらに、彼女が多用する、デフォルメされたアイスクリームやハンバーガー、不思議な生き物といったモチーフからも、その天真爛漫さが伝わってくるだろう。何でも小さい頃から筆箱の代わりにポッキーの箱を使ったり、牛乳パックがとてつもなく気に入ってしまったりと、自他ともに認める“ちょっと変わった子”だったそうだ。

「“嬉しい”とか“楽しい”、“おいしい”みたいな、いつもポジティブな感情で絵を描いています。もし、切なかったり、落ち込んだりしていたとしても、ポジティブな、楽しい絵を描くことで、自分をそういった感情に引っ張ることができるんじゃないかって思うんです。もちろん、観てくれた人にとってもそういう絵になれば嬉しいです」

溌剌とした笑顔で、自身の絵描きにおける哲学を語る彼女。その童心とも言えるピュアな心で、今後も観る者を幸せにする作品を生み出していくことだろう。


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