【特集】ビジネスシューズは、「19,000円」戦国時代に突入!最強のコスパ靴はどれだ!?
2万円で買える革靴を常時70種類以上揃えているメンズ館地下1階=紳士靴から、イセタンメンズの靴のエキスパート4人が、"推しブランド"をピックアップ。紳士靴担当バイヤーの福田、同アシスタントバイヤーの宮下、スタイリストでシューカウンセラーの資格を持つ塚原、長く紳士靴に携わり、現在は『イセタンメンズネット』編集長の田代が、「19,000円(税抜)で買えるビジネスシューズ」のそれぞれの特徴や魅力を語り合う。
左から、紳士靴担当アシスタントバイヤーの宮下、同バイヤーの福田、スタイリストの塚原、『イセタンメンズネット』編集長の田代
2万円の予算で革靴を買う!
今回ご紹介する「19,000円の革靴」は、各ブランドとイセタンメンズが共同開発し、ものづくりに取り組んだもの。そこから生まれた各ブランドの個性や強みがあり、4人がそれぞれの“推しブランド”をプレゼンテーションする。
宮下 予算2万円の中で、メンズ館地下1階=紳士靴で特に人気の高い「4ブランド」をこうやって集めて改めて見ると、違いがよくわかりますね。
田代 革靴の市場において、「19,000円」という価格は決して安い価格ではないですが、昔からこの価格で最高の革靴を提供したいという想いが詰まっているので、この記事を読んでいただき、自分のスタイルと好みにフィットするブランドを見つけてほしいです。
塚原 店頭でお客さまに試し履きをしていただいても、「よくできてるね」という声をたくさんいただきます。20代の自分たちは、実際まだ靴までお金をかけられないので、こういうハイパフォーマンスの革靴が2万円で買えるのは幸せです。
宮下 塚原の世代のビジネスマンには朗報だよね。
福田 これで革靴を好きになってくれるとバイヤー冥利。価格だけにとらわれず、「革靴のエントリーブランド」としてその履き心地の良さ、確かさを感じていただき、次のステップに繋げてほしいです。
宮下 福田さんの推しブラ(推してるブランド)は。
福田 この4ブランドの中で唯一、英国靴の血統を受け継ぐ<J.A.Ramis/ジェイ・エ-ラミス>が推しブラです。
田代 福田さんの<ジェイ・エ-ラミス>の解釈は楽しみですね。では自分は、三越伊勢丹オリジナルで、紫の靴箱がトレードマークの<CERVINO/セルビノ>を担当します。宮下はどのブランドにする?
宮下 <ESPOIR/エスポアール>にします。自分はいつもカジュアルジャケットにカーゴパンツのような格好なので、たまに5階=トレンドセレクションで扱っているイタリアブランドを着てみたくなります。そういうスタイルに<エスポワール>はピッタリです。
塚原 一番若い自分は<ANTONIO RUFO/アントニオ ルフォ>を推します。このブランドは試し履きしていただくと、お客さまは感心されるんですよ。そのポイントは後で説明します。
福田 もったいぶるね(笑)。
塚原 いやいや、ぜひ現場の声を聞いてください!
田代 確かに塚原が一番お客さまの足を見ているから、説得力があると思いますよ。では、宮下の<エスポワール>からいきましょう!
1. ESPOIR/エスポアール
真面目なイタリアクラシコを体現する靴
宮下 私が選んだ<エスポアール>は、靴文化の長いスペイン製で、「ヨーロッパメイドの19,000円でどこまで作り込めるか」に拘っています。
田代 4ブランドの中で唯一のヨーロッパメイドですね。
宮下 底付けはマッケイ製法、ソールはレザー、そして表情のある革使いは、このプライスでは唯一無二だと思います。
福田 インポートならではのアッパーの雰囲気など、どれも2万円以上の顔をしていると思いますよ。
塚原 スタイリスト視点だと、<エスポアール>はシュッとしたデザインの見た目に反して幅が広いので、試し履きされると履きやすさを感じていただけます。
福田 スリッポン感覚で履くのに適した軽さと、馴染みやすい革も<エスポアール>ならではだよね。
田代 「良い靴を履いているな」と見られるきれいなカラーリングですよね。正統的なイタリアクラシコの服から、コンフォートなカジュアルスーツにも似合う雰囲気を持っています。
塚原 30代のビジネスマンが好む表情も魅力ですね。
宮下 イタリアクラシコなラスト(木型)とレザーソールのドレッシーさに、ヨーロッパの香りを醸す革のマッチングが<エスポワール>の最大の特徴です。
塚原 店頭では、ムラ感のある革を使った靴も人気です。
宮下 ナンパな雰囲気ではなく真面目な顔つきは、ドレスライクなワードローブとも似合うので、ぜひお試しください。
2. CERVINO/セルビノ
スニーカー世代にも履きやすい革靴
田代 では次は自分です。<セルビノ>は、国産で、日本人の足型に合うラスト(木型)を使用。製法は、軽く、屈曲性が良く、丈夫なセメント製法です。
福田 セメント製法の技術もどんどん向上していて、革靴のエントリーとして履くには十分の出来です。縫い目がない分、雨の日でも大丈夫。
田代 <セルビノ>は、仕上げが抜群に上手で色気があるだけでなく、トレンドを反映させたデザインも魅力。
宮下 確かに仕上げに品がありますね。サイドレースやオリジナルのブローグ使いなど、「デザイン×仕上げ」がブランドの個性になっています。
福田 「新しいデザインをどんどん履きたい」という人にお薦めしたいよね。
塚原 そうですね。色鮮やかな靴が多いですね。「毎日ガンガン履く」という営業の方から、「華やかなパーティーに履いていきたい」という一発勝負で購入される方も多いです。
福田 <セルビノ>はファンが多いブランドで、「<セルビノ>の中で、次は何を買おうか」というお客さまが多いのも特徴。
宮下 「トレンドを履きたい」というデザイン性を求めるお客さまに最適の19,000円ラインだと思います。
田代 個性や時代感を反映させた靴が多い<セルビノ>ですが、クッション性が良く履きやすいのも大きな特徴。「スニーカーから初めての革靴を履く」若い世代にも注目してほしいです。
塚原 20代はスニーカーの履き心地に慣れているので、<セルビノ>から革靴を始めてほしいです。
3. ANTONIO RUFO/アントニオ ルフォ
フィッティングの良さが安定感を生む
塚原 では、自分は<アントニオ ルフォ>を推奨します。
福田 店頭で接客していてどんな感想が多い?
塚原 店頭で試し履きをしていただくと、履き心地を気に入ってもらえるのが<アントニオ ルフォ>です。シュッとノーズが長いラスト(木型)の靴は指先が当たりやすいものですが、<アントニオ ルフォ>はウエストと踵(かかと)が小さめなのに対して、前足部が広いので、踵でサイズを合わせても指先が当たりにくいのが特徴です。
田代 なるほど。靴の中を見るとフィッティングも良さそうですね。カップインソールになっているのでクッション性の高さはもちろん、土踏まず部分で足をグッと持ち上げてくれます。
福田 <アントニオ ルフォ>の一番の魅力は、靴に個性を求める方にも、靴好きな人にも好まれる実用靴というところ。バランスが良く無理せず履ける靴だと思います。
塚原 お客さまの中には、「これで19,000円?」と言われる方も多いです。
宮下 踵とインソールの相乗効果で、履くと背が高くなったような効果があるのも隠れた人気のポイントだよね。
塚原 そうなんです!インソールが柔らかく厚いので、今回ご紹介している4ブランドの中で一番クッション性が良いと思います。
宮下 シークレットシューズ的な履き心地は店頭でも人気でしょ?
塚原 履くと実感されますからね。<アントニオ ルフォ>の履き心地の安定感とフィッティングの良さと顔つきは自信を持って推せます!
4. J.A.Ramis/ジェイ・エイ ラミス
英国由来のトラッドな流れを汲む本格派
田代 では、締めは福田さんから<JAラミス>の説明を。
福田 <JAラミス>は、スペインブランド<メルミン>のDNAを引き継いで、イギリスの靴生産のノウハウをもち、ハイエンドブランドのアッパーを作っていたインドの工場で作っています。
宮下 インドは英国領だったので、その歴史も残っていますよね。
福田 インドは関税が安いので、このプライスを実現しました。製法はマッケイで、「小指が当たる」という声が多い日本人用に改善したオリジナルラストを使用。見事なのはヨーロッパ産の原皮をベジタブルタンニン鞣(なめ)しでアニリン仕上げを施した革本来の質感で、他と比べてもレザーのクオリティは突出しています。
田代 確かに、<JAラミス>は、革が抜群に素晴らしいですね。
福田 全体のトータルバランスも優れていると思う。
田代 ライニングの革もこの4ブランドの中で唯一牛革使っていて、しっかりした形成力を発揮。「長くしっかり履きたい」や「エイジングを楽しみたい」という方にも十分応えられる靴です。
宮下 <JAラミス>は、ずばり、「英国の雰囲気が楽しめる19,000円」です。
塚原 20代はなかなか靴に投資ができませんが、19,000円でこれだけの英国本格靴仕様は<JAラミス>だけで、高級感も伝わります。
福田 とにかく見た目は抜群。インドの工場は社長以下従業員の向上心が高く、年々クオリティが上がっているのを実感しています。靴の製法を含めてまだまだ進化していくので、ぜひご期待ください。
宮下 靴生産では第3国であるアジア圏の靴づくりが本当に上手くなってきていて、トラッド感あるデザインを気兼ねなく履けるのが最大の魅力です。
福田 今回ご紹介した19,000円ラインはマッケイやセメント製法の革靴ですが、ここからグッドイヤーウエルト製法にチャレンジしていただいたり、シューケアなども楽しめるようになっていただくのが、私たちが考える靴の楽しみ方です。末永く靴の魅力とお付き合いください。
Photo:Natsuko Okada
Text:Makoto Kajii
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