2018.09.26 update

【動画】矢部克已×ナポリの新世代クリエーターたち |vol.3 エンリコ・マンツォ──サルトリアの製造ライン化という挑戦(1/2)

若きクリエーターたちが提案する新しいナポリスタイルに注目するイセタンメンズ。ビジネススタイルにも「スーツの必然性がない時代」だからこそ、本当に必要な場面でスーツを着る、好きだからネクタイを締める、Tシャツやポロシャツよりシャツが好きという「自主的にスーツスタイルを愉しむ」ことが新鮮だ。熱い思いがこもったものづくりに取り組むナポリの若きサルトの個性とお客さまの個性がメンズ館で出会って、お客さま一人ひとりのために仕立てられた服を纏うことから、新しい時代が見えてくる。

 

「ナポリの服はイタリアの中でもナポリにしかない独特なもの。服に込められたナポリの文化や歴史を求めて、世界中のバイヤーが富裕層のために買い付けにきます」というのは、ナポリのサルトリア<PRINCIPE D’ELEGANZA/プリンチペ・ディ・エレガンツァ>の創設者であるエンリコ・マンツォ氏。ファッション雑誌『MEN'S Precious(メンズプレシャス)』(小学館刊)のエグゼクティブ・ファッションエディター矢部克已さんが、その服作りの背景を探ります。

スペシャルな職人たちが集結したナポリの工房

 

スーツブランドの<PRINCIPE D’ELEGANZA/プリンチペ・ディ・エレガンツァ>は、サルト級のクオリティを有するファクトリーブランド。名だたるサルトリアで研鑽を積んだ女性と、その腕を見込んだマーチャンダイザーが出会い、資本を出しあって立ち上げたブランドで、ハンドとマシンを上手く融合しながら、サルトが作るものづくりに近いレベルで、オーダーから既製まで展開する。

 

矢部 エンリコさんのプロフィールを教えてください。
エンリコ 1960年ナポリ生まれです。大学の経済学部を卒業後、ファッションビジネスの世界に入りました。<ルイジ・ボレッリ>の営業責任者を経て、10年前にパートナーのアントネッラ・デラ・ローザとともに<プリンチペ・ディ・エレガンツァ>を立ち上げました。彼女がアットリーニやキートンで修行した技術と、私の営業手腕がブランドの両輪です。
矢部 ブランド名の由来は?
エンリコ <プリンチペ・ディ・エレガンツァ>のプリンチペは、昔のナポリ王国のアントニーオ王子がナポリを代表するおしゃれな王子だったことから。また、エレガンツァには、うちの服を着ることで「お客さま一人ひとりにエレガントさを持ってほしい」という願いを込めています。


矢部 今日エンリコさんに会ってお訊きしたかったことがあります。パートナーのアントネッラ・デラ・ローザ女史の技術のどういうところに惚れ込んだのですか。
エンリコ テーラー業界は世界中どこでも男性社会で、女性の目や手によって男性のスーツが出来上がることはめったにありません。アントネッラは13歳から縫い子を始めて、アットリーニに10年在職するなど、すでに40年近くの経験を有し、仕事経験は豊富です。彼女がキートンやアットリーニで修行して身につけた技術は素晴らしく、まずそれをナポリの洋服に活かしたかった。

 

NEXT>サルトリアとファクトリーのメリットを融合