【第3回】<SARTO/サルト>|服から土、土から服への循環を
檀 正也
株式会社サルト代表取締役。お直し専門会社の営業を経て、2000年にサルトを開業。単なるお直しにとどまることなく、トレンドまで意識した高い技術で、ファッション業界にもファンが多い。最近ではオリジナルスーツのオーダーメイドも行っている。
銀座に本店を構えるサルト。お直しのスペシャリスト集団と形容される同店には、さまざまな理由から着られなくなった服が数多く持ち込まれる。
「単に“丈を詰める”“身幅を細くする”というだけでなく、いかにトレンド感を演出できるか。ひとえにお直しといえど、高い創造性が必要です。服装は人を映す鏡。値段にかかわらず、きちんと服を着てもらいたいですね」。
10年前のスーツが、旬のムードをまとってよみがえる――。トレンドを意識したお直しこそが、全国の洒落者たちから支持される所以だ。
「 ヨーロッパには、お直しを繰り返し服を受け継いでいく習慣があります。日本でもそうなっていけばいいなと」。
最終的には、究極のリサイクルを目指す。
「着られなくなった服は、途上国へ寄付しています。また、東北にある(株)ハザカプラントというバクテリアの研究機関と提携して、廃棄された服を土に返す構想も進めています。服が土に還り、その土が綿や羊毛などを生む。それが“お直し”の理想ですね」