2017.05.27 update

【特別対談】石見 陽×森岡 弘|医師の白衣とビジネスマンのスーツは「着る」を意識して初めて社会性をもつ(1/4)

テレビの刑事ドラマと同じく“視聴率が取れるコンテンツ”として人気の高い医療ドラマ。「最近の医療ドラマに出てくる白衣は格好良くなっていますね」というのは、イセタンメンズが年に4回発行している冊子『The Gentlemen Makers(ジェントルマンメーカーズ)』のスタイリングを担当しているファッションディレクターでスタイリストの森岡 弘さん。医師専門のオンラインコミュニティ「MedPeer(メドピア)」の代表であり、現在も週一回の診療を続け医療現場に立つ石見 陽さんを迎えて、“医師の着こなし”を語り合います。

関連記事:オリジナリティある白衣でドクターズライフをもっと豊かに


◆ 石見 陽(いわみ よう)◆
メドピア株式会社 代表取締役社長
1999年に信州大学医学部を卒業し、東京女子医科大学病院循環器内科学に入局。 研究テーマは血管再生医学。循環器内科医として勤務する傍ら、2004年12月に株式会社メディカル・オブリージュ(現メドピア株式会社)を設立し、代表取締役社長に就任。医師専門のオンラインコミュニティ「MedPeer(メドピア)」は、一人一人の医師の経験を場所も診療科も超えて医師同士で共有することを可能にし、今では診療現場の第一線で活躍する多くの医師が活用している。現在も週一回の診療を継続し、医療現場に立つ。

◆ 森岡 弘(もりおか ひろし)◆
株式会社グローブ 代表取締役/ファッションディレクター&スタイリスト

早稲田大学在学中より、株式会社婦人画報社(現アシェット婦人画報社)にて編集業務にかかわる。同大学卒業後、同社に正社員として入社し、男性ファッション誌『メンズクラブ』編集部にてファッションエディターとして従事。1996年8月クリエイティブオフィス「株式会社グローブ」を設立。俳優やアーティスト、文化人などのスタイリングを行なうほか、イベントやショップのコスチューム、企業のユニフォームの制作などにも携わる。



社会的地位も高く、見られることを意識している職業

 

私たちは身体の不調などを感じて病院を訪れますが、医師が着ている白衣を見ると、無意識に安心感を覚えます。白衣を着て首から聴診器をかけ、パソコンの前で診察している医師たちは、どんなファッション観を持っているのでしょうか。

森岡 弘 仕事柄、ファッションに関するイベントの依頼も多く、何度か医師の方たちに講演を行ったことがあります。先生たちに着こなしの希望を問うと、「患者に寄り添いたい、コミュニケーションツールにしたい」などの声がありましたが、実際のところを聞くと、「何を着ていいのかわからない」と。

石見 陽 現実はそうですね。着こなしまでの意識はないと思います。

森岡 でも今日の石見さんの着こなしを拝見するとさすがですね。安心しました(笑)。

石見 2004年に会社を設立し、上場してメディア出演も含めて外とのコミュニケーションが多くなって、やはり服に対する意識は変わりました。

森岡 石見さんは会社代表で医師でもありますが、着こなしでは何を大切にしていますか。

石見 シンプルさと潔さでしょうか。医師専用サイト「MedPeer」を立ち上げたとき、会員の医師獲得のために、学会の会場でビラ配りをしたことがありました。スタッフの女性が黒を着ていたので、自分はシルバーでやや目立つことを意識した時期もあります。また、上場して“IT会社の社長”という側面も出てきて、ステークホルダーなどから「見られること」意識している部分も最近はありますね。

森岡 医師といえど、一般社会の中での見られ方は大事です。

石見 医者や弁護士、教師などはマイノリティですが、社会的地位が高いので、皆、見られることは意識していると思います。自分の着こなしは、「等身大にちょっと足す」くらいを考えています。

 

NEXT≫確実におしゃれになる方法、教えます