【特別対談】石見 陽×森岡 弘|医師の白衣とビジネスマンのスーツは「着る」を意識して初めて社会性をもつ(1/4)
テレビの刑事ドラマと同じく“視聴率が取れるコンテンツ”として人気の高い医療ドラマ。「最近の医療ドラマに出てくる白衣は格好良くなっていますね」というのは、イセタンメンズが年に4回発行している冊子『The Gentlemen Makers(ジェントルマンメーカーズ)』のスタイリングを担当しているファッションディレクターでスタイリストの森岡 弘さん。医師専門のオンラインコミュニティ「MedPeer(メドピア)」の代表であり、現在も週一回の診療を続け医療現場に立つ石見 陽さんを迎えて、“医師の着こなし”を語り合います。
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◆ 石見 陽(いわみ よう)◆
メドピア株式会社 代表取締役社長
株式会社グローブ 代表取締役/ファッションディレクター&スタイリスト
早稲田大学在学中より、株式会社婦人画報社(現アシェット婦人画報社)にて編集業務にかかわる。同大学卒業後、同社に正社員として入社し、男性ファッション誌『メンズクラブ』編集部にてファッションエディターとして従事。1996年8月クリエイティブオフィス「株式会社グローブ」を設立。俳優やアーティスト、文化人などのスタイリングを行なうほか、イベントやショップのコスチューム、企業のユニフォームの制作などにも携わる。
社会的地位も高く、見られることを意識している職業
私たちは身体の不調などを感じて病院を訪れますが、医師が着ている白衣を見ると、無意識に安心感を覚えます。白衣を着て首から聴診器をかけ、パソコンの前で診察している医師たちは、どんなファッション観を持っているのでしょうか。
森岡 弘 仕事柄、ファッションに関するイベントの依頼も多く、何度か医師の方たちに講演を行ったことがあります。先生たちに着こなしの希望を問うと、「患者に寄り添いたい、コミュニケーションツールにしたい」などの声がありましたが、実際のところを聞くと、「何を着ていいのかわからない」と。
石見 陽 現実はそうですね。着こなしまでの意識はないと思います。
森岡 でも今日の石見さんの着こなしを拝見するとさすがですね。安心しました(笑)。
石見 2004年に会社を設立し、上場してメディア出演も含めて外とのコミュニケーションが多くなって、やはり服に対する意識は変わりました。
森岡 石見さんは会社代表で医師でもありますが、着こなしでは何を大切にしていますか。
石見 シンプルさと潔さでしょうか。医師専用サイト「MedPeer」を立ち上げたとき、会員の医師獲得のために、学会の会場でビラ配りをしたことがありました。スタッフの女性が黒を着ていたので、自分はシルバーでやや目立つことを意識した時期もあります。また、上場して“IT会社の社長”という側面も出てきて、ステークホルダーなどから「見られること」意識している部分も最近はありますね。
森岡 医師といえど、一般社会の中での見られ方は大事です。
石見 医者や弁護士、教師などはマイノリティですが、社会的地位が高いので、皆、見られることは意識していると思います。自分の着こなしは、「等身大にちょっと足す」くらいを考えています。
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