松崎順一氏が解説する「名機中の名機」
金子 今回の<デザインアンダーグラウンド>期間限定フェアは、1月17日(火)までメンズ館8階=イセタンメンズ レジデンス、1月3日(火)から17日(火)まで、三越銀座5階=ジェントルマンズラウンジ、2月1日(水)から7日(火)まで日本橋三越本店2階=紳士プロモーションで開催されます。
松崎 すべてビンテージラジカセを展示販売しますが、イセタンメンズ レジデンスでは、自分のコレクションの中での最上位機種を、銀座ではより一般的な機種を、そして日本橋ではコレクタブルアイテムになり得るような機種と、それぞれセレクトを変えて出展します。
金子 では、イセタンメンズ レジデンスで展示販売するラジカセをご紹介ください。
<パイオニア>「ランナウェイ SK-900」
140,400円
オーディオメーカー<パイオニア>の最高峰「ランナウェイ SK-800」
松崎 70~80年代、オーディオメーカーとして君臨していた<パイオニア>の当時の技術の粋をパッケージングしたラジカセが「ランナウェイ」のフラッグシップモデル「SK-800」です。1981年発売で、オーディオ譲りの音質は抜群です。ポテンシャルの高さを味わっていただきたい名機です。
<東芝>「ボンビート RT-S90」
172,800円
Dolbyに対抗する機能を搭載した<東芝>「ボンビート RT-S90」
松崎 総合家電メーカーの<東芝>はオーディオブランドの「オーレックス」を展開していて、そこから派生したスペックをラジカセに落とし込んでいるのが「ボンビート」です。オーレックスは独自のノイズリダクションシステム「adres(アドレス)」を開発。カセットテープのヒスノイズだけを低減させるこのアドレスは、Dolby(ドルビー)に対抗する機能でしたが、ラジカセでアドレスが搭載されたのはこの「RT-S90」のみです。1979年に登場したメタルテープにも対応し、驚くほどクリアな音が楽しめるボンビートの最高峰は、当時の価格で99,800円でした。
<シャープ>「ザ・サーチャーダブル GF-909」
162,000円
ラッパー、竹の子族、中国の高官などが愛した<シャープ>「ザ・サーチャーダブル GF-909」
松崎 カセットの編集ができてマイカセットを作れる「ダブルカセット」搭載、左右足して25ワットというハイパワーを出す3ウェイスピーカー、さらに低音の魅力も楽しめるという大型ラジカセの最大級のポテンシャルを持っているのが<シャープ>の「ザ・サーチャーダブル GF-909」です。筐体の前面にマイク端子が2つあって、日本ではデュエットもできるホームカラオケ用としても一世を風靡。さらに世界中に輸出され、アメリカでは輸出用モデル「GF-777」をラッパーたちが肩に掛けて闊歩(かっぽ)していました。また、香港経由の闇ルートで中国では富裕層や高官がこぞって購入し、中国人から「社交場でダンスするときに広い会場で音楽を奏でていた」と聞いたことがあります。さらに、原宿の歩行者天国では、竹の子族やロックンロール族らがガンガン音楽をかけて踊っていました。当時で118,000円と高価なラジカセでしたが、世界中を席巻したポータブルオーディオラジカセの王様です。
デジタルの時代に一番贅沢な聴き方ができるラジカセの魅力
金子 説明ありがとうございます。本当にどれも80年代前後の名機ですね。
松崎 3カ所で開催するフェアでは、受注販売という形で、注文後に整備して、1~2カ月後にお渡しとなります。中の電子部品はしっかり交換して、筐体は磨きを入れてお渡しするので新品状態で音楽をお楽しみいただけます。
金子 ところで松崎さんはラジカセで何を聴いているのですか?
松崎 自分がリスナーだった当時のアイドルの太田裕美さんが一番好きですね。あと、ヒップホップも大好きで、オールドスクールはカセットテープで聴きます。当時の歌謡曲などをラジカセで聴くと、本当に当時の空気感が伝わってきて感動します。また、当時のラジカセにはレコードプレーヤーが繋げられる phono端子があり、スマホを繋げてスピーカーとしても使えます。さらに、整備のときにBluetoothも付けられるので、ご注文のときにご相談ください。
金子 デジタル機器を繋げて聴くとどんな感じですか?
松崎 アナログ回路を通して聴くと、とてもまろやかな音になります。デジタルの登場で音楽を聴くスタイルは多様化しましたが、このデジタルの時代に一番贅沢な聴き方かもしれませんね。フェアではデモ機も用意しますので、当時の音色を再現します。ぜひ当時の音を感じてください。
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