【オープンレポート】<PORTER CLASSIC/ポータークラシック>|吉田玲雄が語る、人の手の仕事の魅力と、未来への継承
<ポータークラシック>吉田玲雄氏
次の世代に刺し子を繋げるためにも、挑戦は必要です
ISETAN MEN'S net(以下IMn) 昨年11月から約一年ぶりのポップアップショップですが、今回は「PC SASHIKO」のブラックが初登場です。
吉田玲雄 5年以上の歳月をかけて取り組んできた刺し子ですが、ブラックは物作りの視点からずっとトライアルしてみたかった色です。実際にブラックを作ってみると、ブルーとは長・短所がまったく違って、私たちにも勉強になりました。
IMn 「PC SASHIKO」のブラックでは、メンズはもちろん、ウィメンズやキッズのジャケットも並んでいますね。
吉田 私たちのキーワードは“次の世代”なので、刺し子を子どものときから着て体験してほしいし、自分が良いと思ったものを自分の娘に着させたいと思いました。値段は少々張りますが、その子の子どもも着られるのが刺し子の魅力でもあります。
ダークで重い色である“ブラック”を、温かく表現する内装
IMn 今回のポップアップの内装はどういうコンセプトですか?
吉田 正面奥にある写真は、第一次世界大戦のときのパリの百貨店の光景で、百貨店内で針仕事をしている写真ですが、この写真を見つけたときは、「これだ!」と思いました。ブラックはダークで、重くて、フォーマルな色ですが、それをいかに温かく表現するかを考えたときにこの写真しかないと思いました。店内には<ポータークラシック>のファミリーが刺し子を着たポートレイトも飾っています。
IMn 昨年のメンズ館でのポップアップではどんな手応えを感じましたか。
吉田 私たちはスタッフをファミリーと呼べるぐらい小さな会社ですが、昨年チャンスを与えられて、素晴らしいステージを用意していただきました。そして今回の第二弾に繋がって、職人さんも含めたスタッフ全員が、いろんな人に恩返しをしたい、お客さまに楽しんでいただきたいと思っています。私も刺し子の商品を通じて、感動を提案できればと思っています。
何年も温めてきた“ブラック”ならではの多彩なデザインに注目
IMn 玲雄さんにとって、手の仕事の魅力とは?
吉田 手仕事の魅力は「思い」や「心」を込めることだと信じています。破れた部分をお母さんが縫う行為、それが刺し子の原点でもあります。ここにあるどの商品にも魂がこもっていて、作り手の思いが合致しているのを感じていただけるはずです。
IMn 今回は親子3代で着られるものや、メンズのライダースなどデザインが豊富ですね。
吉田 <ポータークラシック>を始めた頃から、ライダースと、ウィメンズのクラシックなジャケットを表現したいと思っていました。そして今回、ブラックをテーマにすることで、自然とそのデザインが実現できたと思っています。
<ポータークラシック>吉田克幸氏
IMn 1月3日(火)には克幸氏と玲雄氏のトランクショーがあります。
吉田 2017年を迎えて、克幸と私で接客させていただきます。とにかく感謝の気持ちを、お客さまにお伝えしたいですね。さらに、初売りの日ですので「スーパーナイロンの伊勢丹スペシャル」を発表します。こちらのカバンも是非ご期待ください。
物作り第2章を象徴する<ポータークラシック>の“ブラック”
バイヤーの金子晋也は、「昨年のポップアップ第一弾は、5年という時間をかけて作った刺し子のお披露目で、<ポータークラシック>のファンはもちろん、多くのお客さまに好評をいただきました。また、実際に物作りを手がけたお針子さんや職人さんたちが、メンズ館でお披露目したことに感動して涙を流されたというエピソードも伺っています。
今回は、温もりがあってフォークロア的なネイビーとは違う世界観を持つ“ブラック”にフォーカスしていますが、フォーマル、ロック、パンクなどさまざまな顔があるブラックを、メンズのライダース、母娘で着られるジャケットなどで表現して、親子3代のブランドならではのデザインバリエーションも見どころ。さらに、刺し子の新しい意匠の1点物のシャツなどもあるので、ぜひご注目ください」
「SASHIKO LOVE 2」
□12月26日(月)~2017年1月10日(火)
□メンズ館1階=プロモーション
お問い合わせ
メンズ館8階=イセタンメンズ レジデンス
03-3352-1111(大代表)