2016.10.12 update

シワひとつに職人の"深みと温もり" 作り手が語る<PADRONE/パドローネ>の魅力(1/2)

アッパーの革がクシュッと独特の表情で、つま先が反っていて、軽くて、買ってすぐ足に馴染みやすい――さて、あなたはどの靴ブランドを連想しましたか。メンズ館地下1階=紳士靴で取り扱っていた<PADRONE/パドローネ>が、10月12日(水)に「PADRONE MUSEUM(パドローネ ミュージアム)」として伊勢丹オンラインストアに登場。イセタンメンズが展開する同ストアでは、通常のシーズンコレクションのほか、メンズ館限定商品まで幅広くラインナップ。ファン熱望の再登場は、「ECで買える<パドローネ>」です。


あなたが感じる<パドローネ>の魅力は?


うねりのような大胆なシワ加工の風合い、光沢感が美しいワックス仕上げ、新品を履いたときからしっくりと足にフィットする感覚、そして何より軽く、コスパの良さも人気の秘密。<パドローネ>ファンにはどれも当たり前のことですが、では現場ではどんな工夫と発想で靴が作られているのか。今回は特別に、<パドローネ>を手がける有限会社ミウラの代表取締役社長、三浦庄一氏に工場を案内していただきました。

量産靴メーカーと変わらない工程と機械を使って、手間をかけて作る


「この工場ではほぼ自社ブランド<パドローネ>の商品を作っています」と三浦社長。「量産靴メーカーと変わらない工程と機械を使っていますが、日産は40~50足ほど。本当に少量ですが、手作業と目視による熱処理での革のシワの補正など、手間をかけて、目が行き届くよう作っています。日本の靴工場ではあまりないと思いますね」

<パドローネ>は、「伝統的な技術に現代的なニュアンスを加えた普遍的な美しさを体現する」ことをコンセプトに約10年前にスタート。メンズ館でもトレンドのスタイルに合わせやすい靴として高い人気を誇っていましたが、今回、伊勢丹オンラインストアで復活します。


重くて硬い靴は、自分が好きじゃないんです(三浦社長)


「靴にはいろいろな製法がありますが、グッドイヤー製法は、足が大きく、大柄で体重のある欧米人が、履いても壊れないように作り出したもの。日本人はあそこまで丈夫な靴を履く必要がないと思うので、<パドローネ>ではセメント製法、マッケイ製法で作っています」と三浦社長。「一番のポイントは、日本人の足型にフィットするオリジナルのラスト(木型)を使っていることです」と言います。

<パドローネ>のブーツを購入したお客さまから、「ブーツなのに足が痛くならないですね」と言われたのがうれしかったそうで、「ラストはすべてオリジナルで、日本人の足型を熟知した木型職人と相談しながら作っています」


<パドローネ>を手がける有限会社ミウラの代表取締役社長 三浦庄一氏

三浦社長は、「自分はシュッとした靴が好きで、一番好きな靴は、底が薄くて、軽くて、コバの張り出していないオペラパンプス」だそうで、「重い靴が好きじゃないので、軽さを求めたのは自分の趣味」と笑います。

「自分の工場は、アメリカンタイプというより、ヨーロッパ寄りのものが得意で、特にイタリアのマッケイ製法や、軽いのが利点のセメント製法で作っています。ただ、通気性を考えて中敷きを革にしたり、グッドイヤーでも使うコルクを中に入れてクッション性を向上させるなど、“いいとこ取りのセメント製法”ですね」と解説。部品点数が少なくすむため、全体に軽量で、底の返りが良い<パドローネ>の革靴はこうした考えから生まれています。

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