2016.06.20 update

【インタビュー】菊川裕也(株式会社no new folk studio 代表取締役)|“光と音”がステップする未来の靴、スマートフットウエア「Orphe(オルフェ)」が日本初お披露目

靴の中にコンピュータが入って、インターネットと繋がると何ができるのか――大学で音楽用インタフェースを研究していた菊川裕也さんがCEOでファウンダーの株式会社no new folk studioが手がけるスマートフットウエア「Orphe(オルフェ)」がついに完成。ユーザーの動きで光や音を制御する、パフォーマンスに特化した未来の靴が、6月22日(水)より、メンズ館1階=プロモーションで世界先行受注をスタートします。


靴が楽器になっていることに気づきました

スマートフットウエア「Orphe(オルフェ)」は、最新の9軸(3軸加速度、3軸ジャイロ、3軸地磁気)センサーや約100個以上のフルカラーLED、無線モジュールなどを搭載。ユーザーはスマートフォンアプリなどを使い、自分の動きと、光と音のインタラクション(相互作用)を直感的に操作することができる“履くウエアラブル”です。

菊川さんは、「僕は、音と光が同期することによって音に対する認知も変わっていく“音の可視化”をテーマに研究をしていて、あるとき、タップダンスやフラメンコの靴が楽器になっていることに気づきました。そこから着想を得て、“電子楽器版の靴”の構想を始めました」と語ります。

最初のプロトタイプは2014年に菊川さんが留学していたバルセロナの「Music Hack Day Barcelona」という展示会に出展。「最初のプロトタイプは、既製の靴にLEDと運動センサー、音声モジュールを貼り付けただけでしたが、スペイン産業省賞やSonar賞、XthSense賞の3賞を受賞して話題になりました。それで、『これは新しい楽器になるかも』と確信を得て帰国。会社を立ち上げました」


「Orphe(オルフェ)」の開発で苦労したこと

菊川さんの会社no new folk studioは、ファクトリー付きシェアオフィスで話題の「DMM.make AKIBA」にあり、プロトタイプはDMM.make AKIBAの設備を利用して作り上げていったそうだ。

オルフェの開発では、「中身は精密機械であるにもかかわらず、腕などに着ける他のウエアラブル製品に比べて、靴は接地する衝撃が強いのでそこに一番苦労しました。大手靴メーカーもこれまで“機械が内蔵された靴”にチャレンジしているはずですが、完全なかたちに至っていないのも今の自分たちならよくわかります」と菊川さん。

開発を進めていくうちに、「音と光が出るだけでなく、新しい表現を追求したいという気持ちが湧いてきた」そうで、「プラットフォームにするとより可能性が広がる」と言います。


「Orphe(オルフェ)」を履く人たちに裏切られたい

「ファッションの世界もそうかもしれませんが、こういう新しいデバイスは、使う人の裏切りがあって初めて独自の進化を遂げます。たとえば僕はギターを弾きますが、ギターは楽器製作者が想定した演奏方法だけで発展したわけでなく、音の増幅方法を工夫したり、ピックで弦をこすってみたり、演奏者の創意工夫による裏切りが起きて初めてギターは進化しています。そうやって道具は進化・洗練されていくと思っているので、オルフェにもそういう余地を残しているつもりです」と菊川さん。

また、「今のウエラブルは、“入力”によってヘルスケアなど自分の状態を知ることがメインですが、オルフェは、センサーでジェスチャーを認識したり、歩数や移動速度を知ったり、運動情報を計測できるほか、光って何かを知らせる機能が強調されている“出力”が強いウエアラブルともいえます。入力と出力の関連性を自由にデザインできるのが、オルフェのコアなサービスです」と続けます。



光が情報とつながって、洗練させると大人も楽しめる

さらに、「オルフェを履いて、ランニングやダンス、ゲーム、ボードなどさまざまなプレイで、誰かが新しい入力と出力の関連性を考えて、アプリをつくって、それが世に出て行く瞬間を見るのがこれからの楽しみ。そうしてファッションの一つになってくれるとうれしいですね」と期待を語ります。

“光る靴”というと子どもが履いているスニーカータイプなどを連想しますが、「動いたときに連動して光が出るのは、本能的なかっこよさがあり、さらに、根源的欲求として“人が動いているときのオーラが可視化されると気持ちいい”と思うので、子どもの光る靴も注目していました」


いろんな技術を集積してテクノロジーを極めたい

オルフェの今後の可能性について、「オルフェを履いていると足の動きが注目されるので、ダンサーは主役になれるし、クラブでも1オーディエンスが注目されます。オルフェを履いたら動画サイトなどに投稿してほしいし、きっとオルフェ向きの新しいスター生まれてくるはず」と菊川さん。今後も、「表現者の動きを光や音に置き換えることで他の成果を出すことも考えていて、スマートフットウエアの可能性を追求していきます」と言います。

「オルフェを履いたら自慢してほしいですね。ファッションの世界の人たちともコラボして、新しいデザインや素材に挑戦して、靴としてもその価値を深めていきたいです」

<no new folk studio>スマートシューズ「Orphe(オルフェ)」44,712円


菊川裕也
株式会社no new folk studio 代表取締役。東京工科大学非常勤講師。首都大学東京大学院にて芸術工学を専攻し、2014年より研究として開発を始めたLEDスマートシューズシステム「Orphe」の製品化をきっかけに株式会社no new folk studioを設立。「表現のためのIoT」をキーワードに新製品を提案していく。受賞歴にアジアデジタルアート大賞優秀賞、Music Hack Day Barcelona - Sonar賞ほか。

<Y.I & SONS>ポップアップストア

□6月22日(水)~7月5日(火)
□メンズ館1階=プロモーション
*イベント情報はこちら


*価格はすべて、税込です。

Photo:Ozawa Tatsuya

お問い合わせ
メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズ
03-3352-1111(大代表)