【特集】街からアウトドアまで万能な<ASPESI/アスペジ>のミリタリージャケットが愛され続ける理由
井波 亮
メンズ館7階=メンズオーセンティック
バイヤー
ジャケット以上、コート未満のシティジャケット
創業者のアルベルト・アスペジさんが、1967年にイタリア・ミラノ郊外にシャツメーカーとして設立した<アスペジ>は、イタリア人が"日常に欠かせない"と賞する良質なシャツで名を馳せた後、彼自身のアイデアから生まれたベーシックかつ機能的なファッションアイテムを次々と発表しました。特に、「M-43」「M-51」「M-65」と続くアウターの系譜は、ブランドを代表すると同時に、世界中のジェンツが愛用しています。
<アスペジ>といえば王道で大定番は「M-65」ですが、陸軍のフィールドジャケット発祥の「M-43」「M-51」を経た「M-65」はフィールドジャケットの完成形といえます。では、なぜ「M-65」が確固たる位置を築いたのか。
「M-43」「M-51」がフロントボタンなのに対し、「M-65」がジッパーを採用したことで抜群に保温性が上がり、さらに保温力を高めるライナーやドローコードが付きました。また、襟裏にフードを仕込んで全天候型となるなど、すべてのディテールがフィールドジャケットとしての機能性の塊(かたまり)になったんですよね。機能美が昇華した、云わばフィールドジャケットの完成形が「M-65」なのです。
ミリタリー派生のカジュアルアウターにおいて、マスターピースといえる「M-65」ですが、その人気の火付け役は、「Vespa(ベスパ)」*であることは広く知られています。イタリアのバイク乗りの通勤着として「M-65が」定番になり、生活に溶け込んでいる姿を見て、かっこいいなと思ったことから、街中の防寒着としての使い方を知ったのです。
フードを仕込んだ襟は自然に立てられたり、ドローコードを絞ることでシルエットが調整できるなど、もともとあるディテールで今っぽい着こなしにアレンジできるのも幸いしました。冬仕様のライナーを外したらほぼ一年中着られるユーティリティ性もポイントですね。
そんな「M-65」は、<アスペジ>がグローバルに展開する「ニューキャンプ」と、伊勢丹メンズ館でも取り扱うやや着丈短めの「ミニフィールド」というラインがあり、サイズアレンジが選べるのも世界的な人気の秘訣。素材はポリエステルナイロンですが、製品染めならではのパッカリングが最初から味になり、こなれ感が出ます。
*イタリアのオートバイ・メーカー、ピアッジオが製造販売するスクーター製品。
ジャケットでもない、コートでもない、ブルゾンでもない「M-43」
<アスペジ>が「M-65」の次なるシティアウターでおすすめするのがこの「M-43」です。“スーツに合わせられるミリタリーアウター”という概念を生み出した<アスペジ>ですが、「M-43」はジャケット感覚で着られるテーラード風のノッチドラペルがクラシカルな雰囲気をプラスします。Tシャツの上に羽織っても上品に着こなせるのも魅力の一つですね。
また、ドローコードとフロントボタンでシルエットも自在に出やすく、襟を出して、ボタン中1つ掛けという着方から、襟元を開けて、ドローコードを絞らず着れば、ショートパンツなどと合わせてシティリゾート的な大人感も演出できます。
ミリタリー発祥のアウターながら、若々しい大人を演出しやすいのが<アスペジ>の大きな魅力。創業者であるアルベルト・アスペジさんの熱意が支えているクオリティの高さとともに、さまざまな着こなしを楽しんでほしいですね。
Photo&Text:ISETAN MEN‘S net
*価格はすべて、税込です。
*組織、役割に関する記載は、2020年3月現在の情報です。
お問い合わせ