「靴博」でしかできない靴とブレザー
1年ほど前にインターネットでスウェーデン王室御用達の<ブーレー>というバッグブランドを見つけました。日本ではまだどこも取り扱ってないものでした。WEBの写真で見るだけでしたが、デザインも革質も良さそうだったのでオンラインストアで試しに買ってみたんです。7500ユーロぐらいと高額だったんですが、これがすごく良かった! 革はちょっと酸味のあって、エゾマツのいいニオイがするんです。あんまり気に入ったので、相方と日本でのディストリビューター契約をしに行こう!って。スウェーデンまで行って、先日契約してきたところに[「靴博」の依頼があったので、それならこの革を使った靴を作っちゃおうと。
マウンテンキャトルの革は、きれいな水とエゾマツのタンニンだけで鞣しています。サミーと呼ばれるネィティブスウェディッシュの技術なんです。透明感のあるヌメ革はとても繊細なので、革の表情をたっぷり味わえる一枚甲のレースアップとスリッポンを「小笠原シューズ」に依頼しました。結構タフで厚みのある革なので、水漬けせずにドライなまま吊り込んであります。しかもこの革、みるみるうちに味がでてくるので、1日、2日でもうその変化の具合いがわかりますよ。ええ、店頭に置いてるだけで変化していきますから(笑)。ここまでユニークな革を使ってシューズを作れるなんて、「靴博」だけでしょうね。
もうひとつ、「靴博」で<コロンブス>のシューシャイナーさんが着るブレザーも作らせてもらいました。腕を動かしやすいとか、コットンネルのポケットを外せばウェスになるとか、細かいところに工夫がありますが、フランス綾のワークジャケットは、僕が最初に務めたショップのテイストが感じられるような気がします。僕の創りだすものって、いままで生きてきた経験の集合体なんだと思います。いままで受けたいろいろな影響がすべて僕自身そのものだから、あたりまえといえばあたりまえなんですけどね。
そのほか「JAPAN 靴博 2015」に関する記事はこちら
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尾崎雄飛
1980年生まれ。19歳のとき、テーラードの勉強のため渡英。2001年に帰国し、大手セレクトショップのバイヤーに。2007年、<FilMerange/フィルメランジェ>の立ち上げに参加し、2011年に独立。翌年、満を持して自身のブランド<SUN/kakke / サンカッケー>をスタートさせた。
Text:Ikeda Yasuyuki
Photo:Ozawa Tatsuya
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