【インタビュー】ヴィンテージの登竜門<リーバイス®>から学ぶ、名作古着の楽しみ方を高円寺<サファリ>田島氏が解説|ISETAN STORY STORE
- 12.11 Wed -12.15 Sun
- 伊勢丹新宿店 本館6階 催物場
“たいせつなあの人に、贈りたい。いつの日かわが子に、譲りたい”をテーマに掲げ、永く使い受け継いでいきたくなる名品たちを豊富にラインナップする『ISETAN STORY STORE』。ジャンルを超えた多彩なコラボ企画アイテム、ヴィンテージウェアが集い、12まで、伊勢丹新宿店 本館6階 催物場にて期間限定でオープンします。
メンズ館の担当バイヤーが企画する肝入りのポップアップの注目の一つが、バイヤー 稲葉が企画する、高円寺のヴィンテージショップの名店<サファリ>とのコラボレーションです。本企画では、<LEVI'S®/リーバイス®>を中心に、<サファリ>で取り扱う多彩なヴィンテージウェアの中から、厳選された一品たちをラインナップして販売します。
購入には知識が必要で敷居が高いと思われがちなヴィンテージウェアですが、その魅力はどのような点にあるのでしょうか。ヴィンテージウェアの代表格である<リーバイス®>を通して、名作古着の楽しみ方を<サファリ>の名物店長である田島氏とバイヤー稲葉が語ります。
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ヴィンテージウェアの登竜門に見る第二次古着ブーム
古着ブーム再来と言われ、近年再注目されるようになった古着市場。その様子を田島さんは次のように語ります。
田島 佑介氏(以下 田島)「元々日本では人気の高かった古着ですが、ここ5、6年で再ブームと言われるようになり、特に中国やタイなどのアジアの方からの注目が高まっています。人気モデルは、需要に対してバイイングが追いつかないというところもあり、店頭に並んだらすぐ売れてしまうものも少なくありません。ヴィンテージウェアの大王道である<リーバイス®>は、まさに人気アイテムの代表格といえますね」
ドレスクロージングのバイイングを手掛けるバイヤー 稲葉も、メンズ館を訪れる多くのお客さまから、ヴィンテージウェアへの関心の高まりを感じているようです。
稲葉 智大(以下 稲葉)「私も店頭で接客をしたお客さまといきつけの古着屋でばったりお会いするということがあります。普段はクラシックなドレスクロージングを購入されている方が、古着にも注目しているというのは面白いですよね。近年では、クラシックなドレス服にミリタリーなどのカジュアルアイテムを混ぜるミックススタイルがトレンドとなっていることもあり、ヴィンテージウェアへのニーズが高まっているのではないでしょうか」
世代を超えて受け継がれる名品ジャケット、モデル別の魅力とは?
ヴィンテージウェアの入門として田島さんが提案するのが、<リーバイス®>のデニムジャケットです。誰もが知る名作でありながらコーディネートでも取り入れやすく、生産時期でのディテールの変化もわかりやすいことから、古着の魅力を知るにはぴったりなアイテムだと田島さんは語ります。今回、『ISETAN STORY STORE』でも販売を予定している、<リーバイス®>のデニムジャケットの年代別で代表的なモデルを通して、上質な古着の見極め方やディテールの違いの楽しみ方を紹介します。
Gジャンの基本形となった1940年代の名作 "1st"
まずは<リーバイス®>の最初のデニムジャケットのモデルで通称 "1st" と呼ばれる「506XX」をご紹介。胸ポケットが一つ付き、背面は針で刺してサイズ調整を行うタイプのバックルが付いているのが特徴です。
田島「 "1st" は丈が短めのボックスシルエットなので、大きめのサイズを選んで着丈を調整してゆったりと今らしいサイズ感で着られる方が多いですね。ちなみに、サイズは42あたりがややゆったりとファッション感を持って着られるので狙い目です。こちらは1940年代のものですが非常に状態も良いですね」
稲葉「それと色は濃い方が、状態が良く価値があると言われますよね。デッドストックが最上級であることはもちろんですがこの年代のものだとまず出てこないので、より色が濃いものの方が状態が良いとされますよね。あとはハチノスと呼ばれる、腕を曲げることで袖に生まれる色落ちの風合いもポイントと言われますよね。こちらはとてもきれいにハチノスが入っています」
アメリカの黄金時代である1950年代に生まれた "2nd"
次に紹介するのは、第二次世界大戦が終結して好景気となった1950年代前半のアメリカ黄金時代に生まれた通称 "2nd" と呼ばれる「507XX」。シルエットなどは "1st" を踏襲しつつ、左右両方に配置された胸ポケットや、背面のタックボタン式のサイドアジャスターのディテールが加わっています。
田島「こちらは色はやや薄いですが綺麗に落ちているので状態も悪くないものになりますね。また、レザーのパッチも少し残っているのもより高値が付けられるポイントとなります。パッチについては、もっと綺麗に残っているものでしたら、着る前にパッチだけ取り外して保管しておくという方もいらっしゃいます」
ファッション性を獲得して進化した "3rd"
そしてファッションアイテムとして一つの完成形に到達したのが、1960年代初頭に誕生した通称 "3rd" と言われる「557XX」です。フロントの切り替えしが最大の特徴で、一目で分かるデザインとなっています。また「3rd」からは全てパッチがペーパーとなっているもの特徴に挙げられます。
田島「世の中のブランドがデニムジャケットを作るときに、デザインソースとして参考にされやすいのが "3rd" です。シルエットも適度に絞られて洗練されてきて、最も着やすいモデルと言えるのではないでしょうか。また、これ以降に生産された "4th" からは着丈が長くなるので、よりショート丈の雰囲気を楽しむなら "3rd" までのモデルがおすすめです」
古着好きがあこがれる一着として人気な「1940年代製造モデル」
最後に紹介するのが、ツウな洒落者から高い人気を誇る "1940年代製造モデル" です。こちらは第二次世界大戦の時期に生産されており、当時の社会状況の影響を感じるディテールが特徴な、語りどころがたくさん詰まった一品です。
田島「胸ポケットにフラップがなく、ボタンも4つになっている点がわかりやすい特徴です。ボタンは<リーバイス®>のロゴが刻印された純正ものではなく、月桂樹が装飾された真ん中がくり抜かれたコストを抑えた素材となっています。当時の世情から物資を節約するためのティテールが随所に見られるのが面白いですよね」
敷居が高いと思われがちなヴィンテージウェアをどう楽しむか
名作古着の王道とも言える<リーバイス®>のデニムジャケットですが、実際にどのように着こなすとよいのでしょうか? その着こなし方について稲葉 バイヤーにポイントを聞きました。
稲葉「サイズはゆったりとしたものを選び、パンツはドレッシーなものと合わせるとファッションで着ている感じがしっかりとでていいのではないでしょうか。カジュアルなボトムスと合わせたくなりがちですが、当時の本物のワークスタイルのような野暮ったい印象になってしまう可能性があるので、できるだけファッション感を出して着ることがコツですね」
田島「今や古着は単なる二次流通商品ではなく、ヴィンテージウェアという一つのブランドのような価値を持つようになっています。今の服のようにデザインを重視して作られているのではなく、実用性や服を作った当時の社会のあり方によってディテールが変わります。そんなヴィンテージウェアだけの歴史を味わっていただき、自身が着なくなったら次の愛用者へ受け継いでいただければと思います」
ヴィンテージウェアは知識がないと買いにくいという印象を持っている方もいらっしゃるかもしれません。古着屋さんでたくさんの商品から買いたいものを見極めるのも慣れない方にとっては難しく感じるのではないでしょうか。今回の『ISETAN STORY STORE』でのPOP UPでは、商品をただずらっと並べるのではなく、一点一点のアイテムを見やすく名品として展示販売をします。スタッフの接客を通してその服だけの歴史やディテールを知り、服が持つストーリーをぜひお楽みてください。
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Photograph:Yusuke Iida
Text:Shinji Hashimoto
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